調剤管理料の変更ポイントと今後の対策 短期処方が多い薬局はどうなる?どうする?

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

2026年度の調剤報酬改定では調剤管理料が見直され、短期処方を中心に応需する薬局ほど減収の影響を受けやすい仕組みへと変更されました。

薬局には在宅医療や服薬フォローアップをはじめとする継続的な薬学管理が求められており、処方箋応需に依存した経営方針は一度見直す必要があります。

この記事では、調剤管理料改定の背景や具体的な変更点、薬局経営への影響を整理したうえで、今後求められる対応策や経営戦略について解説します。

1. 【2026年改定】調剤管理料は「4区分→2区分」へ再編

従来の調剤管理料は、処方日数に応じて4段階で評価されていました。しかし、2026年度調剤報酬改定では区分が見直され、原則として「27日分以下」と「28日分以上」の2区分へと再編されています。

改定前 改定後(2026年度~)
7日分以下:4点 27日分以下:10点
8~14日分:28点
15~28日分:50点 28日分以上:60点
29日以上:60点

従来は、処方日数が長くなるほど服薬管理の難易度や薬学的管理の負担が増すという考え方から、4段階で細かく評価されていました。しかし、今回の改定では、27日分以下の処方が一律10点となり、8〜28日分の処方に対する点数が引き下げられています。

28日分以上の長期処方については、60点が維持されました。長期処方では、服薬期間中の副作用の確認や服薬状況の把握、継続的なフォローアップなど、薬剤師が担う薬学的管理の重要性が高いためです。今回の改定は、こうした継続的な患者支援を、より適切に評価する仕組みへと見直されたものといえます。

また、これまで重複投薬や相互作用の確認などを評価していた調剤管理加算も廃止されました。これらの業務は、薬剤師が当然行うべき基本業務と位置付けられ、個別の加算ではなく調剤管理料全体の考え方に組み込まれています。

2. 短期処方への評価が縮小された背景

調剤管理料の点数設定の背景には、厚生労働省が進める「対物業務から対人業務へ」という方針と、医療費の適正化、持続可能な医療提供体制の構築があります。

2-1. 長期処方・リフィル処方箋の普及推進

国は、慢性疾患など病状が安定している患者さんに対し、長期処方やリフィル処方箋の活用を積極的に推進しています。目的は、患者さんの通院負担の軽減、医療機関や薬局の業務効率化、および医療費の適正化です。

これまでは、症状が安定している患者さんでも短期間ごとに受診し、その都度処方箋が発行されるケースが一般的でした。しかし、このような受診・調剤のあり方は、患者さん・医療機関・保険財政のいずれにとっても負担が大きいと考えられています。

そのため今回の改定では、短期処方に対する調剤管理料の評価が見直され、継続的な服薬管理や在宅医療といった、薬剤師の専門性が発揮される業務を重点的に評価する仕組みへと移行しています。

2-2. 対物業務から対人業務への移行

もうひとつの大きな背景が、薬剤師業務の質的転換です。

自動調剤機器や監査システム、電子薬歴などのICTが普及したことで、ピッキングや監査、一包化といった対物業務は効率化が進んでいます。

一方で、患者さんごとの服薬状況や体調の変化を把握し、安全で適切な薬物療法を支える業務は、薬剤師にしか担えない専門性の高い役割です。そのため調剤報酬も、在宅訪問、処方提案、服薬フォローアップなど、対人業務を重視する方向へとシフトしました。

中医協の資料によると、調剤管理料全体の評価額が大きく削減されたわけではありません(*1)。短期・中期処方に配分されていた評価を見直し、長期処方や在宅医療、継続的な服薬支援など、薬剤師の専門性がより発揮される薬学的管理へ重点的に配分する考え方が示されています。

今回の改定は、単なる減算ではなく、薬剤師の専門性を生かした対人業務を適切に評価するための見直しといえるでしょう。

*1 出典:厚生労働省|中央社会保険医療協議会 総会(第616回) 議事次第

3. 影響を受けやすい薬局の特徴

2026年度調剤報酬改定による調剤管理料の見直しは、短期処方を中心に応需し、処方箋枚数によって収益を確保してきた薬局ほど影響が大きいと考えられます。

ここでは、特に減収リスクが高い薬局の特徴を紹介します。

3-1. 耳鼻咽喉科、小児科、整形外科などの門前薬局

耳鼻咽喉科や小児科、整形外科などの門前薬局では、風邪や感染症、外傷など急性疾患の患者さんが多く、3〜14日程度の短期処方が中心となる傾向があります。

今回の改定では、短期処方に対する調剤管理料の評価が縮小されたため、処方箋枚数が変わらなくても収益が減少する可能性があります。これまで、多くの処方箋を応需することで売上を確保してきた薬局ほど、影響は大きくなるでしょう。

また、急性疾患の処方は患者さんとの関わりが一時になりやすく、継続的な服薬フォローや在宅医療へ発展する機会も限られます。新たな支援へ移行しにくいことも、短期処方中心の薬局が抱える課題のひとつです。

3-2. 面対応率が低い医療モール型薬局

特定のクリニックや診療科からの処方箋が大半を占める医療モール型薬局も、影響を受けやすいと考えられます。

地域住民から広く処方箋を受け付ける「面対応」や、在宅医療への取り組みが不十分な場合、短期処方の減収をカバーする収益源を確保しにくい点が課題となります。今後は、地域住民や複数の医療機関とのつながりを広げ、処方箋の受け付け先を分散させることも、安定した経営につながる重要な取り組みとなるでしょう。

3-3. かかりつけ機能や対人業務が十分に整備されていない薬局

かかりつけ薬剤師・薬局機能、在宅医療、服薬フォローアップなどの対人業務体制が整っていない薬局も注意が必要です。

調剤管理料の減少分を補うには、服薬管理指導料や各種加算、在宅関連報酬の算定が不可欠ですが、体制が未整備のままでは新たな評価を得られず、収益性の低下につながります。

今後は、薬剤師一人ひとりの対人業務スキルを高めるとともに、電子薬歴やICTを活用したフォローアップ体制の整備、地域の医療・介護職との連携強化など、継続的な薬学的管理を実践できる環境づくりが求められます。

4. 減収を補い、生き残るための4つの戦略

調剤管理料の見直しによる減収を補うには、処方箋枚数に依存した経営から脱却し、薬剤師の専門性を生かした対人業務を強化することが重要です。2026年度調剤報酬改定では、患者さんへの継続的な薬学的管理や処方提案など、医療の質の向上につながる取り組みがこれまで以上に評価されています。

ここでは、薬局経営を安定させるために取り組みたい4つの戦略を紹介します。

4-1. ①調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算の算定

2026年度調剤報酬改定では、調剤管理料など対物業務に対する評価が見直される一方で、薬剤師が専門性を発揮し、患者さんの薬物療法へ積極的に介入した場合の評価が新たに充実しました。

そのひとつが、「調剤時残薬調整加算」と「薬学的有害事象等防止加算」です。従来の「重複投薬・相互作用等防止加算」が廃止され、残薬の調整や副作用リスクへの対応、処方提案など、薬剤師が患者さんの薬物療法の質を向上させるために行った具体的な介入を評価する仕組みへと見直されました。

調剤時残薬調整加算

患者さんの残薬を確認し、疑義照会を行ったうえで、内服薬の処方日数を7日分以上調整した場合に算定できます。

(イ)在宅患者の処方交付前に処方提案して反映された場合 50点
(ロ)在宅患者に実施した場合 50点
(ハ)かかりつけ薬剤師が実施した場合 50点
(二)上記以外(在宅、かかりつけ以外) 30点

薬学的有害事象等防止加算

残薬調整以外に、重複投薬や相互作用、副作用リスクなどを確認し、疑義照会によって処方変更が行われた場合に算定できます。

(イ)在宅患者の処方交付前に処方提案して反映された場合 50点
(ロ)在宅患者に実施した場合 50点
(ハ)かかりつけ薬剤師が実施した場合 50点
(二)上記以外(在宅、かかりつけ以外) 30点

薬剤師には、患者さんの服薬状況を把握し、処方内容を見直すことで、治療効果の向上や副作用の防止につなげる役割が期待されています。

加算を安定して算定するためには、残薬確認や副作用のモニタリング、処方内容のチェックを、日常的な業務として定着させる工夫が必要です。患者さんとのコミュニケーションを密にし、医師への情報提供や疑義照会を適切に行える体制を整えることで、調剤管理料の減収を補うだけでなく、患者さんの治療成果の向上や医療費の適正化にも貢献できるでしょう。

4-2. ②医師との連携や個人宅対応による在宅強化

2026年度調剤報酬改定では、個人在宅の患者さんに対する薬学的管理の評価が拡充されました。

新設された「訪問薬剤管理医師同時指導料」(150点)は、単一建物診療患者(単一建物居住者)が1人の個人在宅患者を対象に、医師と薬剤師が同時に訪問し、薬学的管理や服薬支援を行った場合に算定できる評価です。

また、地域における在宅対応体制を評価する「在宅薬学総合体制加算2」では、個人宅への対訪問実績が必須となりました。あわせて、個人在宅への対応は100点と高い点数が設定されており、個々の患者さんに寄り添った在宅医療を重視する方向性が明確に示されています。

これまで施設在宅を中心に取り組んできた薬局も、個人在宅への対応力を高めることで、収益基盤の強化につながります。医師や看護師、ケアマネジャーなど多職種との連携を強化し、地域に深く根ざした在宅医療を推進しましょう。

4-3. ③かかりつけ業務が加算へ。服薬管理指導料の強化

服薬管理指導料は、薬剤師による対人業務を評価する基本的な評価です。オンライン服薬指導や小児特定加算など、患者さんの状況や指導方法に応じた評価体系が整備されています。

2026年度調剤報酬改定では、従来の「かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料」が見直され、服薬管理指導料における各種加算へと再編されました。これにより、同意書の取得という形式的な評価から、実際に行った薬学的管理を評価する仕組みへと進化しています。

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点/3ヶ月に1回)

服薬期間中に、かかりつけ薬剤師が電話などで服薬状況や副作用の有無を確認し、必要に応じて服薬指導を行った場合に算定できます。

かかりつけ薬剤師訪問加算(230点/6ヶ月に1回)

かかりつけ薬剤師が患者さんの自宅を訪問し、服薬管理や残薬確認を行うとともに、医師へ情報提供を実施した場合に算定できます。

短期処方中心の薬局が調剤管理料の減収を補うには、単発の調剤で完結させるのではなく、患者さんとの継続的な接点を構築することが不可欠です。

電話やチャットアプリによるフォローアップや在宅訪問を推進し、継続的な薬学的管理を実践することで、服薬管理指導料の各種加算を安定して算定できるようになります。

4-4. ④地域密着型経営へのシフト

2026年度調剤報酬改定では、調剤管理料の見直しをはじめ、処方箋の受付枚数に依存した薬局経営から、患者さんを継続的に支える地域密着型の薬局経営への転換がより強く求められています。

日頃から地域との接点を増やし、患者さんとの信頼関係を築くことが、長期的な経営の安定につながります。

具体的には、次のような取り組みを通じて、地域住民との接点を増やしていきましょう。

・OTC医薬品や衛生用品を充実させ、気軽に利用できる環境を整える
・健康相談や栄養相談を定期的に実施する
・血糖値やコレステロールなどの検体測定サービスを導入する
・処方箋がなくても立ち寄りやすい待合スペースや相談スペースを整備する
・かかりつけ薬剤師による継続的な服薬フォローや健康サポートを充実させる
・在宅医療や多職種連携を強化し、地域包括ケアの一員としての役割を果たす

こうした取り組みを積み重ねることで、患者さんとの信頼関係が深まり、処方箋応需や在宅訪問の依頼、かかりつけ薬剤師の利用につながる可能性が高まります。また、地域から「困ったときに相談できる薬局」と認識されることで、調剤報酬だけに依存しない、安定した経営基盤の構築にもつながるでしょう。

5. まとめ

2026年度調剤報酬改定では、調剤管理料が2区分へ再編され、短期処方を中心に応需する薬局ほど減収の影響を受けやすい制度となりました。

調剤管理料の減収を補うには、調剤時残薬調整加算や薬学的有害事象等防止加算の算定、在宅医療への参画、服薬管理指導料の各種加算の活用など、対人業務を強化していくことが欠かせません。地域住民との接点を増やし、「健康や薬のことなら相談できる薬局」として信頼を積み重ねていくことも重要です。

きらりプライムサービスでは、在宅医療の立ち上げ・強化をはじめ、薬剤師の育成、加算算定体制の整備、薬局経営の改善など、在宅薬局に関する幅広いご相談を承っています。現場の課題に寄り添った実践的な支援を行っていますので、今後の調剤報酬改定への対応や経営戦略にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

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