調剤薬局の経営者が語る「在宅薬局をゼロから始めて軌道に乗せる経営戦略」

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在宅医療が高度化・複雑化する中、薬局・薬剤師の関与はますます重要性を増しています。しかし、「在宅を始めたいけれど、どこから着手すれば良いか分からない」「患者さんが集まらない」といった悩みを抱える薬局経営者は少なくありません。

そこで本記事では、きらり薬局の営業戦略と成功事例を紹介します。在宅薬局の営業戦略や営業ノウハウに関心のある経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

この記事は、2025年7月15日に開催したWEBセミナー「在宅患者1万人突破!!どうやってきらり薬局が患者を増やしたのか?」の内容をもとに作成しています。きらりプライムサービスのセミナー情報は、こちらよりご確認ください。

1. 在宅薬局の患者獲得戦略とは?

在宅患者を獲得するための営業活動は、決して容易とは言えません。100件訪問しても、2回目のアポイントが取れるのは1件程度です。それでも粘り強く、誠実に活動を続けることで、少しずつ医療機関や施設と信頼を築くことができます。

営業活動の成功率を上げていくためには、以下の点に注意しましょう。

  • 患者さん・利用者さんが在宅医療を受けるまでの流れを知る

  • 患者さん・利用者さんと関わりを持つ事業者(訪問診療や訪問歯科、訪問看護、福祉用具等)と関係を築く

  • 施設の形態や相手事業のニーズを理解する

  • 薬局が訪問医療に関与するメリットを明確にする

「在宅患者さんを紹介してほしい」という一方的な依頼ではなく、「自分たちの薬局は、このように貢献できる」というように、相手目線に立った課題解決を提案することが営業のコツです。

2. 在宅薬局の営業戦略

外来対応も多忙な中で、薬剤師が効率的・効果的に営業活動を行うには、事前の準備が重要となります。ここでは、薬局の営業活動の事前準備を4つ紹介します。

2-1. ①薬局の強みを明確にする

薬局の強みを把握しているかどうかが、営業のアピール力に直結します。まずは薬局の強みを明確にするために、体制や機能を整理しましょう。

在宅薬局の強みの例

  • 24時間365日対応ができる

  • 往診同行ができる

  • 薬のセットが行える

  • 担当者会議に参加する

  • 末期がん患者さんに対応している

これまでの事例や薬局の機能を一つずつ書き出し、営業活動で伝えたい薬局像を具体化していきましょう。

2-2. ②薬局パンフレットや名刺を作成する

次に、営業活動で配布するパンフレットを作成します。パンフレットの内容には、先ほど考えた薬局の強みや店舗情報をわかりやすく記載しましょう。カラーやフォント、イラストなどは、薬局のイメージに合うものを選びます。

営業活動で用いる名刺も作成しましょう。名刺には、窓口となる担当者の連絡先を明記しておきます。店舗の固定電話でも問題ありませんが、レスポンスを早くするためにも、携帯電話を記載することがおすすめです。

2-3. ③訪問エリア・ターゲットを設定する

営業活動の訪問範囲を決めます。「往復30分」「薬局から5キロ圏内」など、具体的に定めましょう。在宅では緊急訪問を行うこともあるため、無理なく対応できる範囲内で設定することがポイントです。

また、渋滞や坂道などの地域性も考慮します。「薬局より6キロ圏内(往復30分)」と設定しても、渋滞の多いエリアであれば、片道で30分近くかかるケースもあるでしょう。状況に応じて、距離を縮めたり、ルートを変えたりといった工夫も検討してください。

次に、設定した訪問エリアに基づいて、営業先のターゲットをリストアップします。具体的には、次のような施設や事業所が該当するでしょう。

  • 個人宅:訪問診療所、居宅介護支援事業所、小規模多機能型居宅介護等

  • 施設:有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど

事業所によっては、法人の関連事業を調査することも効果的です。同じ法人のうち、一つの事業所と関係を構築できれば、別の事業所でも話を聞いてもらえる可能性があります。

2-4. ④営業ルートを作成する

リストアップしたターゲットは、Excelなどに書き起こし、一覧で管理できるようにしておきましょう。事業名称や種類、電話番号、住所などをまとめておくと、営業活動の際に役立ちます。

次に、営業先ターゲットを地図に落とし込み、効率の良い営業ルートを検討します。地図で確認すると距離感を掴みやすくなり、既存の在宅患者さんへの訪問の合間に、その付近のターゲット先に営業活動を行うという戦略を立てることもできます。

3. 実際の営業活動の流れ

前提として、営業を行う際は、食事の時間帯を避けて訪問するのが基本です。特に施設では、食事中は介助や服薬で忙しいため、必ず昼食や夕食、おやつなどの食事の時間帯は避けましょう。

基本的な営業の流れは、以下のようになります。

①挨拶、面会したい担当者がいるか確認する
②薬局の基本内容の説明を行う
③施設側の現状を確認する(ニーズ把握)
④次回の訪問に繋がりそうな声掛けをして、退出する

上記の中でも特に重要となるのが、「③施設側の現状を確認する(ニーズ把握)」です。ここで、相手のことをどれだけ深掘りできるかが、今後の関係性に繋がります。

具体的なテクニックとして、「薬局が貢献できることを踏まえた質問を投げかけ、薬局が関与するメリットを伝える」ということに挑戦してみてください。

①「薬のセット対応をどこまでされていますか?」
 →個人ごとのセットなら、次回アポイントで薬局の配薬による日ごと管理の提案を行う。

②「往診の際、看護師さんから医師へ利用者さんの様子をお伝えする際に、負担はありませんか?
 →「薬剤師が往診同行につくので、私たちからも一緒にお伝えします」と提案する。

このように、相手業界への理解を深めて具体的な提案をすることが、関心を持ってもらえるきっかけとなります。看護師の負担、介護スタッフの誤薬の多さ、薬の管理の煩雑さ、緊急時対応など、困っていることを把握し、相手に響くアプローチをすることがポイントです。

4. きらり薬局の営業活動の成功事例

きらり薬局では、在宅患者さんが1万人を突破しました。これは、薬剤師や営業スタッフによる的確かつ丁寧なアプローチが実を結んだ結果です。ここでは、きらり薬局の営業活動の成功事例を2つ紹介します。

4-1. 地域性を把握したアプローチで個人宅10件獲得

ある地域で、ケアマネジャーより「独居の患者さんが多い」という情報を聞いた営業スタッフが、地域の施設や関係者等への現状を伺いました。すると、市外に住むご家族や施設スタッフが、患者さんの通院同行をしていることが確認できました。

中には、ご家族が1時間弱かけて来るケースも多く、通院同行が負担となっていました。患者さん本人は、薬局に行くことはもちろん、服薬管理も難しい状況です。

そこで、きらり薬局が在宅訪問を行うことで、ご家族の負担が減ること、患者さんの定期的な見守りが可能となることをお伝えします。結果として、個人宅10件ほどの獲得につながりました。他職種からの情報をキャッチし、相手のニーズに沿った提案をできたことが、患者さんの紹介へとつながりました。

4-2. 5年にわたる継続訪問にてGH18名を獲得

あるグループホームに営業活動へ訪れたところ、既存薬局で満足されていたため、弊社の参入の可能性はありませんでした。しかし、施設長様の人柄がよく、「定期的な訪問をさせてください」とお伝え。その後、3〜4ヶ月に1回程度の訪問を、5年ほど続けました。訪問の際には、地域情報を伝えたり、栄養食品のサンプルやカタログを持参したりなどして、関係性を築きました。

ある日、既存薬局の担当者が変わったことをきっかけに、切り替えを検討している旨を薬局長様からご連絡いただきます。結果として、グループホーム18名の獲得へつなげることに成功しました。現時点では見込みがないとしても、多方面と信頼関係を築いておき、チャンスを逃さないことが大切です。

まとめ

「点数を取る」と聞くと、後ろめたく感じる薬局経営者の方もいるかもしれません。しかし、少子高齢化が続き、働き手が減少している中で、持続可能な医療体制を構築するためには、薬剤師の関与が不可欠です。患者さんが安心して暮らせる環境を提供するためにも、ぜひ積極的に在宅医療に踏み出してください。

きらりプライムサービスでは、在宅薬局経営のトータルサポートを行っています。在宅患者獲得にお悩みの薬局様には、営業戦略の策定やアポイントメント、営業同行を支援し、在宅薬局に特化した営業ノウハウをお伝えします。在宅薬局経営にお困りの薬局経営者の人は、ぜひきらりプライムサービスにご相談ください。

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