患者のための薬局ビジョンとはーわかりやすく解説ー

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患者のための薬局ビジョンとはーわかりやすく解説ー

「患者のための薬局ビジョン」は、患者さんのためにあるべき薬局の姿を描いたものでもあり、生き残る薬局の指標となるものでもあります。
しかし、具体的にどのような内容が書かれているのかをしっかり把握している方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、「患者のための薬局ビジョン」に書かれている内容のうち、とくに重要なものをピックアップしてわかりやすく解説します。

目次

「患者のための薬局ビジョン」とは

「患者のための薬局ビジョン」とは、かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局を基盤とした「患者さんのための薬局」を作るための指標のことです。厚生労働省が打ち出した理想の薬局像ともいえるでしょう。

これまで国は、医薬分業を推進してきました。以前より医薬分業は進んだものの、かかりつけの機能を発揮できている薬局は決して多くありません。

団塊世代が後期高齢者になる2025年が目前に迫っていることから、患者本位の医薬分業を早めに達成する必要があります。そこで打ち出されたのが、この「患者のための薬局ビジョン」なのです。

  • 立地から機能へ
  • 対物業務から対人業務へ
  • バラバラから一つへ

    この3つの考え方をベースに、薬局のあるべき姿、目標とするべき姿が記されています。

かかりつけ薬剤師・薬局機能

「患者のための薬局ビジョン」では、患者さんがいつでも気軽に薬のことについて相談できるかかりつけ薬剤師の存在が重要だと明言されています。

  • お薬手帳の集約化
  • 在宅の対応
  • 開局時間外の電話相談の実施
  • 処方医へのフィードバック
  • 受診勧奨

    これらを実施することで、かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局としての機能をはたすことが重要です。

健康サポート機能

健康サポート薬局とは、かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局としての機能をもち、さらに健康に関する相談を気軽に行える薬局のことです。患者さんのニーズに応じて、健康サポート薬局の機能をより充実させる必要があります。

地域包括支援センターや訪問看護ステーションなどと連携を取り、土日も一定時間開局させたりプライバシーに配慮した相談窓口を設置することで気軽に相談しやすい環境を作ったりすることが大切です。

高度薬学管理機能

健康サポート機能に加えて、高度薬学管理機能も強化すべきだと厚生労働省は明言しています。
高度薬学管理機能とは、名前のとおり高度な知識や技術をもつ薬剤師がいる薬局のことです。
がんやHIV、難病などを抱える患者さんに対して高度な薬学的管理を行えるように医療機関と連携します。

患者さんがもってきた処方箋を調剤するだけでなく、抗がん剤で副作用が出たときの対応についてアドバイスしたり、適切な治療薬を選択できるよう支援したりすることが大切です。

服薬情報の一元的・継続的把握

今後の薬局は、ICT(情報通信技術)を利用した服薬情報の管理が必要になります。
お薬手帳といえば紙が主流ではありますが、厚生労働省は電子版のお薬手帳を普及させるよう動きを見せているのです。

電子版のお薬手帳なら紙とは違い受診時に忘れにくく、保存容量が大きいことから長期にわたる管理ができます。
独自に健康診断や運動の記録などをつけられるものもあるため、さまざまな角度から健康を管理することが可能です。

とはいえ、電子版のお薬手帳は一部の薬局でのみしか使えないものが多くあります。そのため、どの薬局に行っても使えるお薬手帳の仕組みを作らなければなりません。

24時間対応・在宅対応

薬局が開いていない時間でも必要に応じて電話相談ができる環境作りが推奨されています。
また、夜間や休日であっても患者さんの求めがあった場合は、調剤を実施できるようにします。
24時間対応が難しい場合は、近隣の薬局と連携して調剤体制を整えることが大切です。

医療機関等との連携

処方箋を受け取って調剤するだけでなく、積極的に疑義照会や処方提案をしたり、処方医へフィードバックをしたりする必要があります。残薬がある場合は数量の調整も行いましょう。

また、患者さんから医薬品や健康についての相談を受けた場合は、必要に応じて受診勧奨を行います。

医療業界の危機 在宅の対応は重要

生き残る薬局になるためには、在宅への参加が欠かせません。「患者のための薬局ビジョン」でとくに大きくフォーカスを当てられているのが在宅対応です。

団塊世代が後期高齢者になり始めるため、在宅の需要は間違いなく増加していきます。
実際に在宅対応を行う薬局がどんどん増えているのをご存知でしょうか。
居宅療養管理指導を請求している事業所数は2008年には16,015件でしたが、2019年には倍以上の39,123件にまで伸びています。

これに合わせて居宅療養管理指導の受給者数も右肩上がりとなっているのです。生き残るためには、在宅対応を避けることはできません。

まとめ

これから求められる薬局の像をわかりやすく示したものが「患者のための薬局ビジョン」です。
医療者都合ではなく、患者本位の医薬分業を進めるべく厚生労働省から打ち出されました。

立地ではなく機能で選ばれる薬局であること、対物業務ではなく対人業務へシフトしていくこと、散乱している情報を一つにまとめて一元的に管理することが求められます。

生き残る薬局になるためには、在宅の対応をすることが大切です。
後期高齢者が一気に増えるため、在宅の需要はますます高まります。現状を維持しているだけでは患者さんに選ばれる薬局にはなれません。

生き残るため、必要とされる薬局になるために「患者のための薬局ビジョン」を参考にして戦略を考え実行していきましょう。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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