調剤報酬改定を見据えた在宅強化のために 「個人在宅」を増やす戦略とアプローチ

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

2026年度調剤報酬改定では、「在宅薬学総合体制加算」が、体制から実績重視の評価体系へと大きくシフトしました。中でも加算2では、個人宅での在宅医療実績や高度医療対応の実績が求められ、算定ハードルが一段と高まっています。

本記事では、在宅薬学総合体制加算の算定要件を整理したうえで、これからの在宅戦略の方向性を考察します。

1. 【2026年改定】在宅薬学総合体制加算の要件

在宅薬学総合体制加算は、薬局の在宅医療対応力を評価する加算であり、基本的な在宅対応体制に相当する「加算1」と、より高度な在宅薬局を評価する「加算2」の2区分で構成されています。

2026年度調剤報酬改定では、在宅薬学総合体制加算2に、イ(個人宅)・ロ(施設)が新設され、とくに個人在宅の評価が強化されました。点数設計からも、政策の重心が施設から個人へと移行していることが明確です。

改定後(2026年度~)
在宅薬学総合体制加算1 15点 30点
在宅薬学総合体制加算2 50点 (イ)単一建物診療患者が1人又は単一建物居住者が1人の場合:100点
(ロ)イ以外の場合:50点

在宅薬学総合体制加算の算定要件

在宅薬学総合体制加算1 在宅薬学総合体制加算2
在宅患者訪問薬剤管理指導の届出
訪問薬剤管理指導の実績 48回以上/年
開局時間外の対応
在宅業務実施体制の周知
在宅業務に関する研修実施
医療・衛生材料の供給体制
麻薬小売業者の免許
かかりつけ薬剤師の届出
直近1年間の在宅実績 ア)個人宅の実績240回以上&個人宅の割合2割以上
もしくは
イ)個人宅の実績480回以上&個人宅の割合1割以上
高度医療の実績(年間) 次のうちいずれか
ア)訪問時の麻薬管理実績10回以上
イ)無菌製剤処理加算の算定実績1回以上
ウ)小児在宅実績6回以上
薬剤師の人員要件 ・常勤換算で3名以上
・開局中は原則2名以上常駐
高度管理医療機器販売業の許可

2026年改定の主な改定ポイントは、以下の3点です。

①施設中心から個人宅重視へ
加算2では、個人宅の在宅実績が評価対象として加えられ、施設在宅だけでは算定不可となりました。施設依存型の在宅から脱却し、個人宅の個別対応が求められています。

②設備ではなく実績重視へ
訪問実績は、従来の24回から48回以上へと倍増。さらに加算2では、設備要件が排除され、実績のある薬局だけを評価する体制に見直されました。

③薬剤師の確保
加算2では、薬剤師の体制について、常勤換算3名以上、開局中は原則2名以上の常駐が必須となっています。在宅拠点としての機動力と対応力が問われています。

2. 個人在宅の仕事内容ややりがい、施設との違いとは?

個人在宅と施設在宅で、薬剤師の基本業務に大きな違いはありません。服薬管理や残薬調整を通じてポリファーマシーの是正に貢献する点は共通しています。

ただ、個人在宅は非効率と認識されているのも実情です。移動時間が長くなり、施設のように一度に複数人を診ることはできません。薬剤師にとっては、施設よりも個人宅のほうが負荷が大きいといえるでしょう。

一方で、個人宅は薬剤師の職能を発揮しやすい領域でもあります。
たとえば、冷蔵庫の中身や室内環境といった生活の断片から、患者さんのADLや栄養状態を把握できるのは、個人宅だからこそできることです。患者さんやご家族とより深く関わりながら、最期まで自分らしく生きることに貢献できる喜びがあります。

効率的に多くの患者さんを支える施設在宅と、一人の生活に深く入り込む個人在宅。両者は対立するものではなく、それぞれの役割が地域の医療インフラとして補完し合うことで、初めて地域全体の安心が守られるのです。

3. 個人在宅患者を増やすためのアプローチ

個人在宅を伸ばすには、「地域の中で選ばれる薬局」になる必要があります。その鍵となるのが、多職種との信頼関係の構築です。

3-1. ケアマネジャーの「困りごと」を解決する

個人在宅の患者の多くは、生活全般を支えるケアマネジャーと関わりを持っています。施設在宅では、施設長や施設内ケアマネジャーが窓口となりますが、個人在宅では地域で活動するケアマネジャー一人ひとりとの信頼関係が不可欠です。

アプローチのポイントは、ケアマネジャーの「困りごとを先回りして解決する」という視点です。たとえば、服薬不良による病状悪化のリスクは、多くのケアマネジャーが懸念しています。残薬管理や服薬支援を通じてその不安を解消することは、介護プラン全体の安定につながります。また、薬剤師が介入することで、副作用によるふらつきや転倒・骨折のリスクを早期に把握できるでしょう。

近年は、老老介護によって家族の薬管理が限界に達し、生活全体が立ち行かなくなるケースも増えています。こうした背景を踏まえ、「薬剤師の介入により介護の質を維持し、家族の負担を軽減できる」という課題解決型の提案を行うことが、ケアマネジャーからの信頼獲得につながります。

3-2. 医療機関との連携を強化する

在宅医療において、医師との信頼関係を構築できているかは重要なポイントです。連携が円滑に機能していれば、患者さんに対してより質の高い医療サービスを提供できるだけでなく、薬局にとっては新たな患者さんの紹介にもつながります。

そのために薬剤師に求められるのが、専門的知見に基づいた情報提供です。
たとえば、訪問時に把握した食事摂取量の変化やADLの低下、服薬状況の乱れ、副作用の兆候といった生活面・医療面の情報をもとに、医師に対して処方提案や注意喚起を行います。こうした現場起点のフィードバックは、医師の意思決定を支える重要な判断材料となります。

専門性に基づくコミュニケーションを積み重ね、医療機関との信頼関係が構築されれば、個人在宅患者の紹介へとつながっていきます。医師にとって必要な情報を、迅速かつ的確に伝え続ける姿勢こそが、連携強化の基盤です。

3-3. 薬局事務員を戦力化し、在宅を強化する

在宅機能を強化するうえで重要なのは、薬剤師だけでなく、薬局全体の生産性を高めることです。その鍵を握るのが、薬局事務員の戦力化です。

ピッキングや処方薬の配送、在庫管理といった対物業務を事務員が担うことで、薬剤師はより付加価値の高い対人業務に専念できるようになります。あわせて、役割の明確化やキャリアパスの設計を通じて、事務員が主体的に動ける環境を整えることも重要です。

2026年度調剤報酬改定では、薬剤師・事務員の処遇改善を目的として、調剤ベースアップ評価料が新設されました。事務員については、2026年度・2027年度でそれぞれ+5.7%のベースアップが求められています。

こうした賃上げを持続的に実現するためには、評価料に依存しない収益構造の確立が不可欠です。事務員を在宅を支える戦力として位置づけることは、生産性向上と賃上げ、そして働きがいの向上を同時に実現する、持続可能な経営戦略といえるでしょう。

4. まとめ

2026年度調剤報酬改定により、「在宅薬学総合体制加算2」は、個人在宅の実績を前提とした評価へとシフトしました。薬局には、これまで以上に患者さん一人ひとりの生活に深く関わる在宅対応が求められています。

きらりプライムサービスでは、在宅に取り組む薬局を支援するため、WEBセミナー「個人在宅を伸ばす薬局の実践戦略 ~令和8年度調剤報酬改定を見据えた在宅強化~」を開催いたします。

本セミナーでは、個人在宅患者を増やすための具体的なアプローチや、在宅薬学総合体制加算2を算定するための体制構築など、現場で実践できるノウハウを解説します。在宅患者獲得や在宅体制の構築に悩む薬局様のご参加をお待ちしております。

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