「緊急」の要件が明確になった在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に注目!

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

2026年度調剤報酬改定において、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定要件が修正され、「緊急」に該当するケースが明確になりました。
在宅関連の評価についてはこのほかにも、オンライン服薬指導に関する評価の整理や、「中6日」ルールの廃止など、在宅現場の実態に合わせた見直しも数多く行われました。
本記事では、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の改定ポイントを中心に、今後の在宅薬局経営で押さえておきたい制度変更をわかりやすく整理します。

1. 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料とは

在宅患者在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料とは、定期的な訪問薬剤管理指導とは別に、患者さんの状態急変等に伴い、医師の指示に基づいて臨時訪問を行った場合に算定できる評価です。
算定区分は、以下の2段階に分かれています。

指導料1 計画的な訪問薬剤管理指導にかかる疾患の急変に伴うもの 500点
指導料2 指導料1(計画対象の疾患急変)以外の原因によるもの 200点

基本的な算定回数は、指導料1・2を合わせて「月4回」までです。
ただし、「末期の悪性腫瘍患者さん」や「注射による麻薬投与が必要な患者さん」については、原則として「月8回」まで算定が可能となっています。
さらに、指導料1において、末期がん患者や麻薬注射が必要な患者さんに対し、薬局の開局時間外に訪問した場合は、時間帯に応じて以下の加算が適用されます。

夜間訪問加算 400点
休日訪問加算 600点
深夜訪問加算 1,000点

2. 【2026年改定】「緊急」から「計画外」への変更

今回の2026年改定において、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料について、算定要件が以下のように修正されました。

2024年 ……状態の急変等に伴い、(略)当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理及び指導を行った場合に…
2026年 ……状態の変化等に伴い、(略)当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、予め定めた訪問の計画以外で患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、当該保険医に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に……

従来の「緊急に患家を訪問して」という表現から、改定後は「予め定めた訪問の計画以外で患家を訪問して」と変更されました。
これまでは「緊急」という言葉の定義が曖昧で、算定の判断に悩むケースも少なくありませんでした。「本当に『緊急』と言えるほどの状態変化だったのか?」「翌日の定期訪問では駄目だったのか?」といった返戻リスクを懸念し、臨時訪問を行っていても算定を見送っていた薬局もあったでしょう。
しかし、今回の改定により、「予め定めた訪問計画以外での訪問」であることが明確に定義されました。医師の指示に基づく計画外の訪問であり、かつ訪問後の文書報告を確実に実施していれば、迷わずに申請することが可能です。
今回の見直しは、在宅医療の多様なニーズに対応する臨時訪問を正当に評価し、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料をより現場の実態に即した形へと整理したものと言えるでしょう。

3. 緊急時は原則対面へ:オンライン服薬指導の緊急廃止と統合

これまで、在宅療養中の患者さんの急変時にオンライン服薬指導で緊急対応を行った場合、独自の評価として「在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料(59点)」が算定可能でした。
しかし、2026年度改定においてこの評価は廃止され、外来向けの「服薬管理指導料4のハ(59点)」へと統合されました。
点数自体は59点で据え置きとなったものの、今回の改定からは「緊急性の高い在宅医療においては、対面による迅速なリアル対応を重視する」という明確な方向性が読み取れます。
この見直しは、効率化としてのオンラインを整理し、「いざという時に、現場へ迅速に駆けつけられる薬局」の価値を改めて評価する流れといえるでしょう。

4. 2026年改定・在宅関連の加算の主な変更点

今回の改定では、在宅医療全体の底上げを狙い、算定要件の簡素化と実用性の向上が図られています。

4-1. 訪問間隔「中6日」ルールの廃止(医療保険)

長年、在宅薬剤師を悩ませてきたのが、「前回の訪問から中6日以上空けなければ次回の算定ができない」という訪問間隔の制限でした。
2026年度調剤報酬改定では、医療保険における在宅患者訪問薬剤管理指導料について、この「中6日」ルールが廃止され、「週1回まで」の算定へと見直されています。
これにより、「1週目は木曜日、2週目は月曜日」といった柔軟な訪問スケジュールの調整が可能になりました。患者さんの状態変化に応じた訪問日の前倒しや、ご家族の都合に合わせた曜日変更にも対応しやすくなります。
また、医師や訪問看護師など他職種との訪問日程を合わせやすくなるため、多職種連携のさらなる強化も期待されています。
一方で、この見直しに伴い、「夜間休日の連絡体制の整備」が新たな算定要件として追加されました。初回訪問時には、時間外の連絡先電話番号や緊急時の注意事項を記載した文書を、患者さんまたはご家族へ交付する必要があります。
なお、「中6日」ルールの廃止は、医療保険による在宅患者訪問薬剤管理指導が対象です。介護保険の居宅療養管理指導には適用されないため、注意してください。
また、末期がん患者、注射による麻薬投与が必要な患者さん、中心静脈栄養法の対象患者さんについては、従来どおり「週2回・月8回まで」の算定が認められています。

4-2. 「在宅薬学総合体制加算2」の個人宅・実績重視」

在宅薬学総合体制加算は、従来の設備や届出といった「体制要件」から、実際の活動を測る「実績重視」の評価へと見直されました。

個人在宅への手厚い評価
「加算2」においては、複数人を一括対応できる施設に比べ、移動や個別対応に手間と時間がかかる「個人在宅」への評価として、100点が新たに設定されました。
また、個人宅の実績について、【年240回/全体の2割以上】もしくは【年480回/全体の1割以上】のいずれかに該当することが求められています。そもそも個人宅の在宅関屋さんがいない場合は、在宅薬学総合体制加算2を算定することはできないということです。

体制要件から実績重視へ
加算2においては、【麻薬管理(年10回)/無菌製剤処理加算(年1回)/小児在宅対応(年6回)】のうち、いずれかの実績を満たす必要があります。

十分な人員体制の確保
24時間対応を確実に行うための人員要件として、「常勤換算で3名以上の保険薬剤師が勤務していること」「開局時間中は、原則2名以上の薬剤師が常駐していること」が追加されました。1人の薬剤師が在宅訪問で店舗を留守にしても、薬局に残った薬剤師が外来や緊急連絡に滞りなく対応できる「組織としての対応力」が厳しく評価されています。

4-3. 残薬管理・疑義照会の加算が新設

実効性の高い残薬対策や、服用薬剤の一元管理に基づく薬剤調整を適切に評価する観点から、従来の「重複投薬・相互作用等防止加算」が廃止され、役割に応じた2つの加算へと新設・再編されました。
在宅医療の現場においては、いずれの加算も50点が設定されています。

調剤時残薬調整加算
患者さんの残薬を正確に把握し、医師への提案や了承のもと、7日分以上相当の調剤日数の変更(減量)が行われた場合に算定できます。
従来の重複投薬・相互作用等防止加算は疑義照会が必須でしたが、今回の調剤時残薬調整加算では、要件に「処方医の指示又は処方医に対する照会の結果に基づき(*1)」とあるため、事前に医師から受けていた指示に基づく「減数調剤」であっても算定が可能となっています。
*1 出典:厚生労働省|個別改定項目について

薬学的有害事象等防止加算
薬剤を一元的に管理し、副作用の防止やポリファーマシー解消に向けて、医師に疑義照会を行い、処方変更が行われた場合に算定できます(残薬調整以外)。

今回の見直しにより、これまでの確認行為そのものへの評価から、「残薬を解消した」「副作用リスクを未然に防いだ」という薬剤師の介入結果(アウトカム)がより明確に評価される形へとシフトしました。

5. まとめ

2026年度の調剤報酬改定において、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料が「計画外の訪問」へと明確化されました。これまで、算定を躊躇していた薬局も、今後は提供した価値に対する正当な対価を確実に受け取ることができるでしょう。
調剤報酬改定のたびに、在宅に関する評価は、現場に即した形へと見直されつつあります。今回、「中6日ルール」から解放されたことで、薬局側の機動性と算定の正当性がより一層高まることが期待できます。
今回の改定を機に、自局の在宅対応フローや緊急時の体制をいち早く見直し、地域の医師や多職種と事前に情報共有を進めておきましょう。
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