薬局M&Aで収益を上げるための許認可・法令・事務タスクガイド

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

近年、薬価改定や調剤報酬改定、薬剤師不足への対応、薬局DXへの投資、在宅対応など、薬局経営にかかる固定費と管理コストは増加しています。

特に小規模薬局は、限られた資源で環境変化に対応することが難しく、M&Aによる業界再編が加速しているのが現状です。

今回は、薬局M&Aをスムーズに進めるために必要な手続きや、買収後の組織づくりに役立つ考え方を紹介します。

本記事は、2025年11月25日に開催した「第81回【きらりPRIMEセミナー】薬局M&Aで失敗しないために~許認可・法令のポイントと買収後の収益を支える事務タスクシフト~」の内容をもとに作成しています。きらりプライムサービスの最新セミナー情報はこちらよりご確認ください。

1. 薬局M&Aの基本的な流れ

まずは、M&Aの基本的な流れについて確認しておきましょう。

①準備段階 入手可能な情報をもとに、買収の目的や対象企業の事前検討を行います。
②秘密保持契約書締結+初期資料の開示 秘密保持契約(NDA)を締結したうえで、売り手企業から対象会社に関する概要資料(非公開情報を含む)の開示を受けます。
③基本合意書の締結 基本的な買収条件について合意ができたら、基本合意書(MOU)を取り交わします。
④デューデリジェンス(DD)の実施 基本合意書に基づき、財務・税務・法務などについてリスク調査(DD)を開始します。
⑤企業価値+ストラクチャリング DDの結果を踏まえて、最終的な企業価値を評価し、買収手法(ストラクチャー)を確定します。
⑥買収契約書の締結 条件を調整し、法的拘束力を持つ最終買収契約書を締結します。
⑦クロージング 契約書に規定された期日に買収対価の支払いを実行し、株式や事業の引き渡しを受けます。

デューデリジェンス(DD)とは、対象企業の経営実態や潜在的なリスク、情報の正確性などを詳細に調査・分析することです。法務DDは弁護士、財務・税務DDは公認会計士や税理士など、専門家に依頼するのが一般的です。買収後の思わぬトラブルを避けるためにも、専門家による第三者の視点を取り入れ、対象薬局を客観的に評価しましょう。

近年の薬局M&Aでは、「現在利益が出ている薬局だから買収する」のではなく、「自社の既存店舗や経営資源と組み合わせることで、どれだけ収益力や事業価値を高められるか」という視点が重視される傾向にあります。自社の経営戦略と照らし合わせて、中長期的な視点でM&Aを成功させる計画を立てることが大切です。

2. 「株式譲渡」と「事業譲渡」の違いとリスク

薬局M&Aで代表的な手法が、「株式譲渡」と「事業譲渡」です。

株式譲渡では、対象会社の株式を取得することで会社そのものを引き継ぎます。会社が存続するため、従業員との雇用関係や既存の契約などをそのまま引き継ぎやすいのが特徴です。

一方で、会社が過去に抱えていた問題まで引き継ぐことになる点は、デメリットといえるでしょう。過去の調剤報酬請求に関する問題や未払い残業代、税務上の問題などが見つかった場合、買収後に対応が必要になる可能性があります。

事業譲渡の場合は、会社そのものではなく、特定の事業や店舗を譲り受けます。

たとえば、10店舗を運営している会社から、そのうち1店舗だけを譲り受けるといった形です。引き継ぐ資産や契約などを選びやすく、不要な資産や過去の事業上のリスクを切り離しやすいというメリットがあります。

その反面、従業員との契約や取引先との関係、許認可や届出などについて、個別に手続きや確認が必要になる場合があります。

近年では、事業譲渡を選択する例が増えていますが、どちらを選ぶかはM&Aの目的・成長戦略・許認可の引き継ぎ要件・リスク許容量に応じて、総合的に判断する必要があります。

3. 薬局の適正価格の目安&買収後の収益

買収価格を検討するときには、対象薬局が将来どれだけ利益を生み出せるのかを見る必要があります。

企業価値を考える際の一つの方法として、

事業価値=想定EBITDA×倍率

という考え方があります。

EBITDAは、簡単にいうと、営業利益に減価償却費を加えた指標です。企業が本来どの程度の収益力を持っているのかを見る際の材料として利用されます。

ただ、薬局M&Aでは倍率だけで価格を判断するのは避けたいところです。

調剤報酬改定によって収益がどの程度変わるのか、現在取得している加算を買収後も維持できるのか。在宅患者や医療機関との関係が変わった場合、売上はどうなるのか。

こうした条件によって、買収後の利益は大きく変わります。

過去の決算書を確認するだけでなく、買収後の損益計算書(P/L)を作り、将来の収益を具体的にイメージしておくことが重要です。

4. 失敗しないための「買収後のP/L予測」

M&A後に利益を増やす方法は、売上を伸ばすか、経費を抑えるかのどちらかです。

薬局の場合、そこに調剤報酬制度や地域の医療環境、人員体制などが関係してきます。

買収時点の数字だけを基準にするのではなく、最新の制度や店舗の実情を踏まえてP/Lを組み立てましょう。

4-1. 調剤報酬加算の状況

まず確認したいのが、現在どのような調剤報酬を算定しているかという点です。

買収後にグループ全体の処方箋枚数や集中率が変わると、調剤基本料の区分に影響する可能性があります。P/Lでは、条件が変わった場合も含めて試算しておくと安心です。

地域支援・医薬品供給対応体制加算についても、現在の要件を買収後も満たせるのかを確認しましょう。まだ算定していない場合は、不足要件を調べ、買収後に算定が見込めるのかを検討します。

在宅業務を多く手掛けている店舗では、在宅薬学総合体制加算の算定状況や、業務を担える人員や体制があるかまで見ておきます。

4-2. 外来処方箋枚数とクリニックとの関係

外来処方箋については、直近3年ほどの推移を見ると、店舗の変化をつかみやすくなります。毎年増えているのか、横ばいなのか、それとも減少傾向にあるのか。数字の動きを確認したうえで、背景まで考えましょう。買収後のリスクを軽減するためには、最新の調剤報酬改定を反映したP/Lを作ることも大事です。

特定クリニックへの依存度が高い場合は、医師との関係性やクリニックの経営状況、将来的な後継者問題などについても確認しておきましょう。買収後に移転や閉院などによって処方箋枚数が激減し、赤字化するリスクを避けるためです。

周辺地域についても、競合薬局の進出リスクなど、将来的な環境の変化を予測しておく必要があります。同時に、周辺医療機関へのアプローチや、処方箋枚数を伸ばせる可能性といったプラス要因についても評価しておきましょう。

4-3. 在宅患者業務の状況

在宅薬局では、個人宅中心か施設中心かによって、事業の安定性は変わってきます。

施設在宅の場合、施設側の方針転換や他局への切り替えによって、一気に在宅患者さんを失うリスクがあります。施設スタッフとの連携体制や、買収後も関係を継続できるかについて確認しておきましょう。

居宅療養管理指導を月に何回算定しているのか、緊急時の訪問対応をどの程度行っているのかなど、実際の業務内容まで確認しておくと、買収後に必要となる人員やコストも把握できます。

5. まとめ

薬局M&Aを成功させるには、「買収店舗と既存店舗と組み合わせることで、どのような相乗効果(シナジー)を生み出せるか」について考えましょう。

将来的な加算や在宅業務の実態、医療機関との連携なども含めて、買収後のP/Lに落とし込んでいくことで、将来的な経営見通しを立てることができます。

きらりプライムサービスでは、薬局経営や在宅医療に関する最新動向を学べるWEBセミナーを随時開催しております。

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M&Aをお考えの薬局経営者の方や、在宅医療の質をより高めたい方は、ぜひお気軽にきらりプライムサービスまでご相談ください。

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