調剤基本料はどうなる?何が変わる?2026年調剤報酬改定の狙いと影響範囲

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

2026年調剤報酬改定の狙いと影響範囲

2026年2月13日、中央社会保険医療協議会は、2026(令和8)年度の調剤報酬改定に向けた答申を行いました。今回の改定は、加速する少子高齢化への対応、物価高騰を背景とした医療従事者の賃上げ、そして「門前」から「地域」へと薬局の役割を転換することを大きな柱としています。

調剤基本料については、基本点数の引き上げによる底上げが図られる一方で、算定要件の厳格化や、特定の経営モデルに対する評価の適正化が進められました。

この記事では、答申資料の内容に基づき、調剤基本料の新たな点数設定、特別調剤基本料Aの例外規定、グループ薬局や都市部新規開局への影響について整理・解説します。

1. 2026年度改定の全体像―賃上げと機能評価

2026年度調剤報酬改定は、立地依存の経営の是正と、機能・実績に基づく評価への転換がポイントとなります。インフレや人材不足への対応とともに、薬局の本来機能をどう発揮しているかが、より厳しく問われる改定です。

基本料の引き上げと賃上げ対応

長引く物価上昇と人手不足を背景に、調剤基本料は一定の底上げが行われます。さらに調剤ベースアップ評価料が新設され、薬剤師や事務スタッフの賃上げを制度的に後押しする仕組みが導入されます。

立地評価の厳格化

薬局が多数ある地域や医療モール内など、立地依存度が高い地域に新規開局する場合は、門前薬局等立地依存減算として新たな減算規定が設けられます。あわせて、基本料2の対象拡大や基本料3の要件撤廃も行われ、区分変更となる薬局が増加する見込みです。

かかりつけ機能と地域支援の実績を評価

かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は廃止され、服薬管理指導料へ統合されます。同意書の提出も不要となり、形式的要件よりも実際の在宅対応やフォローアップ実績を重視する評価体系へと移行します。

さらに、後発医薬品調剤体制加算と地域支援体制加算が統合され、地域支援・医薬品供給対応体制加算が新設されます。地域における医薬品供給体制の確保や在宅対応力など、実働ベースの評価が強まります。

2. 調剤基本料の引き上げと主な要件

調剤基本料については、点数の引き上げが行われます(特別調剤基本料Aを除く)。

以下に、改定後の点数と主な要件をまとめました。

区分 改定後 現行 主な要件
調剤基本料1 47点 45点 処方箋集中率が低い一般的な薬局
調剤基本料2 30点 29点 ・集中率85%~95%かつ
・受付回数1,800~2,000 回
都市部での新規開設 30点 政令指定都市や東京23区などに新規開設する薬局で、
・集中率85%超かつ
・受付回数600回超
調剤基本料3(イ) 25点 24点 ・集中率85%~95%かつ
・グループ薬局の受付回数合計3万5,000回超~40万回以下
調剤基本料3(ロ) 20点 19点 ・集中率85%超かつ
・グループ薬局の受付回数合計40万回超
調剤基本料3(ハ) 37点 35点 ・集中率が85%以下かつ
・グループ薬局の受付回数合計40万回超
特別調剤基本料A 5点 5点 主に敷地内薬局が対象
例外 47点 へき地、4km以内に他の薬局がない場合
門前薬局等立地依存減算 ▲15点 新規開設の薬局で、以下すべてに該当
・特定地域に所在し、半径500m以内に他の薬局がある。
・集中率85%超
・200床以上の病院から100m以内にあり、敷地内等に他の薬局が2つある。あるいは、周囲50m以内に他の薬局が2店舗以上ある(もしくは条件に該当する他の薬局がある)。

出典:厚生労働省|中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 個別改定項目について

処方箋集中率の低い、調剤基本料1と基本料3ハが、2点引き上げられます。一方で、基本料2の対象が拡大され、多くの門前薬局が基本料1から基本料2へと区分変更となる可能性があります。さらに、都市部における新規開局へのペナルティが設けられるなど、多くの薬局にとって厳しい改定となりました。

ここからは、それぞれの調剤基本料の改定について解説します。

3. 調剤基本料2の適用範囲拡大

これまで「処方箋集中率が85%を超えていても、月2,000回以下」という理由で、基本料1と算定する中小門前薬局が多く存在していました。今回の改定では、この基準が1,800回に引き下げられたことで、多くの薬局が基本料2(30点)への区分変更を余儀なくされます。

地方や郊外で特定のクリニックと密に連携している1,800回超の薬局は、何らかの面対応展開(他医療機関の処方箋獲得)をしない限り、基本料1を維持できなくなります。

3-1. 都市部の新規開局への規制を導入

さらに厳しいのが、都市部における基本料2の対象拡大です。これには、小規模な門前薬局の乱立を防ぐ狙いがあります。

以下の要件をいずれも満たす場合、調剤基本料2相当での算定となります。
・処方箋受付回数:月600回超
・処方箋集中率:85%超

対象となる都市部は、以下の地域です。

札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市

処方箋枚数が1日あたり30枚程度(月600〜700枚)の、「地域密着型の小規模薬局」として基本料1を算定していた都市部の店舗も、立地が門前であれば基本料2の対象となります。

3-2. 医療モール型薬局への「合算ルール」の厳格化

これまで多くの医療モール型薬局は、複数のクリニックが入居していることを利用し、「特定の医療機関への集中率」を85%以下に抑えることで、基本料1を算定することができました。

しかし、今回の改定で、同一敷地内または同一建物内の複数の医療機関は、「ひとつの医療機関」と見なすことが決まりました。この変更により、医療モール型薬局の多くは、「集中率85%超」と判定されることになります。受付回数に応じて基本料2、大手チェーンであれば基本料3ロへのランクダウンを強いられることになります。

4. 調剤基本料3の店舗数基準の削除

調剤基本料3について、「同一グループの店舗数が300以上」という要件が削除されます。処方箋枚数と集中率が主な判断基準となり、規模よりも実態が重視される形です。

グループ全体で月3万5,000回超〜40万回以下でも、処方箋集中率が95%高い場合などは、調剤基本料3(イ)の適用対象となる可能性があります。大手チェーンに限らず、集中型の経営モデル全般が評価対象に含まれる点に注意が必要です。

5. 特別調剤基本料Aの「例外」と対象拡大

敷地内薬局などに適用されてきた特別調剤基本料Aについて、例外規定が新設されます。

以下の条件をすべて満たす場合、特別調剤基本料Aではなく、調剤基本料1を算定可能です。
・地方公共団体所有の土地にある公的医療機関と同一敷地・建物内
・当該医療機関が、へき地医療拠点として都道府県知事に認められている
・半径4km以内に他の薬局が存在しない

この例外措置は、採算確保が困難な地域における医薬品供給体制を維持するための政策的配慮といえます。門前型モデルを一律に否定するのではなく、地域事情を踏まえた柔軟な制度設計が示された点は注目に値します。

一方で、特別調剤基本料Aの対象が拡大している点にも注意が必要です。

「同一建物内に診療所(クリニック)がある場合」の除外削除

従来は、同じ建物の中に診療所(クリニック)が1つでも入っていれば除外されていましたが、この規定が削除されます。これにより、同一敷地・建物内の薬局は、すべて特別調剤基本料Aの対象となります。

オンライン診療受診施設を設置する場合も対象に

薬局の同一敷地内で、「オンライン診療受診施設」を設置する場合、特別調剤基本料Aの対象となります。デジタル版の門前薬局や、オンラインによる患者さんの囲い込みを制限する狙いです。

6. 門前薬局等立地依存減算(▲15点)の新設

2026年改定では、門前薬局等立地依存減算として減算制度が導入されます。新規開設する薬局は、以下の条件すべてに合致すると、調剤基本料から15点がマイナスされます。

対象 新規開設する薬局
対象地域 東京23区、政令指定都市
近隣環境 水平距離500m以内に、他の保険薬局が既に1軒以上存在している
集中率 85%超
密集条件 次のいずれかに該当すること
・200床以上の病院から100m以内にあり、そのエリア(病院敷地内含む)に他の薬局が2店舗以上ある。
・自店舗の周囲50m以内に、他の薬局が2店舗以上ある。
・自店舗の周囲50m以内に、上記の条件(密集状態)に該当する他の薬局がある。

この減算の新設により、都市部で病院前に新規出店しようとする薬局は、「基本料2の適用+立地依存減算」という二重のペナルティを受けることになります。

まとめ

2026年調剤報酬改定は、門前薬局や医療モール型薬局への風当たりがさらに厳しくなります。都市部における門前依存型の新規開局には、基本料2と門前薬局等立地依存減算の両方の対象となる可能性があるため、注意が必要です。

一方で、特別調剤基本料Aの例外規定に見られるように、在宅医療・地域連携・へき地医療・対人業務の質といった分野に積極的に取り組む薬局を、高く評価する動きも見られます。

自薬局がどの区分に該当するのか、どの加算・評価を狙うべきかについて、早期のシミュレーションと体制整備を行いましょう。

きらりプライムサービスでは、在宅薬局経営にまつわるご相談を受け付けています。患者獲得、加算取得に向けた体制整備、新規開局戦略など、何でもお問い合わせください。

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