薬局DX・デジタル化推進のチャンス!電子的調剤情報連携体制整備加算の算定要件
2026年度(令和8年度)診療報酬改定により、従来の「医療DX推進体制整備加算」が再編され、新たに「電子的調剤情報連携体制整備加算」が新設されました。
これまでのシステムの導入状況を重視していた評価から、「取得した情報を現場の調剤や服薬指導へいかに実効的に還元するか」という活用の実態重視へとシフトしています。
今回は、電子的調剤情報連携体制整備加算の再編背景、算定要件・施設基準、そして薬局現場で求められる実践的な対応策を解説します。
1. 医療DX推進体制整備加算の点数と変更点
2. 電子的調剤情報連携体制整備加算の算定要件と施設基準
3. 算定取得に向けた薬局の対応策
3-1. マイナ利用率向上をめざす受付フローの再構築
3-2. 重複投薬等の電子チェックを調剤ワークフローに組み込む
3-3. 薬局内の情報セキュリティと非常時体制の確立
4. まとめ
1. 医療DX推進体制整備加算の点数と変更点
「電子的調剤情報連携体制整備加算」は、オンライン資格確認や電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスなどを活用し、患者さんの診療情報や薬剤情報を踏まえた質の高い調剤を実施する薬局を評価する加算です。
前身となる「医療DX推進体制整備加算」では、マイナ保険証の利用率などに応じて3区分で評価されていました。
しかし、2026年度調剤報酬改定では制度が見直され、名称を電子的調剤情報連携体制整備加算へ変更するとともに、従来の3区分を廃止し、月1回・8点の単一区分へ再編されています。
| (旧)医療DX推進体制整備加算 | (新)電子的調剤情報連携体制整備加算 | |
| 点数 | 10点 / 8点 / 6点(月1回) | 8点(月1回) |
| 電子処方箋の重複投薬等チェック体制の要件を追加 |
国は、オンライン資格確認や電子処方箋などの基盤整備が一定程度進んだことを踏まえ、全国共通の情報基盤を活用し、調剤情報や診療情報をリアルタイムで共有・活用する体制の構築を進めています。
そのため、電子処方箋やマイナ受付端末を導入しているだけでなく、電子処方箋管理サービスを活用して重複投薬や相互作用を確認し、その情報を服薬指導や疑義照会などの薬学的管理に生かすことが、新たな算定要件として位置付けられました。
2. 電子的調剤情報連携体制整備加算の算定要件と施設基準
電子的調剤情報連携体制整備加算を算定するには、地方厚生局長等への事前届出を行い、所定の施設基準を満たす必要があります。
届出にあたっては、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
基本となるデジタル基盤の整備
薬局の基本機能として、オンライン請求や資格確認が導入されていることが前提となります。
・レセプト電子請求を行っている。
・オンライン資格確認を行える体制を整備している。
・調剤録および薬剤服用歴を電子的に管理できる体制がある。
診療情報・電子処方箋の活用体制
システムを導入しているだけではなく、取得した情報を調剤や服薬指導に活用できる運用体制が必要です。
・オンライン資格確認による診療情報を閲覧・活用し、調剤に活用できる。
・電子処方箋を受け付けて、調剤できる体制がある。
・紙の処方箋も含め、原則として全ての調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録している。
・電子処方箋管理サービスの重複投薬等チェック機能を活用し、他剤との成分重複や不適切な飲み合わせ(併用禁忌等)がないかを確認できる体制がある。
・電子カルテ情報共有サービス等を活用し、医療機関と電子的に診療情報を共有・活用できる体制がある。
マイナ保険証の利用実績
医療DXの普及を進めるため、マイナ保険証の利用実績や患者さんへの情報提供体制も要件となっています。
・マイナ保険証利用率30%以上(算定月の3ヵ月前におけるレセプト件数ベース)
・マイナポータルを活用し、患者さんの健康相談に応じられる体制がある。
院内掲示・ホームページへの掲載
患者さんへ医療DXへの取り組みを周知するため、薬局内での掲示やホームページでの情報公開も必要です。薬局内の見やすい場所に、次の3つの内容を掲示します。
・オンライン資格確認で取得した診療・薬剤情報を調剤や服薬指導に活用していること。
・マイナンバーカードの健康保険証利用を促進するなど、医療DXに取り組んでいること。
・電子処方箋や電子カルテ情報共有サービス等を活用していること。
また、これらの内容は薬局のホームページにも掲載する必要があります(自社ホームページを持たない薬局は対象外)。
3. 算定取得に向けた薬局の対応策
電子的調剤情報連携体制整備加算を算定するには、施設基準を満たすだけでなく、電子的な診療・調剤情報を日常業務の中で適切に活用できる運用体制を整えることが重要です。
ここでは、現場の負担を抑えながら医療DXを推進し、加算の取得につなげる3つのポイントを紹介します。
3-1. マイナ利用率向上をめざす受付フローの再構築
算定には、マイナ保険証利用率30%以上という要件があります。受付時の案内方法や患者さんの動線を見直し、マイナ保険証を利用しやすい環境を整えましょう。
受付では、「マイナ保険証をお持ちですか」と確認するだけでなく、「他院で処方された薬や健診情報を確認できるため、より安全な服薬管理につながります」といったメリットを具体的に伝えることで、利用促進が期待できます。
また、顔認証付きカードリーダーを利用しやすい位置に設置し、受付から認証までの流れをわかりやすくすることも効果的です。高齢者や操作に不慣れな患者さんには、スタッフがサポートできる体制を整えましょう。
3-2. 重複投薬等の電子チェックを調剤ワークフローに組み込む
電子処方箋や電子的な薬剤情報を活用した重複投薬・相互作用の確認は、本加算の重要な要件であるとともに、安全な薬物療法を支える中核的な業務です。
レセコンや調剤システムでアラートが表示された際には、「誰が」「いつ」「どのタイミングで」確認し、必要に応じて疑義照会を行うのかを、あらかじめルール化しておきましょう。業務フローとして標準化することで、確認漏れを防ぎ、対応品質を均一化できます。
さらに、確認した情報は、服薬指導にも積極的に活用することが大切です。「他院のお薬との飲み合わせを確認しました」「併用に注意が必要なため、服用中に気になる症状があればご相談ください」といった説明を行うことで、患者さんの安心感が高まるだけでなく、薬剤師の専門性を発揮した薬学的管理にもつながります。
3-3. 薬局内の情報セキュリティと非常時体制の確立
電子的な診療情報や薬剤情報を安全に取り扱うためには、情報セキュリティ対策の徹底と、非常時にも業務を継続できる体制の整備が欠かせません。
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に基づき、定期的な情報セキュリティ研修を実施し、パスワード管理や端末管理、不審メールへの対応などの基本ルールをスタッフ全員で共有・徹底しましょう。
また、ネットワーク障害や停電などの非常時にも調剤業務を継続できるよう、BCP(事業継続計画)を策定しておくことも重要です。通信障害時の処方内容の確認方法や患者情報のバックアップ、復旧までの対応手順をマニュアル化し、定期的な訓練や見直しを行うことで、万が一の際にも安全かつ継続的な医療提供につなげることができます。
参考:厚生労働省|医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)
4. まとめ
2026年度調剤報酬改定で新設された電子的調剤情報連携体制整備加算は、薬局DXを推進し、安全で質の高い薬物療法を実現するための制度です。
加算の取得は収益面でのメリットがある一方、本来の目的は、電子処方箋や電子的調剤情報を活用して重複投薬や相互作用を防ぎ、患者さん一人ひとりに適した薬学的管理を提供することにあります。電子的な情報連携を日常業務に取り入れることで、医療機関との連携強化や服薬指導の質の向上にもつながり、地域における「かかりつけ薬局」としての価値をさらに高められるでしょう。
算定に向けては、自局のシステムが電子処方箋や電子的調剤情報に対応しているかを確認するとともに、マイナ保険証の利用促進や、受付・調剤・服薬指導までを含めた業務フローを見直し、無理なく運用できる体制を整備することが重要です。
きらりプライムサービスでは、調剤報酬改定への対応をはじめ、薬局DXの推進、在宅医療の強化、業務効率化など、地域密着型薬局の経営を幅広くサポートしています。各種加算への対応や、薬局の体制づくりにお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。


