調剤管理料の変更ポイントと今後の対策 短期処方が多い薬局はどうなる?どうする?
2026年度調剤報酬改定では、対物業務から対人業務への転換が強く示されました。中でも「調剤管理料」の再編は、急性期疾患や短期処方をメインとしてきた薬局にとって、死活問題ともいえるインパクトをもたらします。
本記事では、2026年改定における調剤管理料の変更ポイントを詳解し、大幅な減収が予想される短期処方中心の薬局が、今後どのような対策を講じるべきかを多角的に解説します。
1. 【2026年改定】調剤管理料が4区分→2区分へ
2. 短期処方への評価が縮小された背景
3. 今後の対策:減収を補い、生き残るための4つの戦略
3-1. ①調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算の算定
3-2. ②医師との連携や個人宅対応による在宅強化
3-3. ③かかりつけ業務が加算へ。服薬管理指導料の強化
3-4. ④地域密着型経営へのシフト
4. まとめ
1. 【2026年改定】調剤管理料が4区分→2区分へ
2026年度調剤報酬改定では、内服薬の調剤管理料が、これまでの4区分から、2区分に統合・簡素化されます。
| 旧 | 改定後(2026年度~) |
| 7日分以下:4点 | 27日分以下:10点 |
| 8~14日分:28点 | |
| 15~28日分:50点 | 28日分以上:60点 |
| 29日以上:60点 |
これまでは、処方日数が長くなるほど薬学的分析の難易度が上がるという考えのもと、4段階で点数が設定されていました。しかし、2026年度改定では、27日分以下は一律10点となります。
さらに、重複投薬のチェックなどを評価していた調剤管理加算(3点)も廃止されました。これにより、これまで「8〜27日分」の処方を多く受けていた薬局は、収益が大幅に削られることが予想できます。
2. 短期処方への評価が縮小された背景
調剤管理料の点数設定の背景には、厚生労働省の「対物から対人へ」という一貫した方針と、医療の効率化(リフィル処方箋の推進)があります。
27日以下の処方に対し、10点という低い点数をつけることで、医師に対しても、また薬局に対しても、より長期の安定した処方(あるいはリフィル処方箋)への移行を促しています。
また、中医協の資料によれば、調剤管理料全体の予算枠は大きく変わっていません。つまり、「短期・中期処方から削った財源を、28日以上の長期処方や在宅業務に充てる」という構造になっています。
出典:厚生労働省|中央社会保険医療協議会 総会(第616回) 議事次第
3. 今後の対策:減収を補い、生き残るための4つの戦略
「短期処方の枚数を回す」という従来のビジネスモデルが限界を迎える中、薬局が生き残る鍵は、専門性の発揮と業務の多角化にあります。
3-1. ①調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算の算定
対物業務の評価が引き下げられる一方で、対人業務の評価は強化されています。調剤管理料の減少分は、薬剤師の専門的介入による加算で補うことが不可欠です。
2026年調剤報酬改定では、以下の加算が新設されました。
調剤時残薬調整加算
患者さんの残薬を確認し、疑義照会を経て、処方日数を7日分以上(内服薬)調整した場合に、以下の点数を算定。
(イ)在宅患者の処方交付前に処方提案して反映された場合:50点
(ロ)在宅患者に実施した場合:50点
(ハ)かかりつけ薬剤師が実施した場合:50点
(二)上記以外(在宅、かかりつけ以外):30点
薬学的有害事象等防止加算
残薬調整を除く、重複投薬や相互作用などの疑義照会により、処方変更が行われた場合に、以下の点数を算定。
(イ)在宅患者の処方交付前に処方提案して反映された場合:50点
(ロ)在宅患者に実施した場合:50点
(ハ)かかりつけ薬剤師が実施した場合:50点
(二)上記以外(在宅、かかりつけ以外):30点
どちらの加算も、在宅やかかりつけ薬剤師による継続的な関与が高く評価される設計となっています。残薬確認や副作用チェックを薬剤師の標準業務として設計し、確実に算定につなげる体制づくりを進めることが求められます。
3-2. ②医師との連携や個人宅対応による在宅強化
2026年度調剤報酬改定では、在宅業務の訪問間隔について、従来の「6日以上の間隔」という制限が撤廃され、「週1回を限度」というルールへと見直されました。これにより、患者さんの状態に応じた機動的な訪問スケジュールの設計が可能となり、在宅業務の実効性は大きく向上します。
さらに、外来の収益性が低下する一方で、在宅の点数は拡充傾向にあります。
医師との同行訪問の評価として、訪問薬剤管理医師同時指導料(150点)が新設され、チーム医療の中での薬剤師の役割はより明確になりました。
在宅薬学総合体制加算2では、個人在宅の点数が100点に引き上げられています。施設依存から脱却し、個人在宅への対応力を高めることが、収益性と専門性の両立を実現する鍵となります。
3-3. ③かかりつけ業務が加算へ。服薬管理指導料の強化
2026年度改定では、かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料が廃止され、服薬管理指導料の中に加算として再編されました。
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点/3ヶ月に1回)
服薬期間中に、かかりつけ薬剤師が電話などで状況確認や副作用チェックを行い、必要な服薬指導を行った場合に算定。
かかりつけ薬剤師訪問加算(230点/6ヶ月に1回)
かかりつけ薬剤師が患家を訪問し、服薬管理や残薬管理を行い、医師に情報提供を行った場合に算定。
このほか、オンライン服薬指導や小児特定加算(350点)など含め、服薬管理指導料は対人業務の中核として位置づけられています。服薬管理指導料を算定するには、薬剤師がより専門性の高い業務へ集中できる環境を整えることも大切です。
3-4. ④地域密着型経営へのシフト
基本料の見直しが進む中で、薬局には地域の医療インフラとしての役割がより強く求められています。
具体的には、以下のような取り組みが重要となります。
・OTC医薬品や健康相談の常設化
・血糖値・コレステロールなどの検体測定サービスの導入
・処方箋がなくても立ち寄れる導線設計(待合スペース・導線改善)
・かかりつけ薬剤師による継続的なサポート体制の構築
「処方箋があるときだけ来る場所」から、「日常的に健康を相談できる場所」へ。薬局のファンをつくることが、処方箋に依存しない安定経営へとつながります。
4. まとめ
2026年度の調剤報酬改定では、調剤管理料が2区分となり、短期処方が中心の薬局では減収となる可能性があります。今回の改定では、処方日数の長短ではなく、患者さんの薬物療法全体を「継続的に・責任を持って管理する」姿勢そのものを評価するという方向性が示されました。
一方で、短期処方の患者さんであっても、将来的な慢性疾患への移行を予防する関与や、潜在的な副作用の早期発見といった専門性を発揮することが重要です。そうした積み重ねが患者さんからの信頼を獲得し、結果として“選ばれる薬局”へとつながっていきます。
これからの薬局経営には、処方箋の枚数に依存するビジネスモデルから脱却し、地域における「健康管理の拠点」へと機能をアップデートすることが不可欠です。
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