調剤薬局・ドラッグストアの市場規模と最新動向

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

調剤薬局やドラッグストア業界は、新規出店やM&Aによる業界再編が加速する一方で、薬剤師不足や物価高騰、そして「対物から対人へ」という抜本的な業務シフトへの対応が求められています。

この記事では、2026年現在の調剤薬局・ドラッグストアの市場規模を最新データに基づいて分析し、在宅訪問の拡大やオンライン服薬指導、M&Aの最新事例といった業界動向をレポートします。

1. 【2026年】調剤薬局の市場規模:再編と倒産が加速

日本の調剤医療費は、2024年度に8兆4,008億円(前年度比+1.6%)と、緩やかな増加を続けています。処方箋枚数も増加基調にある一方で、処方箋1枚当たりの調剤医療費は9,387円(前年度比+ 0.3%)と伸びは限定的です。調剤市場は単価の上昇ではなく、枚数増加によって全体規模を維持・拡大している構図が見て取れます。

出典:厚生労働省|「令和6年度 調剤医療費(電算処理分)の動向」を公表します ~調剤医療費(電算処理分)の年度集計結果~ をもとに作成

調剤薬局業界は、個人経営や小規模法人薬局が多数を占めています。しかし、薬局数が飽和状態に近づくにつれ競争は激化し、経営体力の乏しい薬局を中心に再編圧力が強まっています。

実際、2025年に倒産した調剤薬局は38件と過去最多を更新し、その約8割が負債1億円未満の小規模倒産でした。地域密着型であっても、経営基盤が脆弱な薬局は、市場からの退出を余儀なくされる局面に入っていることがうかがえます。

加えて、後継者問題は依然として深刻です。薬剤師の確保難や報酬改定の影響も相まって、親族内承継が困難となるケースは増加傾向にあります。その結果、近年はM&Aを事業継続の有力な選択肢とする動きが顕在化しています。大手調剤チェーンや中堅企業による買収が増えている背景には、スケールメリットの確保に加え、かかりつけ機能や在宅対応を組織的に強化したいという戦略的意図があります。

2026年、小規模薬局が生き残るためには、地域に根差したかかりつけ機能の高度化とともに、早期から承継やM&Aを視野に入れた経営判断が不可欠となるでしょう。

出典:「調剤薬局」の倒産が止まらない、過去最多の38件 大手は統合再編へ、小規模店は倒産が加速 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ

2. 【2026年】ドラッグストアの市場規模:10兆円時代への突入と調剤併設の加速

ドラッグストア業界全体の売上高は、2024年に10兆円を突破し、生活インフラとしての存在感を一段と強めています。中でも成長を牽引しているのが、調剤併設型ドラッグストアの拡大です。

2024年度のドラッグストアにおける調剤額は1兆5,205億円に達し、調剤医療費全体に占めるシェアは18.4%まで拡大しました。ドラッグストアが調剤市場における主要プレイヤーの一角を占めつつあることが、数字の上からも明らかになっています。

出典:【ドラッグストア協会】調剤額前年比8.4%増の1兆5205億円に/JACDSドラッグストアの実態調査をもとに作成

ドラッグストアは、日用品や化粧品を中心とした小売業から、医療と生活をつなぐ地域拠点へと役割を大きく変化させています。処方箋受付を起点に来店頻度が高まり、OTC医薬品や健康関連商品の併売による相乗効果も見込めることから、調剤は収益の安定化に寄与する重要な事業領域です。2026年は、既存の店舗網に調剤機能を組み込み、出店効率を高めながら地域医療への関与を深める動きがさらに加速すると考えられるでしょう。

ドラッグストア業界におけるM&Aも、規模拡大や店舗数増加を目的とした段階から、「地域でどのような医療・健康機能を提供するか」という価値設計を重視するフェーズへと移行しつつあります。調剤薬局の買収は、売上の積み増しにとどまらず、在宅対応力やかかりつけ機能、地域医療との接点を獲得するための戦略的手段として位置づけられています。

一方で、薬剤師の確保や在宅医療への対応、かかりつけ薬剤師機能の実装といった課題は、ドラッグストアと調剤薬局に共通する課題です。調剤規模を拡大するほど人材戦略や専門性の確立が経営のボトルネックとなり、資本力だけでは解決できない局面も今後ますます増えていくでしょう。

3. 【2026年】薬局業界の最新動向

2026年、薬局業界は「人材」「在宅医療」「資本力」の3点を軸に大きな転換期を迎えています。調剤報酬改定や医療DXの進展により、従来の立地依存型の経営は限界を迎えつつあります。今後は、薬剤師の質と専門性、在宅対応力が、薬局の将来を左右する時代となるでしょう。

3-1. 医療DXと制度変更がもたらす薬局機能の再定義

電子処方箋の本格運用、オンライン資格確認の高度化、PHR(パーソナルヘルスレコード)の利活用拡大など、医療DXは単なる業務効率化の枠を超え、薬局の役割そのものを変えつつあります。各種システムやデータを活用し、患者さんの服薬情報や受診歴、生活背景を横断的に把握したうえで、医療・介護をつなぐハブとして機能することが求められています。

調剤報酬においても、かかりつけ機能の強化や地域包括ケアとの連動を前提とした評価体系への移行が進んでいます。今後は体制整備だけでは不十分で、地域医療に貢献した実績が厳しく問われます。制度の方向性を読み取り、薬局の機能を再設計する必要があるでしょう。

3-2. 薬剤師の「地域偏在」と「スキル格差」の拡大

薬剤師数は全国的には増加傾向にあるものの、その分布には大きな偏りがあります。東京・大阪などの都市部では薬剤師過多の状況が続き、求人倍率の低下や給与水準の伸び悩みが顕著です。一方で、地方や中山間地域、離島では、紹介会社を通じても採用が成立しないケースが相次ぎ、医療提供体制そのものが不安定化しています。

さらに深刻なのが、スキル面での二極化です。電子処方箋やAI薬歴、PHRといった新たな仕組みを使いこなし、データを基に多職種と議論できる薬剤師と、従来型業務にとどまる薬剤師との間で、評価や処遇の差は拡大していくと考えられます。

3-3. 在宅医療の質の底上げ

2026年度調剤報酬改定では、在宅医療における薬局・薬剤師の役割が、さらに重視される見込みです。在宅対応は、もはや一部の先進的な薬局だけの取り組みではなく、薬局経営における前提条件となりつつあります。

特に評価されるのは、末期がん患者への医療用麻薬管理、小児在宅医療、中心静脈栄養(輸液管理)など、高度な専門性を要する分野です。これらに対応できる薬局・薬剤師は依然として限られており、地域医療において不可欠な存在として強いニーズがあります。

単に在宅件数を増やすのではなく、医師や訪問看護師、介護職と連携しながら、どれだけ質の高い在宅医療を提供できているかが、今後の評価と収益性を大きく左右することになります。

3-4. 資本力格差によるM&Aの加速と選別の時代

現在の薬局業界は、医療DXへの対応、サイバーセキュリティ対策、調剤ロボットやICTシステムの導入など、継続的な投資を前提とする経営環境へと変化しています。こうした投資に耐えられない個人薬局や小規模チェーンは、資本力を有する大手調剤チェーンやドラッグストアに吸収される形で、業界再編が急速に進んでいます。M&Aは後継者不在対策にとどまらず、「生き残るための戦略的統合」として常態化しつつあります。

今後、調剤薬局が生き残るには、どの企業と組み、地域医療の中でどのような役割を担う薬局になるのかを、主体的に選択していくことも必要となるでしょう。

4. 調剤薬局が生き残るための「2026年経営戦略」

2026年4月の調剤報酬改定では、対人業務の質、地域医療への貢献度、そしてデータ活用力が、これまで以上に重視されます。

10年後、20年後を見据え、調剤薬局が持続的に成長していくために、いま取り組むべき7つの経営戦略を整理します。

4-1. 薬剤師をルーチンから解放し臨床判断へシフト

これからの薬剤師の価値は、正確な調剤ではなく、「患者さんの治療アウトカムにどのように貢献したか」という基準で評価されるようになります。マイナポータルやPHRを通じて得られるバイタルデータ、検査値、服薬履歴を総合的に読み解き、副作用の早期発見や処方内容の最適化を医師に提案できる力が求められます。

また、服薬説明を中心とした業務から、生活背景や価値観を踏まえたアドヒアランス向上のためのコーチングへと役割を広げていく必要があります。生活リズムや家族構成、認知機能などを考慮し、患者さん一人ひとりに合わせた継続的な支援ができる薬剤師の育成が重要です。

薬剤師の対人業務の質を高めるためには、ICTツールやアプリなどの活用も欠かせません。たとえば服薬フォローアップでは、単発で終わらせず、継続的なコミュニケーションツールとして運用し、服薬状況の改善や副作用の早期発見につながる実績を積み上げていくことが大切です。

4-2. 地域支援体制加算の確実な算定

地域支援体制加算では、かかりつけ機能、在宅対応、多職種連携、24時間対応といった要素を横断的に満たすことが求められ、薬局の運営力そのものが問われます。2026年度改定では、形式的な体制整備ではなく、より実態・実績を重視した評価へと移行する見込みです。

加算を安定的に算定するためには、場当たり的に対応するのではなく、各要件について目標値と現状値を明確にし、達成に向けた具体的なアクションを設定することが重要です。ひとつひとつの項目について現状を可視化し、何が不足しているのか、どこを強化すべきかを整理したうえで、計画的に取り組む必要があります。

同時に、業務マニュアルの整備、役割分担の明確化、ICTを活用した情報共有などを通じて、組織として地域支援機能を担える体制づくりも必要です。特定の薬剤師に業務が集中することのないよう、薬局全体でかかりつけ機能や在宅対応に主体的に関わっていく環境を作りましょう。

4-3. 地域連携薬局・専門医療機関連携薬局・健康増進支援薬局の認定取得

地域連携薬局、専門医療機関連携薬局は「認定薬局」として公的に位置づけられ、マイナポータルなどを通じて検索可能です。認定の有無は、患者さんが薬局を選ぶ際の判断材料となるだけでなく、医療機関や介護施設への信頼性を示す客観的な指標にもなります。

地域連携薬局は、入退院時における情報共有を担い、病院・診療所・介護施設をつなぐ役割を果たします。患者さんの治療や生活状況を継続的に把握し、地域医療の要として活躍します。

専門医療機関連携薬局は、がんや糖尿病など、高度な薬学的管理を必要とする患者さんの受け皿として機能します。専門性の高い服薬管理や副作用モニタリングを通じて、医師との対等な連携が求められます。

また、2026年には、健康サポート薬局が「健康増進支援薬局」として、認定薬局のひとつとなる予定です。未病・予防段階から地域住民に関与する拠点として、薬局の役割は一層明確になるでしょう。

重要なのは、認定を取得すること自体を目的化しないことです。薬局の立地条件、患者層、薬剤師の専門性を踏まえ、「どの認定が最も価値を発揮するか」を見極めた上で取得を目指すことが大切です。

4-4. 薬局DXによる対人業務の強化

薬局DXの本質は、省人化やシステム導入そのものにあるわけではありません。業務効率化によって生まれた時間と人材を、付加価値の高い対人業務へ再配分し、経営改善につなげることにあります。

たとえば調剤ロボットは、ピッキングや分包、監査補助などの反復作業を自動化し、ヒューマンエラーの防止と作業時間の短縮を同時に実現します。薬剤師の業務負担を軽減し、残業削減にも寄与するため、人手不足対策や離職防止の観点からも有効です。

現在では、AI薬歴、在庫管理システム、一包化監査システムなど、薬局業務を高度に支援するDXツールが次々と登場しています。一方で、導入には一定の費用がかかり、一包化監査システムのように設置スペースを必要とするものもあります。

そのため、「とりあえず導入する」のではなく、自局の課題や業務量、将来の運営方針を踏まえ、費用対効果の高いシステムから優先的に導入していくことが重要です。DXを上手に活用し、対人業務の質を高めていきましょう。

4-5. 在宅ターミナルケアに特化した専門性

超高齢社会の進行により、在宅医療ニーズは今後さらに高まります。中でも在宅ターミナルケアは、患者さんの生活の質(QOL)に直結する分野であり、薬剤師の対人業務が最も評価されやすい領域の一つといえるでしょう。

在宅ターミナルケアにおいて、薬剤師には、無菌調剤や医療用麻薬の適正管理といった薬学的知識と技術が求められます。さらに、疼痛コントロールや症状緩和を目的とした薬物療法の提案、副作用や相互作用の継続的なモニタリングを通じて、患者さんができる限り穏やかに日常生活を送れるよう支援する役割も担います。

ターミナル期では治療方針や投薬内容が頻繁に変更されることも多く、医師や訪問看護師との密な情報共有が不可欠です。薬剤師が処方意図を正しく理解し、患者さんや家族にわかりやすく説明することで、不安や混乱を和らげることができます。

加えて、在宅ターミナルケアでは、患者さん本人だけでなく、介護を担う家族の精神的・身体的負担に寄り添う姿勢も重要です。薬の相談窓口としてだけでなく、「いつでも相談できる専門職」として関わることで、家族の安心感を支える存在となれるでしょう。

こうした関わりは数値化しにくい一方で、医療・介護チーム内での信頼を着実に高め、医師やケアマネジャーからの継続的な依頼や評価向上につながります。在宅医療に本格的に取り組む薬局にとって、ターミナルケアへの対応力は、他局との差別化を図るうえでも重要な要素です。

4-6. 医療機関や介護施設とのリアルタイム連携

質の高い在宅医療を実現するためには、多職種間での迅速かつ正確な情報共有が不可欠です。処方変更や症状変化、副作用の兆候、服薬状況といった情報を、いかにタイムリーに共有できるかが、在宅医療の質と安全性を大きく左右します。

特に在宅医療の現場では、患者さんの状態が日々変化することも多く、情報伝達の遅れが医療事故や重症化につながるリスクも否定できません。そのため、緊急時には電話で即時対応し、日常的な情報共有にはチャットツールやICTシステムを活用するなど、状況や目的に応じて連絡手段を使い分けることが重要です。

リアルタイム連携が確立されることで、医師への疑義照会や服薬調整の提案もスムーズになり、薬剤師が在宅医療チームの一員として積極的に関与できる体制が整います。また、無駄な確認作業や行き違いが減るため、医療機関・薬局双方の業務負担軽減にもつながります。

4-7. 人材育成と教育体制の構築

在宅医療やターミナルケアといった高度な対人業務を継続的に提供するためには、個々の薬剤師の努力に依存するのではなく、組織として人材を育てる仕組みが不可欠です。特定の薬剤師に業務が集中してしまう体制では、対応力の属人化やサービス品質のばらつきを招きかねません。

まず重要となるのが、在宅医療に必要な知識・スキルを体系的に整理し、段階的に習得できる教育設計です。医療用麻薬の管理、疼痛評価の考え方、多職種とのコミュニケーション方法などを、研修やマニュアル、症例共有を通じて標準化することが求められます。

多くの薬局では、薬剤師・事務員ともにOJT中心の育成が行われていますが、知識と実践力をバランスよく高めるには、OJTとOff-JT(座学)を組み合わせた教育体制が有効です。理論を理解したうえで現場に臨むことで、判断の質や対応力の底上げが可能になります。

また、定期的なミーティングや振り返りの場を設け、薬剤師や事務員の不安や迷いを共有できる環境を整えることも大切です。チームとしての一体感を高めるだけでなく、離職防止やモチベーション維持にもつながります。

専門性の高い薬剤師・事務員が育つことで、医師やケアマネジャーからの信頼が高まり、在宅依頼の増加や評価向上という形で経営へと還元されます。

4-8. 戦略的M&Aによる体制整備

M&Aは、後継者不在対策にとどまらず、経営の安定化と専門性強化を同時に実現する戦略的手段です。在宅医療に注力する薬局が近隣店舗を統合することで、移動時間や物流コストを削減し、限られた人材でも効率的な運営が可能になります。

また、DX投資の負担が重い店舗を、資本力やIT基盤を持つパートナーに託すことで、地域医療機能を維持しながら経営リスクを軽減することもできます。

今、「在宅患者さんが増えすぎている」「在宅対応地域を広げたい」と考えている場合は、M&Aがひとつの選択肢となるかもしれません。薬局の強みと弱みを客観的に分析し、今後の経営の方向性を明確にした上で、戦略的にM&Aを活用することも検討してみてください。

まとめ

調剤薬局・ドラッグストアは今後も増加が続き、処方箋枚数は当面増加する見込みです。しかし、中長期的には人口減少により、成長余地は確実に縮小していきます。

長く薬局経営を続けるためには、在宅医療を軸に医療機関や介護施設と関係を築き、地域医療の中で明確な役割を担うことが不可欠です。地域支援体制加算の算定や各種認定取得、薬局DXの推進を通じて、体制整備と実績の積み上げを進めていきましょう。

きらりプライムサービスでは、きらり薬局が培ってきた在宅ノウハウを活かし、加算取得支援、在宅患者獲得、業務効率化など、薬局経営を総合的にサポートしています。薬局経営に関するお悩みがあれば、ぜひご相談ください。

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