薬局の倒産が過去最高…中小の調剤薬局の経営はなぜ厳しい?【2026年最新版】

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

2025年、薬局の倒産件数は過去最多を更新しました。特に、資本力に乏しい中小規模の薬局の経営は厳しさを増しています。

この本記事では、薬局の倒産が急増している背景にあるリスク要因を分析するとともに、中小薬局が生き残るための施策について詳しく解説します。

1. 2025年の薬局倒産件数は過去最多の38件

東京商工リサーチの調査によると、2025年に倒産した調剤薬局は38件に達し、前年の28件から35.7%増という驚異的な伸びを見せました。2023年までは10件台から20代前半で推移していた倒産件数が、わずか2年で急増した背景には、構造的な経営環境の悪化があります。

調剤薬局の倒産件数の推移

2020 2021 2022 2023 2024 2025
倒産数 16 27 16 12 28 38

2025年の調剤薬局業界の倒産動向を見ると、負債総額は44億8,400万円と、前年から68.3%減少しました。一見すると状況は改善しているようにも見えますが、中小薬局にとって現実はその逆です。

負債総額が減少した背景には、負債10億円以上の大型倒産が1件(前年3件)にとどまったことがあります。その一方で、負債1億円未満の小規模倒産が29件(前年比81.2%増)と大幅に増加し、全体の76.3%を占めました。

つまり、大型倒産は減ったものの、地域に根ざして経営してきた個人薬局や数店舗規模の中小事業者が、資金繰りに行き詰まり市場から姿を消しているのが現状です。負債総額の減少は、決して業界全体の健全化を意味するものではありません。

かつては「処方箋さえあれば利益が出る」と言われた時代もありましたが、現在はM&Aや異業種参入によって競争のルールそのものが変化し、門前薬局のビジネスモデルは通用しにくくなっています。

(出典:株式会社東京商工リサーチ「2024年1-7月「調剤薬局」倒産 過去最多22件 大手再編と新規参入で、中小の「調剤薬局」は冬の時代へ」

2. 中小の調剤薬局経営のリスク要因

中小薬局の経営が厳しさを増している背景には、単なる景気変動では説明できない、制度・市場・人材といった複合的な要因があります。

2-1. 調剤報酬改定による収益悪化

近年の調剤報酬改定で一貫しているのは、「対物業務から対人業務へ」のシフトです。調剤をはじめとする対物業務の点数は抑制される一方で、患者さんへの継続的フォローアップ、高度な薬学的管理、在宅対応、多職種連携といった対人業務を実践する薬局が評価される仕組みが整備されています。

2026年度調剤報酬改定では、対人業務の質の向上やかかりつけ機能の実績がより重視される方向です。調剤基本料も、門前薬局や医療モール型薬局にとっては厳しい内容へと見直されます。

基本料2の対象範囲が拡大され、これまで基本料1を算定していた薬局であっても、基本料2へ区分変更となる可能性があります。また、調剤基本料3から「グループ店舗数300以上」という要件が削除されます。今後は規模に関わらず、処方箋受付回数や集中率などで判断されるため、中小薬局も調剤基本料3の対象となる点に注意が必要です。

2-2. 処方箋枚数と外来患者数の減少リスク

人口減少と高齢化の進行により、将来的には処方箋枚数が減少すると予測されています。処方箋枚数を維持・拡大するためには、今後需要の拡大が見込まれる在宅医療への参入は避けて通れません。すでに在宅対応を行っている薬局であっても、エリア拡大や施設在宅への本格展開など、戦略的な拡張を検討する必要があります。

処方箋枚数に上限が見込まれる中で、重要となるのが処方箋単価の向上です。在宅医療関連加算、服薬フォローアップ、かかりつけ機能に関する加算など、対人業務を軸とした評価項目を適切に算定することで、1枚当たりの付加価値を高める工夫が必要となります。

2-3. 人件費高騰と離島・医療過疎地の薬剤師不足

労働力人口が減少の一途をたどる中、大手チェーン薬局やドラッグストアは、賃金引き上げや福利厚生の充実を進め、積極的な人材確保に乗り出しています。加えて、飲食業や小売業などサービス業全体でも、待遇改善が行われています。薬局も相場と同等、あるいはそれ以上の給与提示を行わなければ人材の獲得は難しく、薬剤師や薬局事務員の採用コストは年々上昇しています。

離島や医療過疎地では、さらに状況は深刻です。薬剤師が不足している一方で、高齢者人口は多いため、薬剤師1人あたりの業務負担が非常に大きくなっています。単なる採用難ではなく、地域医療の継続性そのものに関わる問題です。

採用後の定着も、大きな課題となっています。

人材が定着しなければ、募集広告費や教育コストが繰り返し発生し、現場の負担も増大します。早期離職による損失は200〜300万円規模となり、経営を圧迫する要因になりかねません。

数合わせの採用ではなく、薬局の方向性に合致した人材を見極め、スタッフの精神的フォローや明確なキャリア形成支援といった人材戦略を進めましょう。

2-4. 大手ドラッグストアの調剤進出による競争激化

近年、大手ドラッグストア各社が調剤併設型店舗を急速に拡大しています。背景にあるのは、日用品や医薬品販売だけでは利益確保が難しくなっている市場環境と、安定収益が見込める調剤分野への本格参入です。

調剤併設型ドラッグストアの最大の強みは、利便性です。日用品や食品の買い物のついでに処方薬を受け取れるワンストップ型の導線は、共働き世帯や高齢者にとって非常に魅力的です。さらに、駐車場完備・営業時間の長さ・ポイント制度など、生活導線に組み込まれたサービス設計も強みとなっています。

加えて、圧倒的なスケールメリットを活かした医薬品の仕入れ交渉力、全国規模の物流網、大規模なIT投資。電子薬歴、在庫管理の最適化、データ分析による購買予測など、資本力を背景にした経営効率化は年々高度化しています。

これらの総合力を踏まえると、中小薬局が価格や利便性のみで対抗するのは極めて困難な状況です。

企業名 調剤店舗数 備考
ウエルシアホールディングス株式会社 2,282店(国内3,001店) (2025年2月期決算説明会資料)
・調剤併設率77.3%
(ウェルシア薬局では88.6%)
・薬剤師8,550人
(うちかかりつけ薬剤師2,427人)
・在宅訪問実績店舗1,396店
スギホールディングス株式会社 1,699店(国内2,186店) (統合報告書2025)
・調剤併設率79.9%
・薬剤師4,820人
・在宅対応店舗数634店
株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 1,103店(国内3,604店) (2026年3月期第3四半期決算説明資料)
(統合報告書2025)
・調剤併設率55.8%
株式会社ツルハホールディングス 107店舗(国内907店舗) (株式会社ツルハホールディングス 2024 年5月期 第3四半期決算説明会)
・調剤併設率34%

ウェルシアやスギ薬局の調剤併設率は、すでに8割近くに達しています。

各社に共通しているのは、調剤併設率の引き上げ、薬剤師の採用・育成、かかりつけ薬剤師の増加、在宅医療対応の強化という医療機能の高度化です。大手ドラッグストアは、地域医療インフラへと進化しつつあり、中小薬局の存続が脅かされています。

2-5. 特定病院への依存(門前薬局のリスク)

中小薬局の多くが、特定の病院の前に店を構える「門前薬局」です。厚生労働省は、立地ではなく質を重視する方向性で、地域の医療体制を構築するため、2015年に「患者のための薬局ビジョン」を公表しました。

2025年までにすべての薬局をかかりつけ薬局とすることが目標でしたが、現在も門前薬局や医療モール型薬局の出店は続いており、立地依存型の経営モデルは根強く残っています。国は、門前型・医療モール型の新規出店が増えることで、過当競争による質の低下、かかりつけ機能の形骸化などを指摘しています。

こうした状況を踏まえ、2026年度調剤報酬改定では、門前薬局等立地依存減算が新設されます。特定地域や医療モールに新規開局する場合、調剤基本料から15点をマイナスする仕組みです。

2026年度改定で、立地に依存したビジネスモデルではなく、「地域医療の機能を担う薬局」を評価する方向性が、より明確に示されることとなります。門前薬局は、今後さらに評価が厳しくなる可能性も否めないでしょう。

とはいえ、既存の門前立地を急に変更することは現実的ではありません。だからこそ、

・在宅医療の拡充
・オンライン服薬指導によるエリア拡張
・多職種連携の強化
・地域住民向け健康支援機能の充実

といった、立地依存を補完する機能強化が必要となります。

3. 調剤薬局が生き残るための施策

薬局経営を安定させるには、国が求める薬局像を体現し、地域医療の担い手としての役割を強化することが必要となります。

3-1. 在宅医療サービスの拡充と緩和ケア対応

今後需要が拡大し、かつ調剤報酬上でも高く評価される分野が、在宅医療です。

在宅業務に関連する加算は、外来業務よりも高く設定されています。在宅患者緊急訪問、夜間対応体制、在宅薬学総合体制加算などを算定できれば、薬局の収益構造そのものを好転できる可能性があります。

大手チェーンやドラッグストアが参入しづらい人口密度が低い地域や、医療資源が限られている地域では、中小薬局が在宅に入り込む余地が大きく残されている点も期待できます。

在宅の中でも、他薬局との差別化が図れるのが、緩和ケア対応です。高齢者人口がピークを迎える「2040年問題」を控えて、在宅での看取りが増えると予想されています。医療用麻薬の適切な管理、夜間・緊急時対応、多職種との密な連携ができる薬局・薬剤師の価値は、一段と高まるでしょう。

中小薬局には、次のような強みがあります。

・急変時にすぐに駆け付けられる
・患者さん・家族と継続的に関係を築ける
・医師や訪問看護と柔軟で密な連携が取りやすい

規模では大手に劣る中小薬局も、機動力と関係性では優位に立てる可能性があります。立地ではなく、機能で選ばれる薬局をめざすことで、経営の安定が図れます。

3-2. 地域連携の強化と認定薬局の取得

在宅医療では、地域の他職種との信頼関係の構築が不可欠です。医師、ケアマネジャー、訪問看護師と日常的に連携し、「困ったら、あの薬局の薬剤師に相談しよう」と思ってもらえる存在になることが重要です。

多職種会議や退院時カンファレンスなど、他職種と直接顔を合わせる場には、積極的に参加しましょう。顔の見える関係性は、処方の継続や紹介につながる基盤となります。まずは薬局側がオープンになり、コミュニケーションを取っていくことが大切です。

制度面では、認定薬局の取得も有効です。現在、都道府県知事による認定制度として、地域連携薬局と専門医療機関連携薬局が設けられています。

認定を受けるには、入退院時の情報共有体制、夜間・休日対応、多職種連携の実績などが求められます。認定取得によって、地域における公的な信頼性を確立でき、医療機関側にも「連携先として選びやすい薬局」として認識されます。

さらに今後は、従来の健康サポート薬局に代わり、健康増進支援薬局が認定制度の一つとして位置付けられる見込みです。予防・未病段階から地域住民の健康を支える役割が、より明確に求められるようになります。

3-3. 薬局DXによる効率化・生産性向上

多くの薬局では、すでに電子処方箋やオンライン服薬指導を導入していると思われます。これらは在宅医療との親和性が高く、移動時間の削減や情報共有の迅速化など、薬剤師の業務負担軽減に直結するので、ぜひ活用してください。

在宅患者数が増加し、調剤業務が逼迫してきた場合には、調剤ロボットや自動監査システムの導入も検討する価値があります。ヒューマンエラーの防止だけでなく、薬剤師の精神的ストレス軽減や業務の標準化にもつながります。

特に在宅医療では、薬剤師が薬局外で活動する時間が増えるため、リアルタイムで連絡・情報共有ができるICTツールの活用が有効です。オンコール対応時の情報共有、多職種との連携強化にも役立ちます。

DX推進にあたっては、費用対効果の検討が不可欠です。効果を実感しやすい領域から着手し、段階的に拡張していくことがポイントになります。

調剤ロボットなどは初期投資が大きいため、

・投資回収期間は妥当か
・ランニングコストを上回るメリットがあるか
・現場スタッフが扱いやすいか
・人員配置の最適化につながるか

といった視点で総合的に判断することが大切です。

3-4. 地域支援・医薬品供給対応体制加算への対応

2026年度調剤報酬改定では、後発医薬品調剤体制加算と地域支援体制加算が統合され、地域支援・医薬品供給対応体制加算が新設されます。

点数 基本料 後発品数量 地域医療への
貢献体制
地域医療への
貢献実績
加算1 27点 85%以上
加算2 59点 基本料1 85%以上 十分な体制 十分な実績
加算3 67点 基本料1 85%以上 相当の実績
加算4 37点 基本料1・特別B以外 85%以上 十分な実績
加算5 59点 基本料1・特別B以外 85%以上 相当の実績

出典:厚生労働省|中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第(2月13日)

今回の見直しでは、旧後発医薬品調剤体制加算が加算1に引き継がれ、後発医薬品数量シェア85%以上が全区分共通の要件となります。つまり、後発品使用率85%以上を満たさなければ、地域支援・医薬品供給対応体制加算を算定できません。

最上位区分の加算2では、他の薬局に医薬品を分譲した実績や、重要供給確保医薬品の一定期間の備蓄などが求められる見込みです。

名称は変更されますが、

・かかりつけ機能の実効性
・医薬品供給拠点としての役割
・地域医療への具体的な貢献実績

が、より厳格に評価される仕組みとなるでしょう。

詳細な実績要件は、今後公表される予定です。加算取得に向けて、後発品使用率の安定的な向上や、医薬品備蓄体制の見直し、在宅・かかりつけ機能、夜間休日体制などの実績づくりを進めましょう。

4. 在宅薬局支援「きらりプライムサービス」とは

「きらりプライムサービス」では、地域の調剤薬局が在宅医療に対応し、持続可能な経営体制を構築するためのトータルサポートを行っています。中小薬局の現場ニーズに応えるため、在宅導入のノウハウ提供から実務支援、業務効率化、経営改善までをワンストップで支援します。

在宅導入支援とノウハウ提供

在宅+外来のハイブリッド経営を実践する「きらり薬局」の店舗見学会を通じて、実際のオペレーションや組織体制を体感できる機会を提供しています。また、在宅訪問の流れ、算定のポイント、スタッフ教育ノウハウなどを学べるオンラインセミナーも定期的に開催。経営者だけでなく、現場薬剤師や事務スタッフまで幅広く学習できる環境を整えています。

クラウド型報告書管理システム「ファムケア」

自社開発のクラウド型在宅支援システム「ファムケア」は、報告書作成や患者情報管理などの事務負担を軽減するためのツールです。デバイスから報告書を作成・送信できるほか、トレーシングレポートの作成、医師やケアマネジャーとの情報共有もスムーズに行えます。業務の標準化と効率化を同時に実現し、在宅業務の質向上と時間短縮を支援します。デモアカウントの貸出も行っておりますので、こちらよりお問い合わせください。

在宅患者獲得・営業支援

医療機関や介護施設への営業ノウハウを体系化し、営業の内製化をサポートするサービスです。弊社の営業担当者が訪問し、薬局の強みや地域特性をヒアリング。パンフレット作成支援から訪問先のリストアップ、アプローチ方法の指導まで、具体的な営業活動をサポートします。在宅薬局に特化した、確度の高い営業方法を現場で学べる点が特徴です。

上記サービスのほか、卸への価格交渉を代行する医薬品購入交渉代行サービスや、デッドストック活用サービスによる在庫最適化・コスト削減もサポート。さらに、緩和ケア研修やマインドセット研修など、薬局の課題に応じた人材育成プログラムも用意しています。

きらりプライムサービスは、在宅医療に取り組む薬局の伴走型パートナーとして、経営と現場の両面から支援するサービスです。在宅強化を目指す薬局様は、ぜひご活用ください。

まとめ

調剤併設型ドラッグストアの拡大や調剤報酬改定の影響により、薬局の倒産件数は増加傾向にあります。市場競争の激化に加え、人件費高騰や薬剤師不足も重なり、中小薬局を取り巻く経営環境はこれまで以上に厳しさを増しています。

中小薬局が生き残るためには、処方箋枚数の確保と、処方箋単価の向上の両立が不可欠です。そのためには、薬局DXを推進して対人業務への移行を進めつつ、地域医療との連携を強化し、在宅・かかりつけ機能を深化していく必要があります。

きらりプライムサービスでは、在宅導入支援から体制構築、加算取得サポートまで、現場に即した実践的な支援を行っています。「何から始めればよいかわからない」「在宅患者さんが増えずに悩んでいる」など、どのようなお困りごとでもお気軽にご相談ください。未来に選ばれる薬局づくりを、共に実現していきましょう。

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