薬価差益を最大にするために薬局ができる3つの施策

薬価改定により年々薬価は低下しており、薬局で薬価差益を出すのが難しくなっています。とはいえ、度重なる価格交渉など、対人業務に充てる時間を割いてまで、薬価差益を追求するのは得策とはいえません。薬局が無理なく利益を最大化するには、薬価差益を自動的に確保できる仕組みを整えることが重要です。
この記事では、薬価差益を最大化するために、薬局ができることを3つ解説します。効率的に医薬品購入コストを抑えたい方に向けて、きらりプライムサービスのサポートについても紹介するので、ぜひご覧ください。
1. 薬価差益とは?
2. 薬価差益とデッドストックの関係
3. 薬価差益を最大化する3つの施策
3-1. システム導入による在庫管理の最適化
3-2. 医薬品の共同購入サービスの活用
3-3. デッドストックの活用方法の確立
4. きらりプライムサービスの医薬品コスト削減とは?
4-1. 医薬品購入交渉代行/デッドストック活用
4-2. 在宅薬局のオペレーション改善・コンサルティング
5. 薬価差益の依存しない収益構造をめざすことの重要性
まとめ
1. 薬価差益とは?
薬価差益とは、薬価(薬の販売価格)と仕入れ価格の差から生じる利益のことです。
薬価は、厚生労働省が公定価格として定めています。薬局は、薬価基準に示された価格のとおり患者さんに薬を販売するので、薬価が変わることはありません。一方、仕入れ価格は、医薬品卸と薬局の交渉によって決まるので、状況に応じて変動します。
薬価差益の求め方
薬価差益は「薬価差益=薬価-仕入れ価格(税抜)」にて求めますが、実際には消費税がかかるので、薬局の手元に残る金額は以下のように計算します。
例として、薬価20万円、仕入れ価格18万円、消費税10%の場合、薬価差益の手元に残る金額は以下のとおりです。
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毎年の薬価改定では、医薬品の市場実勢価格(卸から医療機関や薬局に販売された価格)と薬価の乖離を埋めるために、薬価が調整されます。一般に、市場では薬価より下の価格帯で取引が行われるため、薬価改定のたびに薬価は引き下げられ、これにより薬価差益も減少をたどる一方となっています。
多くの場合、薬価改定で医薬品購入コストが上がった際には、薬局が卸に仕入れ価格の交渉を行います。しかし、医薬品卸も経営が厳しく、価格交渉には限界があるため、思うような割引率を受けられないのが実情です。また、大手のように大量購入ができない中小規模の薬局は、価格交渉でも難航する傾向にあります。
2. 薬価差益とデッドストックの関係
薬価差益の確保で忘れてはならないのが、デッドストック(不動在庫)の存在です。デッドストックとは、仕入れたものの使い道のない過剰在庫のことを指します。
薬価差益が出ていても、デッドストックがあると利益は帳消しとなります。デッドストックが薬価差益を超過すれば、赤字となることも避けられません。
薬局のデッドストックは、主に以下のような理由で発生します。
- 医師の処方が変わった
- 薬を使用する特定の患者さんが突然来局されなくなった
- メーカー都合による製造終了・販売中止
- 欠品を避けるため多めに発注した
- 入力ミスや重複発注
医薬品の仕入れでは、まとめ買いで単価が安くなるケースもありますが、在庫が余る(デッドストックが発生する)ことによって、逆に経営を圧迫している可能性もあるので注意が必要です。
患者さんやメーカー都合など、薬局が関与できない原因によっても、デッドストックが生じます。薬局はさまざまな状況を加味した上で、デッドストックと上手に付き合いながら、薬価差益を生むための施策を検討しなくてはなりません。
3. 薬価差益を最大化する3つの施策
かつては薬価差益が30%近くあった時代もありましたが、現在は10〜20%が一般的です。中には、仕入れ価格より薬価が安く、売れば売るほど薬局側の利益が減ってしまう、いわゆる「逆ザヤ」の医薬品もあります。このような厳しい状況の中で、薬局が薬価差益を得るためには、さまざまな工夫が必要です。
ここでは、薬価差益を最大化するために、薬局ができる3つの施策を紹介します。
3-1. システム導入による在庫管理の最適化
薬局が適正在庫を維持するには、システム導入による在庫管理の「見える化」が有効です。在庫管理システムでは、各医薬品在庫の情報をデータ化して管理します。在庫情報の一元管理によって過剰在庫や欠品の防止につながり、薬価差益の改善が期待できます。
医薬品在庫管理システムのメリット
- 数量・内容量・薬価・仕入れ価格・使用期限・ロット番号などをデータ化できる
- 最適な発注数量を自動計算できる
- 発注履歴や処方傾向に基づいた需要予測が可能
- 有効期限のアラート機能で廃棄ロスを削減できる
- 多店舗間にて在庫状況を共有できる
- 手入力によるミスや入力漏れを防止できる
AIを搭載した在庫管理システムでは、来客予測や需要予測によって、発注の最適化が図れます。適正な在庫量を維持する目安がわかるため、必要なときに適宜発注でき、店舗に過剰な在庫を抱える心配がありません。
また、在庫管理システムがあれば、事務員でも医薬品の発注業務が容易に行えるというメリットもあります。事務員と薬剤師の業務を明確に切り分け、薬剤師が対人業務に集中するためにも、在庫管理システムの導入はおすすめです。
3-2. 医薬品の共同購入サービスの活用
中小薬局は仕入れ量が少ないため、大手に比べると卸への価格交渉は不利になりがちです。しかし、共同購入では、医薬品の同時発注・大量購入によってスケールメリットを活かした取引を実現し、中小薬局でも大手と同等の高い割引率を受けることが可能となります。
共同購入の利用にあたっては、ボランタリーチェーンなどの団体に加入するのが一般的です。ボランタリーチェーンとは、複数の独立した経営者が協力して事業活動を行う形態をいいます。
共同購入のメリット
共同購入のデメリット
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ボランタリーチェーンによって規約や費用が異なるため、どの共同購入を利用するか比較検討を行うことが大事です。特に、以下の点について確認しましょう。
- 加盟コストとランニングコスト
- 既存の卸と継続して取引ができるか
- 発注システムの指定の有無
- 医薬品購入費用(薬価差益)のシミュレーション
- 共同購入以外のサービスについて
- 解約金の有無
懇意にしている地場卸がある場合は、継続して取引ができるかがポイントとなるでしょう。数社から薬価差益のシミュレーションを出してもらい、信頼できるサービスを選んでください。
3-3. デッドストックの活用方法の確立
薬局では、さまざまな理由からデッドストックの発生が避けられない場面もあります。在庫管理システムの導入と合わせて、デッドストックを活用する手段を確立することで、在庫管理の適正化が図れます。
薬局のデッドストックの活用方法については、主に以下3点が考えられます。
- 系列店や近隣薬局間でやり取りする
- 一括買取サービスを利用する
- インターネットのマッチングサービスを利用する
デッドストックの解消で最も多いと考えられるのが、系列店や近隣薬局と売買・交換する方法です。この場合も、多店舗間で在庫状況を共有できる在庫管理システムが役立ちます。
また、近年ではインターネットによる売買サービスも普及しています。医薬品の一括買取サービスでは、デッドストックをまとめて引き取ってもらえるので便利です。サービスによっては、使用期限までの期間や伝票の提示が必要となるため、事前に規約を確認しておきましょう。
マッチングサービスでは、遠方で交流のない薬局とでも、お互いのデッドストックの交換や売買を行うことが可能です。一つひとつの医薬品を登録する手間はかかりますが、一括買取に比べると高い金額で売却できるのがメリット。購入側として、他薬局のデッドストックを安価で仕入れることも可能です。
4. きらりプライムサービスの医薬品コスト削減とは?
きらりプライムサービスは、全店舗で在宅+外来のハイブリット経営を行う「きらり薬局」の経営ノウハウを活かして、薬局経営を支援しています。在宅参入、加算取得、在宅患者獲得、薬剤師育成など、在宅薬局経営にまつわるあらゆるお悩みに応じています。
ここでは、きらりプライムサービスの医薬品コスト削減を実現するサービスをご紹介します。
4-1. 医薬品購入交渉代行/デッドストック活用
きらりプライムサービスの医薬品購入交渉代行とは、弊社が医薬品卸に価格交渉を行うサービスです。あくまでも価格交渉の代行なので、医薬品卸との関係性は変わらず、これまで通りの取引を継続していただけます。
きらりプライムサービス「医薬品購入交渉代行」の特徴
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購入交渉代行のご利用を希望される薬局様には、薬価差益シミュレーションを提示しておりますので、こちらよりご連絡ください。
また、全国2490店舗以上のきらりプライムサービスの加盟店ネットワークを活かし、デッドストックのマッチングが行えます。ポータルサイトに不要な医薬品を登録し、加盟店同士でデッドストックをやり取りできる仕組みです。医薬品購入交渉代行と併用して、コストと廃棄ロスの削減をめざします。
4-2. 在宅薬局のオペレーション改善・コンサルティング
きらりプライムサービスでは、在宅薬局の経営コンサルティングを実施しています。長年にわたり培ってきた経営ノウハウを活かし、薬価差益だけでなく、経営全体から見たアドバイスが行えるのが強みです。薬価差益が出ない薬局様には、その原因を明らかにし、薬局に応じたシステムやオペレーションの導入をご提案します。
在宅薬局の動線づくりにお悩みの薬局経営者の方は、実際の「きらり薬局」の店内を見学していただくこともできます。在宅薬局では扱う医薬品の数や種類が多く、管理が行き届かないケースも珍しくありません。在宅業務に適した動線や業務フローを構築することが、在庫管理の適正化に近づく一歩です。きらり薬局での在庫管理や発注体制を参考に、自分たちの薬局にふさわしい管理方法を検討してください。
5. 薬価差益の依存しない収益構造をめざすことの重要性
薬価差益は市場価格や交渉条件によって変動するため、収益の柱として不安定です。薬局が確実に利益を得ていくには、薬価差益に依存せず、持続可能な収益構造を構築する必要があります。
具体的には、調剤報酬の加算取得、在宅医療への参入、健康増進支援(健康サポート機能)の強化などが挙げられます。単に「薬を売る」のではなく、「地域住民の健康を支える」という視点から、ニーズの高い医療サービスを積極的に取り入れていくことが大事です。
在宅医療を展開する上では、デジタル化やICTツールの活用、薬剤師の専門性向上も重要なテーマとなります。薬価差益の最大化を図るとともに、薬局経営をさまざまな側面から見直して、次世代にふさわしいビジネスモデルへと切り替えていきましょう。
薬局の収益構造については、以下の記事もご覧ください。 |
まとめ
薬価差益を最大化する方法として、在庫管理のシステム化、共同購入の利用、デッドストック活用が挙げられます。医薬品購入コストを抑えるためには、ひとつの対策に絞るのではなく、複数の手段からアプローチするのが効果的です。
きらりプライムサービスは、在宅薬局の経営資源の確保をサポートするため、医薬品購入交渉代行、デッドストック活用サービスを提供しています。医薬品購入交渉代行では、医薬品卸との関係性を変えずに、仕入れ価格を下げることが可能です。薬価差益の最大化はもちろん、加算取得やDX化など薬局経営のお悩みをトータルサポートしています。在宅薬局の経営にお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。