2026年調剤薬局改定で差がつく 「儲かる薬局」「厳しい薬局」の違いとは?

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

2026(令和8)年度の調剤報酬改定では、地域医療への貢献や薬剤師の専門性がさらに重視されます。特に、門前薬局や都市部の薬局にとっては、収益構造の見直しを迫られる厳しい改定です。

これほどまでに対人業務の強化が求められる背景には、「2040年問題」と呼ばれる、現役世代の急減と社会保障費の急増という課題があります。

この記事では、2026年度調剤報酬改定の議論を踏まえつつ、「儲かる薬局」と「厳しい薬局」を分けるポイントを整理し、これからの時代に生き残るための具体策を解説します。

1. 2026年度調剤報酬改定議論の背景

医療業界は今、「2040年問題」という大きな課題に直面しています。これは、高齢者人口がピークに達する2040年頃に向けて、医療・介護需要が急増する一方で、現役世代が大幅に減少し、それにより引き起こされるさまざまな社会問題を指します。深刻な人手不足と社会保障費の膨張が同時に進行し、医療提供体制の持続可能性が問われています。

2040年問題に対応するためには、効率化と質の向上を同時に実現することが不可欠です。限られた人材・財源の中で最大の価値を生み出す体制への転換が、医療全体に求められています。その中核にあるのが、「対物業務から対人業務へのシフト」という考え方です。

近年の調剤報酬改定では、在宅医療や地域医療への貢献が段階的に評価されてきましたが、その流れは2026年度改定でも一層強まります。調剤や在庫管理といった機械化・標準化が可能な業務については評価が抑制される一方で、在宅訪問による服薬支援、服薬期間中のフォローアップ、多職種連携といった「人にしかできない業務」の評価は、さらに強化されていく見通しです。

これからの薬局経営では、単に薬を供給するだけでなく、患者さんとの継続的な関係性の中で。どのような価値を提供しているかが問われます。コミュニケーションの質や関与の深さが、そのまま収益に反映される構造へと変化しているのです。この変化に適応できるかどうかが、薬局の将来を大きく左右する分岐点となるでしょう。

2. 調剤報酬改定で「儲かる薬局」の特徴

日本の薬局の多くが、医療機関の近隣に立地する門前薬局である現状を踏まえると、2026年の調剤報酬改定は非常に厳しいものになると考えられます。

一方で、制度の方向性を正しく理解し、対人業務や在宅医療、DXなどに先行投資を進めてきた薬局にとっては、この改定はむしろ成長の機会となり得ます。重要なのは、「求められる薬局像」を的確に捉え、それを具体的な経営戦略へと落とし込めているかどうかです。

ここからは、調剤報酬改定を追い風に「儲かる薬局」の特徴を紹介します。

2-1. 対人業務・在宅医療を強化している

今後の薬局経営において中核となるのが、対人業務と在宅医療です。服薬期間中のフォローアップや継続的な服薬支援を通じて、患者さんと長期的な関係を築ける薬局は、評価されやすくなります。

特に在宅医療は、地域包括ケアの中核を担う領域であり、その重要性は年々高まっています。外来依存のままでは、将来的に収益の伸びは期待しづらく、経営の選択肢も限定されていくでしょう。

薬剤師には、単なる調剤者ではなく、臨床的な介入者としての役割が求められています。

・服薬アドヒアランスの改善提案
・一包化や剤形変更の提案
・副作用や体調変化の早期発見

こうした積極的な関与が、患者アウトカムの向上と収益の両立につながります。

また、多職種連携も重要な評価軸です。医師や看護師、ケアマネジャーと継続的に情報共有し、カンファレンスにも参加している薬局は、地域医療への貢献度が高いと評価されます。

2026年改定では、服用薬剤調整支援料2が1,000点へ引き上げられる見込みであり、ポリファーマシー対策や減薬提案といった専門的介入の重要性がさらに増します。薬剤師の臨床的な判断力・提案力が、経営にも大きく影響するでしょう。

さらに、かかりつけ薬剤師の評価が、実績ベースへと変わります。指導料・包括管理料が廃止され、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)とかかりつけ薬剤師訪問加算(230点)が新設。薬学管理料の中に組み込まれることで、かかりつけは一部の特定薬剤師に限定された役割ではなく、すべての薬剤師に求められる基本機能であるという位置づけが示されました。

2-2. 薬局DXによる「攻め」の経営

薬局DXは、単なる効率化ではなく、収益を生み出すための経営基盤です。

・調剤ロボットの導入によるピッキング・分包の自動化
・AI薬歴による記録業務の省力化
・電子処方箋・オンライン資格確認による受付業務の効率化

システムやデジタル活用により、対物業務にかかる時間を大幅に削減できます。

そして重要なのは、削減したリソースを対人業務へ再配分することです。在宅医療への対応強化や服薬フォローの充実、多職種連携への積極参加へとつなげることで、DXは初めて「攻めの経営」として機能します。

また、ICTを活用した情報共有は、地域連携の質とスピードを高めます。医師や看護師とリアルタイムで患者情報を共有し、データに基づいた継続的な服薬管理を実現することで、薬剤師の価値は飛躍的に向上します。

DXが進んでいる薬局は、少人数でも業務を回せるため、人材不足への耐性が高いというメリットもあります。2040年に向けて人材確保が一層難しくなる中、DXは薬局経営の必須条件と言えるでしょう。

2-3. 戦略的な加算獲得

安定的に収益を上げている薬局に共通するのが、加算の戦略的な取得です。

2026年度改定では、地域支援体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算(5区分)へと改称されます。名称は変わるものの、地域医療への実績や貢献度が厳しく問われることに変わりはありません。

上位区分の加算を取得するには、

・自薬局の現状分析(在宅件数・連携実績・対応体制など)
・明確な目標設定(どの区分を目指すのか)
・達成に向けたアクションプランの策定
といった、計画的かつ継続的な取り組みが不可欠です。

特に、在宅医療に取り組む薬局は、24時間対応や多職種連携といった要件を満たしやすく、高単価の加算を積み上げやすい傾向があります。収益構造の安定化という観点からも、在宅薬局へのシフトは合理的な選択といえるでしょう。

また、加算取得を成功させるには、薬剤師だけでなく、事務スタッフを含めた組織全体での理解と実行力が必要です。

「なぜこの加算を取るのか」「現場で何をすれば算定できるのか」を具体化し、現場レベルで自律的に動ける体制を構築することが、継続的な収益確保につながります。

3. 調剤報酬改定で「厳しくなる薬局」の特徴

調剤報酬改定は、薬局経営の方向性を示すメッセージでもあります。その意向に沿わない経営スタイルを続ける薬局は、中長期的に収益が先細りするリスクを抱えることになります。

特に、「立地」「処方箋枚数」「基本料」に依存した従来型のビジネスモデルは、今後ますます調剤報酬との相性が悪くなっていくでしょう。

3-1. 「門前・高集中率」のリスク

特定の医療機関に依存し、効率的に処方箋を集める「門前・高集中型」の薬局モデルは、今回の改定において最も厳しい適正化の対象となります。

基本料1の算定ハードル引き上げ

調剤基本料2の対象が拡大され、「月2,000回超」だった処方箋受付回数の基準が、「月1,800回超」へと引き下げられます。これまで基本料1を維持していた中小規模の門前薬局も、処方箋集中率が高い場合は、基本料2へ移行する可能性が高まります。

医療モールの集中率ルールの見直し

同一建物内の処方箋は、「1つの医療機関」として合算されます。これにより、「同じ建物内の複数クリニックで集中率を分散する」という手法が通用しなくなります。医療モール型薬局のほとんどは、基本料1の維持は難しいと考えられ、抜本的な経営の見直しが求められます。

基本料3ロ・ハ「300店舗」の削除

これまで大手チェーンを主な対象としていた「基本料3ロ・ハ」から、店舗数300店舗以上という要件が撤廃されます。規模ではなく処方箋枚数が判定基準となり、店舗数にかかわらず、処方箋枚数の多い中堅グループも対象となる可能性があります。

3-2. 都市部の小規模薬局の限界

都市部(東京23区・政令指定都市など)では、小規模薬局に対する規制も一段と強化されます。

新規薬局については、「月600回超かつ集中率85%超」に該当する場合、基本料2が適用されるルールが新たに導入されます。

さらに、都市部の新規薬局を対象に、門前薬局等立地依存減算(▲15点)が新設されます。すでに薬局が複数存在するエリアや、特定の医療機関の近接地に新規開局した場合、追加的な減算が発生します。

つまり都市部では、「基本料2への引き下げ+立地依存減算」が同時に適用される可能性があります。

加えて、調剤管理料も見直されました。従来の4区分から、「27日以下:10点」「28日以上:60点」の2区分へと再編されます。この変更により、風邪など急性期疾患を中心とする短期処方が多い薬局では、従来よりも点数が低下する可能性があります。

都市部で外来調剤を中心に対応している小規模薬局は、大きく収益が減ってしまう可能性も否めません。

3-3. デジタルデバイドによる患者離れ

オンライン服薬指導やアプリ予約、キャッシュレス決済といったデジタル対応は、いまや薬局選びの重要な要素です。特に、仕事や育児で時間制約の大きい現役世代や若年層にとっては、「どれだけ早く・無駄なく薬を受け取れるか」というタイムパフォーマンスが重視される傾向が強く、デジタル対応が遅れている薬局は選ばれにくくなっています。

さらに、後発医薬品を含めた供給不安が続く中で、「必要な薬を確実に用意できるか」という点も、患者さんからの信頼を左右する重要な要素です。経験や勘に依存した在庫管理では、欠品や過剰在庫といったリスクを回避しきれません。

そこで不可欠となるのが、在庫管理におけるデジタル活用です。処方データや季節変動、地域特性を踏まえた需要予測、在庫のリアルタイム可視化、複数店舗間での在庫融通、さらには発注業務の自動化などを組み合わせることで、欠品リスクと廃棄ロスの双方を抑えることが可能になります。

システム導入には一定のコストが伴いますが、長期的に見ればヒューマンエラーの防止や業務効率化による残業時間の削減など、大きなリターンが期待できます。現場の課題を踏まえて優先順位を明確にし、効果の高い領域から段階的に導入していくことがポイントです。薬局スタッフの負担軽減と患者満足度の向上の両立を意識しながら、無理のない形で薬局DXを推進していきましょう。

4. 2026年改定を乗り越える3つのポイント

ここまで、「儲かる薬局」と「厳しい薬局」の特徴を挙げましたが、「何から始めればいいのかわからない」と悩む薬局も多いのではないでしょうか。薬局経営を本質的に変えていくには、コストも時間もかかりますが、重要なポイントを押さえて薬局経営の見直しで、特に注目したい3つのポイントをお伝えします。ぜひ、経営戦略の際の参考にしてください。

4-1. ①かかりつけ薬剤師の育成

かかりつけ機能は、これからの薬局に不可欠な要件です。「患者のための薬局ビジョン」に示されているとおり、国はすべての薬局に対して、かかりつけ機能を持つことを求めています。

具体的には、服薬期間中のフォローアップや、複数医療機関にまたがる薬歴の一元管理、生活習慣の改善支援やセルフメディケーションの提案など、継続的な関わりを通じて患者さんとの接点を増やしていくことが重要です。

2026年度調剤報酬改定では、「かかりつけ薬剤師がいるかどうか」という形式的な評価から一歩進み、「どのレベルの専門性を発揮できているか」が問われるフェーズへと移行しています。

そのため、薬剤師個人の努力に任せるのではなく、薬局として研修参加やスキル向上を後押しする体制づくりが不可欠です。継続的に学び、臨床判断力や提案力を高めていける環境を整えることが、結果として薬局全体の評価と収益向上につながります。

4-2. ②在宅医療の深化・緩和ケア対応

在宅医療は、今後の薬局経営における最重要領域のひとつです。医師や訪問看護師、ケアマネジャーと連携しながら、服薬管理や残薬調整、慢性疾患患者への継続的な支援を行うことで、薬剤師の専門性を発揮できる機会が大きく広がります。外来と比較して処方箋単価が高く、継続的な関与が前提となるため、収益の安定性にも優れている点も特徴です。

2026年度調剤報酬改定では、在宅薬学総合体制加算2において、個人宅訪問の評価が100点へと引き上げられました。高齢化の進展に伴い、個人宅での看取りや重度要介護者への対応など、より高度で複雑な支援が求められる中、薬局に期待される役割は一段と拡大しています。とりわけ緩和ケアへの対応は、在宅医療を担う薬局にとって重要性が増している領域のひとつといえるでしょう。

4-3. ③医師との連携強化

在宅医療の質を高めるうえで不可欠なのが、医師との連携強化です。2026年度改定では、医師と薬剤師が同時に患者宅を訪問し、その場で指導を行った場合の評価として、訪問薬剤管理医師同時指導料が新設されました。

医科側でも対応する評価項目として訪問診療薬剤師同時指導料が設定されており、医科・調剤の双方で評価される点数設計となっていることから、形式的な連携ではなく、現場での実践的な協働が強く求められていることがわかります。

日頃からの密な情報共有と信頼関係の構築を土台に、医師と薬剤師が同じ場で患者さんの状態を確認し、それぞれの専門性をもとに意見を交わすことで、より安全で適切な薬物療法が実現します。こうした取り組みは、処方内容の最適化や副作用リスクの低減といった具体的なアウトカムにも直結します。

今後は、ICTツールを活用した日常的な情報連携に加え、このような「顔の見える連携」をどれだけ業務の中に組み込めるかが、在宅医療における薬局の価値を大きく左右するポイントとなるでしょう。

5. まとめ

2026年度の調剤報酬改定では、「立地に依存する薬局」から「機能で選ばれる薬局」への転換を強く促す内容となっています。特に都市部においては、基本料の引き下げや門前依存への評価見直しが進み、外来中心の経営では収益確保が難しくなることが予想されます。

今後は、自薬局の強みや地域特性を踏まえ、「誰に・どのような価値を提供し・どう関係を継続するのか」を、戦略的に設計することが不可欠です。

きらりプライムサービスでは、在宅薬局の立ち上げ支援や患者数の拡大、かかりつけ薬剤師の育成など、現場に即した実践的なアドバイスを行っています。在宅医療への参入や経営改善に課題を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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