調剤報酬改定で「かかりつけ薬剤師」は行動評価へ! 薬局の価値を高める具体的な取り組みとは?
2026年度調剤報酬改定において、「かかりつけ薬剤師指導料」および「かかりつけ薬剤師包括管理料」が廃止され、新たな加算が新設されました。今後は、実質的な行動と成果を評価する体系へと移行します。
本記事では、かかりつけ薬剤師の新設加算の詳細と、加算取得に向けた具体的なアクションについて解説します。
| ※この記事は、きらりプライムサービスのWEBセミナー「かかりつけが薬局の価値を高める〜新設加算の全容と、患者さんに選ばれる薬剤師への『行動変容』ガイド〜」の内容をもとに作成しています。 →最新のセミナーはこちら |
1. 【2026年改定】かかりつけ薬剤師の要件の変化
2. 「薬剤師フォローアップ加算」の算定条件
3. 「かかりつけ薬剤師訪問加算」の算定要件
4. かかりつけ患者を増やす4つのステップ
4-1. ①ターゲット層を見極める
4-2. ②薬局内の協力体制の構築
4-3. ③患者さんのペースに合わせた服薬指導
4-4. ④次回の来局の動機付け
5. まとめ
1. 【2026年改定】かかりつけ薬剤師の要件の変化
2026年度調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師の要件が一部緩和され、より柔軟な運用が可能となりました。
| 旧 | 改定後(2026年度~) | |
| 算定項目 | かかりつけ薬剤師指導料 | 服薬管理指導料1のイ |
| 薬剤師要件 | ・保険薬局勤務3年以上 ・週32時間以上勤務 ・当該薬局に1年以上在籍 ・研修認定薬剤師の取得 ・地域活動への参画 |
・保険薬局勤務3年以上 ・週31時間以上勤務(※育児・介護等の場合:週24時間以上かつ週4日以上) ・当該薬局に6ヶ月以上在籍 ・研修認定薬剤師の取得 ・医療に係る地域活動への参画 |
| 人員 | - | ・常勤薬剤師の在籍期間が平均1年以上 または ・管理薬剤師の在籍期間が3年以上 |
| 設備 | 患者さんのプライバシー配慮 | 患者さんのプライバシー配慮 |
※赤字は2026年度改定による変更・追加点
出典:厚生労働省|令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】
これまで必要だった同意書は不要となり、お薬手帳への記載(薬剤師名および「かかりつけ」の明記)により算定可能となりました。
そして、かかりつけ薬剤師は独立した指導料ではなくなり、服薬管理指導料の加算として、「薬剤師フォローアップ加算」と「かかりつけ薬剤師訪問加算」が新設されています。
2. 「薬剤師フォローアップ加算」の算定条件
薬剤師フォローアップ加算は、かかりつけ患者の服薬・残薬状況の継続的なフォローアップを評価する加算です。 3ヶ月に1回、50点 を算定できます。
算定要件
かかりつけ患者であり、かつ直近6ヶ月以内に、以下のいずれかを算定していること。
・外来服薬支援料1
・服用薬剤調整支援料1または2
・調剤管理料(調剤時残薬調整加算)
・調剤管理料(薬学的有害事象等防止加算)
算定の流れ
| ①来局時 | フォローアップ内容と自己負担額を説明し、患者さんと家族の同意を得る。 |
| ②服薬期間中 | 受診間隔等を踏まえ、薬学的に適切な時期にフォローアップを実施し、記録に残す。体調変化等が確認された場合は、医療機関への情報提供や受診勧奨を行う。 |
| ③次回来局時 | 記録に基づき、後日来局したときに算定する。 |
服薬期間中のフォローが前提となるため、調剤当日の対応は対象外です。また、フォローアップの実施にあたっては、一方的な定型メールやチェック方式の通知ではなく、 双方向コミュニケーションができること が条件となります。
3. 「かかりつけ薬剤師訪問加算」の算定要件
かかりつけ薬剤師訪問加算は、かかりつけ患者の自宅を訪問し、服薬管理や指導を行った際の評価です。 6ヶ月に1回、230点 を算定できます。
算定の流れ
| ①事前説明 | 指導内容と自己負担額について説明し、算定について患者さんと家族の了承を得る。 |
| ②訪問 | 患家を訪問し、服薬管理指導や残薬整理を行う。 |
| ③記録・情報提供 | 残薬状況や指導内容を薬歴に記載し、結果を医療機関へ情報提供する。 |
かかりつけ薬剤師訪問加算の算定対象としては、薬局来局が困難になりつつある患者さん、自己管理が難しくなってきた患者さんなど、在宅医療への移行が見込まれる層が考えられます。
なお、かかりつけ薬剤師訪問加算は、外来不薬支援料1、施設連携加算、服薬情報等提供料などとの併算定はできません。
4. かかりつけ患者を増やす4つのステップ
かかりつけ患者を増やすには、薬剤師が介入する価値を患者さん自身に実感してもらうアプローチがポイントです。ここでは、現場で実践しやすい4つのステップに整理します。
4-1. ①ターゲット層を見極める
すべての患者さんを対象にするのではなく、 価値提供できる層にフォーカスする ことで、同意取得の確度が高まります。
具体的には、以下のような患者さんが考えられます。
・ハイリスク患者
ポリファーマシーや副作用への不安を抱えている患者さん
・生活圏内の患者さん
在宅移行後も支援しやすく、緊急時の相談ニーズが高い近隣の患者さん
・世帯のキーパーソン
家族の健康管理や介護を担う世代
どの患者さんにニーズがあるかを見極めるには、日頃のコミュニケーションが不可欠です。患者さん本人はもちろん、ご家族やケアマネジャーとも関係性を築き、情報を多面的に捉えましょう。
4-2. ②薬局内の協力体制の構築
かかりつけの獲得は、薬剤師単独ではなく「薬局全体の仕組み」として取り組むことがポイントです。
| ①事前準備 | かかりつけ候補の患者さんをリストアップする。 |
| ②受付時(事務員) | 事務員が「かかりつけ薬剤師制度」について、チラシやリーフレットを配布する。 |
| ③投薬時(薬剤師) | 薬剤師が改めて制度について伝え、患者さんの意向を確認する。 |
接点ごとに役割を分担することで、自然な流れでの声かけが可能になります。患者さんに威圧感を与えないよう、対話を重ねながら丁寧に案内していきます。
4-3. ③患者さんのペースに合わせた服薬指導
服薬指導では、一方的に指示するのではなく、患者さんの「納得」を引き出すコミュニケーションが信頼関係の構築につながります。
たとえば、 「~してください」と伝えるのではなく、
「どうすれば続けられそうですか?」
「どちらの方法が負担なくできそうですか?」
といった問いかけにより、 患者さん自身が選択できる 余地をつくります。
自ら決めた行動は遵守率が高く、服薬アドヒアランスの向上にも直結します。患者さんのライフスタイルや価値観を丁寧に引き出し、日常に寄り添った提案を重ねることで、「気軽に相談できる薬剤師」として信頼してもらえるでしょう。
4-4. ④次回の来局の動機付け
関係性を単発で終わらせず、「継続的な関係構築」につながる声掛けを意識しましょう。
たとえば、「次の受診(来局)まで、今日決めたことを続けてみてくださいね。次回にぜひ教えてください」といった一言で、患者さんの中で薬局に来る理由が生まれます。
また、服薬フォローアップは、かかりつけの同意取得を促すアクションです。「薬剤師に気にかけてもらえている」という実感が特別感を生むだけでなく、不安や副作用の早期発見、医師へのフィードバックなど、より手厚い支援にもつながります。この伴走感が、2回目来局時の同意取得や指名に結びつきます。
5. まとめ
かかりつけ薬剤師の価値は、「患者さんに継続的に寄り添うこと」にあります。医師には言いにくい不安を引き出し、ライフスタイルに合わせて服薬方法を翻訳するのは、薬剤師だからこそできる役割です。
かかりつけ患者を増やすためには、薬剤師自身のマインドセットも問われます。同意を得ることを目的とするのではなく、「お薬のことはすべて任せてください」という覚悟ある姿勢が、患者さんの信頼と選択につながります。
きらりプライムサービスでは、在宅薬局の体制構築をトータルで支援しています。かかりつけ薬剤師の採用・育成から、在宅強化や加算取得に向けた仕組みづくりまで、知っておきたいことがあればお気軽にご相談ください。


