調剤基本料はどうなる?何が変わる?2026年調剤報酬改定の狙いと影響範囲

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

2026年度の調剤報酬改定では、厚生労働省が推し進める「面分業の推進」と「薬局の機能評価」がより明確な形で点数設計に反映され、門前薬局や敷地内薬局への評価は一段と厳格化されています。その一方で、地域のインフラとして幅広い処方箋を受け付け、高度な対人業務を行う薬局には手厚い評価がなされるよう、調剤基本料の体系が抜本的に再編されました。

今回の記事では、調剤基本料の具体的な点数変更や対象拡大、そして基本料Aの例外など、薬局経営者が把握しておきたいポイントを詳しく解説します。

1. 調剤基本料の引き上げと主な要件

2026年度調剤報酬改定では、調剤基本料の評価において「処方箋集中率」と「薬局の立地」がこれまで以上に重視される仕組みへと見直されました。特に、特定医療機関への依存度が高い門前薬局にとっては、経営へ大きな影響を及ぼす改定内容となっています。

区分 点数 主な要件
調剤基本料1 47点

(旧45点)
調剤基本料2・3、特別調剤基本料以外
調剤基本料2 30点

(旧29点)
処方箋受付回数および集中率が、次のいずれかに該当する薬局

①月4,000回超+上位3の医療機関の集中率70%超

②月1,800回超+集中率85%超

③都市部で600~1,800回+集中率85%超

④特定医療機関で月4,000回超
調剤基本料3(イ) 25点

(旧24点)
グループ薬局において、

・処方箋受付回数が月3万5,000回超~40万回以下

・集中率85%超
調剤基本料3(ロ) 20点

(旧19点)
グループ薬局において、

・処方箋受付回数が月40万回超

・集中率85%超

※店舗数基準の削除
調剤基本料3(ハ) 37点

(旧35点)
グループ薬局において、

・処方箋受付回数が月40万回超

・集中率85%以下

※店舗数基準の削除
特別調剤基本料A 5点 同一敷地内薬局

※例外で基本料1に該当するケースあり
特別調剤基本料B 3点 調剤基本料の届出がない薬局

※主な変更点は赤字にて記載

出典:厚生労働省|中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 個別改定項目について

今回の改定では、基本料1と基本料3ハは、それぞれ2点引き上げられました。処方箋集中率が低く、地域住民に対して幅広く医薬品提供を行っている薬局が評価されています。

2. 集中率85%超の場合、1,800回以上で「基本料2」

多くの門前薬局が意識したいポイントが、調剤基本料2の対象範囲拡大です。

これまで、処方箋の受付回数が「月1,800回超〜2,000回」の枠内であれば、集中率が95%を超えない限り、基本料1を維持することが可能でした。しかし、改定により、「月1,800回超」かつ「集中率85%超」であれば、調剤基本料2の対象となります。

門前薬局では、特定医療機関からの処方箋比率が高くなりやすく、集中率85%を超えるケースは決して珍しくありません。これまで調剤基本料1を算定していた中小規模の薬局でも、基本料2へ移行する可能性が高くなっています。

3. 都市部・小規模・集中率高で「基本料2」

都市部の門前薬局においては、さらに厳しい基準が設けられました。

処方箋枚数が少なく、本来なら基本料1の対象となるはずの店舗であっても、以下の要件を満たすと基本料2相当へと減点されます。

対象地域 特別区・政令指定都市(札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市)に新規開局した薬局

※ただし、半径500m以内に他の保険薬局が無い場合は除く
処方箋受付回数 月600回超
集中率 85%超

1日あたり30枚前後(月600〜700枚程度)の処方箋を応需する小規模薬局であっても、都市部の門前立地で集中率が高ければ、基本料2の対象となります。

なお、現状では、新規開局する薬局のみが対象です。

経過措置として、2026年5月31日までに開設され、改定後も処方箋受付回数が月1,800回以下である既存薬局については、当面の間この新基準は適用されず、基本料1を維持できます。

しかし、国が都市部における門前薬局を厳しく規制している以上、将来的に既存薬局へと対象が広げられる可能性は十分にあります。既存薬局であっても油断せず、今のうちから面処方の獲得やかかりつけ・在宅へのシフトを見据えた経営戦略を練っておくことが重要です。

4. 医療モールの集中率計算:建物内は「1つの医療機関」に

今回の改定では、医療モール内における処方箋集中率の計算方法も見直されました。

これまで医療モール内薬局では、同じ建物内にある複数クリニックから処方箋を受けることで、特定医療機関への集中率を85%以下に抑え、基本料1を維持するケースが一般的でした。

しかし改定後は、医療モール内にある複数の医療機関を「1つの医療機関」として合算して扱うルールへ変更されます。

つまり、内科45%、皮膚科25%、眼科20%といった構成であっても、同じモール内の医療機関であれば合算され、集中率85%超として判定されるということです。

これまで基本料1を維持していた医療モール型薬局では、基本料2、あるいは大手チェーン薬局では基本料3へのランクダウンが懸念されます。

なお、施設入居者等に係る処方箋については、集中率計算の対象外とされています。これは、在宅医療に積極的に取り組む薬局が、立地要件のみで不利な評価を受けないよう配慮された措置といえるでしょう。

今後は、医療モール外からの処方箋の獲得や在宅医療の拡充、かかりつけ機能の強化などを通じて、処方箋依存からの脱却を進めることが、基本料維持の重要なポイントとなります。

5. 調剤基本料3の「300店舗」の削除

調剤基本料6のロハの施設基準から、「同一グループの薬局店舗数が300以上」という規定が削除されました。

今後は、店舗規模ではなく、グループ全体の処方箋受付回数や処方箋集中率といった、運営の実態が判断軸となります。

300店舗に満たない中堅薬局グループであっても、処方箋の総受付回数や集中率が高い場合は、「大手並みの経営効率がある」とみなされ、基本料3が適用されることになります。

すべての薬局チェーンは、医療モール内薬局と同様、特定医療機関依存からの脱却や在宅対応の拡充などを通じて、地域医療への貢献度をどのように高めていくかが課題となるでしょう。

6. 特別調剤基本料Aの見直し

2026年度調剤報酬改定では、敷地内薬局などに適用される特別調剤基本料Aについても、見直しが行われました。

従来の「クリニック併設型薬局」に対する例外規定が削除される一方、へき地における医薬品供給体制を維持するための救済措置が新設されています。

単純に門前型を排除するのではなく、「地域医療への必要性があるかどうか」で評価を分ける制度へと変化している点は、注目したいポイントです。

6-1. へき地の敷地内薬局は「基本料1」

今回の改定では、へき地医療を支える薬局への配慮として、一定条件を満たす場合、敷地内薬局であっても基本料1の算定が認められるようになりました。

対象となるのは、以下すべての要件を満たす薬局です。

地方公共団体が所有する土地にあり、公的医療機関と同一敷地・建物内であること。
当該医療機関が都道府県知事より「へき地医療拠点病院」等として認められていること。
半径4km以内に他の薬局が存在しないこと。

この例外措置は、採算確保が難しい地域においても、住民が必要な医薬品を継続的に受け取れる体制を維持するための政策的配慮といえます。

6-2. 集中率50%+同一敷地内薬局はすべて「基本料A」

一方で、都市部や一般的な門前型薬局に対する評価は、さらに厳格化されています。

これまで、同一敷地内であっても、「同じ建物の中に診療所と薬局が入っている場合は基本料Aの対象外」とされていましたが、この規定が削除されました。

今後は、「不動産関係(同一敷地内)があり、集中率が50%を超える」場合、同一敷地・同一建物内の薬局は、すべて特別調剤基本料Aの対象となります。

なお、経過措置として、以下2点を満たす場合は、これまでの基本料を算定することができます。

・2026年3月4日以前から現在まで、同じ診療所が存在している
・新たに他の医療機関と「特別な関係」を追加していない

これらはあくまで既存薬局の運営に配慮した特例であり、今後、クリニックの退去や入れ替えに伴って新たな契約が発生した瞬間、経過措置の対象外となるリスクがあります。

6-3. オンライン診療ブース併設薬局も「基本料A」

今回の改定で新たに注目されるのが、オンライン診療受診施設(診療ブース等)に関する規定です。

近年は、薬局内にオンライン診療ブースを設置し、その場で診療から処方、調剤まで完結させるモデルが広がりつつあります。患者さんにとって利便性が高い一方で、実質的に特定薬局へ誘導しており、デジタル版の門前囲い込みではないかといった点が指摘されていました。

これを受け、今回の改定では、薬局と同一敷地内にオンライン診療受診施設を設置している場合、特別調剤基本料Aの対象とするルールが新設されています。

オンライン診療の普及は推進しつつも、特定の薬局への誘導や癒着につながる仕組みについては調剤基本料を削ることで、その不適切性を正そうとする国のメッセージが伺えます。

7. 都市部・医療モール内薬局に「門前薬局等立地依存減算(▲15点)」

2026年改定では、都市部に新規開設する薬局と、医療モール内薬局に対し、門前薬局等立地依存減算として減算制度が導入されます。

2026年6月1日以降に新規開設される薬局のうち、以下の「パターンA」or「パターンB」の条件に該当する場合、門前薬局等立地依存減算(▲15点)の対象となります。

パターンA【都市部の薬局】

対象地域 特別区(東京23区)・政令指定都市
近隣環境 水平距離500m以内に、他の保険薬局がある
集中率 85%超
密集条件 次のいずれかに該当すること

①200床以上の病院から100m以内にあり、そのエリア(病院敷地内含む)に他の薬局が2つ以上ある。

②自薬局の周囲50m以内に、他の薬局が2つ以上ある。

③自薬局の周囲50m以内にある他の薬局が、②に該当する。

パターンB【医療モール内薬局】

以下すべてに該当する薬局。 ①特定の医療機関の処方箋集中率が85%超

②同一敷地内、または同一建物内にある薬局

大病院周辺や駅前エリアなどで、薬局同士が極めて近接して密集し、特定医療機関への依存度も高い場合、「立地依存型薬局」と判断されることになります。また、医療モール内薬局についても、今回の改定でモール内の複数クリニックを「1つの医療機関」として扱う集中率計算ルールへ変更されたため、従来よりも高い集中率として判定されやすくなっている点に注意が必要です。

経過措置として、2026年5月31日に保険指定を受けている薬局については、当面の間、門前薬局等立地依存減算は適用されません。

ただし、既存薬局であっても、処方箋集中率、受付回数、医療モール合算ルールに基づく基本料区分の見直しは適用されます。15点減算の対象外であったとしても、基本料1から基本料2への移行など、実質的な収益減につながる可能性は十分にあります。経過措置があるからと安心するのではなく、自薬局の集中率や応需構造を早期に確認し、将来的な区分変更を見据えた対応が求められます。

8. まとめ

2026年調剤報酬改定では、門前薬局や医療モール内薬局への風当たりが厳しくなり、立地に依拠した収益モデルは、その存続自体が問われています。

都市部における新規開局は、調剤基本料2への格下げに加え、門前薬局等立地依存減算(▲15点)という二重の壁に直面します。また、医療モール内の複数クリニックを「1つの医療機関」として扱う集中率合算ルールの導入により、従来は基本料1を維持できていた薬局も、基本料2や基本料3への移行リスクが高まっています。

一方で、在宅医療、地域連携、へき地医療、対人業務など、地域医療への実質的な貢献を行う薬局を評価する方向性も明確に打ち出されました。

仮に調剤基本料のランクダウンが避けられない場合でも、在宅医療への対応強化、かかりつけ機能の充実、オンライン服薬指導の活用、広域処方箋の受け入れなど、対人業務や地域貢献を強化することで、収益構造を補完していく視点がこれまで以上に重要になります。

きらりプライムサービスでは、在宅薬局経営や調剤報酬改定への対応について、薬局経営者のみなさまからのご相談を受け付けています。激変する制度環境の中で、不安や課題を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。変化を成長の機会へ変え、持続可能な薬局経営を共に実現していきましょう。

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