薬局の在宅訪問の始め方! 手順から必要書類まで解説!

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薬局の在宅訪問の始め方! 手順から必要書類まで解説!

1. 薬局における在宅訪問の業務内容とは?

薬局の在宅訪問では、薬の配達や服薬指導・服薬管理、情報共有などが主な業務内容となります。以下は、在宅訪問で重要となる4つの業務です。

①患者さんの自宅に薬を届けて管理する
処方箋に基づいて調剤した薬を、薬剤師が患者さんの自宅へ直接届けます。処方箋の発行が有効期限内であるか、処方内容が適切であるかといった処方監査は、薬を届ける前に薬局内でしっかり行います。患者さんの自宅では、外来と同様に服薬指導を行います。患者さんの様子を伺いつつ、服用方法を十分理解してもらえたかを確認することも重要です。

②薬の残薬調整を行う
患者さんの自宅で残薬が見つかった場合は、残薬数に合わせて、医師に次の処方薬の量を調整してもらいます。残薬を活用することは患者さんの薬代の負担が減るだけでなく、医療費抑制にも貢献します。

③残薬が出ないようサポートを行う
残薬が多い場合は、残薬が発生する原因にもしっかりフォーカスし、服薬コンプライアンスの向上をめざすことが大切です。錠剤が大きくて飲み込めない、PTPシートから上手に薬を取り出せない、お昼の服用を忘れてしまうなど、さまざまな原因が考えられます。状況に応じて、薬の形状変更や一包化を提案したり、服薬カレンダーを導入したりといった対応策を考えましょう。

④報告書を作成し情報を共有する
在宅訪問後は、患者さんの服薬状況や副作用、治療効果などについて報告書を作成し、主治医とケアマネジャーに報告します。報告書の内容で治療方針が変わる可能性もあるため、患者さんの状況を正確に把握し、事実を記載することが大切です。

2. 薬局の在宅訪問の流れ

薬局が在宅訪問を始める際の大まかなステップは、「医師の指示⇒ケアプラン作成⇒薬剤師の居宅療養管理指導の開始」となります。ここでは、初回における在宅訪問の流れについて、詳しく見ていきましょう。

2-1. 医師やケアマネジャーと親しくなっておく

在宅訪問を始める1番の近道と言われているのが、医師やケアマネジャーなどと交流を持つことです。特に、医師との信頼関係の構築は、在宅訪問での必須条件と言えます。なぜなら、在宅患者さんの80%以上が医師からの依頼であり、また在宅訪問を開始する際には医師からの訪問指示が必要となるからです。

在宅訪問を開始する前から医療機関との連携を密にし、「在宅訪問を始めようと考えている」ということを医師に伝えておきましょう。また、積極的な処方提案の実施や、無菌調剤が可能な旨など、薬局の強みを周知しておくと訪問依頼のきっかけとなります。医療機関は、地域の調剤薬局のサービスについて詳細を把握できていないケースが多いため、薬局側からアピールすることが重要です。

ときには、ケアマネジャーから在宅訪問の依頼を受けることもあります。地域包括支援センターでは、薬剤師やケアマネジャーらが参加できる交流会などが定期的に開催されているので、多職種の集まりには積極的に参加し、地域医療関係者との関係性を作っておきましょう。

2-2. 医師から「訪問薬剤管理指導依頼書・情報提供書」を受け取る

「訪問薬剤管理指導依頼書・情報提供書」とは、在宅訪問を開始するにあたって、医師から薬剤師に提供される書類です。既往歴や病状、処方内容、介護状況、薬剤師への注意事項などが記載されており、在宅訪問をスムーズに行うために役立ちます。

外来にて「残薬がありそう」「服薬状況が気になる」といった患者さんがいる場合は、薬剤師から医師へ在宅訪問について相談し、訪問薬剤管理指導依頼書もしくは情報提供書の記載を依頼しましょう。

なお、訪問薬剤管理指導依頼書・情報提供書がなくても、処方箋に「訪問指示」の記載があれば、薬局が在宅訪問をすることは可能です。ただし、初回にて訪問薬剤管理指導依頼書・情報提供書がない場合は、医師に連絡して患者さんの病状や注意事項などについて確認し、安全な在宅医療の提供に努めましょう。

2-3. 「薬学的管理指導計画書」を作成する

「薬学的管理指導計画書」とは、医師から提供を受けた診療情報をもとに、実施する服薬指導の内容や訪問回数、訪問間隔などを記載する書類です。原則として、薬学的管理指導計画書は、訪問前に策定します。初回訪問前は患者さんの状況がわからないことが多いものの、入手した情報をもとに可能な範囲で計画を立てましょう。

担当ケアマネジャーにケアプランの作成を依頼する場合も、訪問前に行います。ケアマネジャーに対してケアプランの作成に必要な情報提供を行うことも、薬剤師の重要な役割です。

2-4. 利用者(患者)さんに「居宅療養管理指導の同意書(契約書)」を記入してもらう

「居宅療養管理指導の同意書」とは契約書のことで、薬剤師の在宅訪問について利用者さんからの同意を証明する重要な書類です。契約書は2部作成し、薬局と利用者さんが1部ずつ保管します。

一般的に、初回訪問時には契約書や重要事項説明書を持参し、利用者さんに対して在宅訪問サービスの説明を行います。初回訪問時は、利用者さんのご家族やケアマネジャーにも同席してもらうのが望ましいでしょう。利用者さんの生活習慣やご家族との関係性などを詳しく把握できると、より適切な服薬管理が行えます。

2-4. 在宅訪問スタート・医師やケアマネジャーへの報告

契約書が無事に締結できたら、在宅訪問が始まります。利用者(患者)さんとともに決めたスケジュールのもと、在宅訪問を実施しましょう。訪問後は速やかに報告書を作成し、医師へ提出することが義務づけられています。状況に応じて、ケアマネジャーや訪問看護師への情報共有も行いましょう。

初回訪問後は、利用者(患者)さんの状況を考慮して、薬学的管理指導計画書を練り直します。薬学的管理指導計画書は、最低でも月1回の見直しが必要です。処方変更が行われたり、他職種からの情報提供を受けたりした場合には、随時更新してください。

3. 薬局が在宅訪問を始める3つの手順

ここでは、在宅訪問を始めるための3つの手順を解説します。申請などの事務手続きが多いものの、難しくはないので、余裕をもって準備を進めていきましょう。

3-1. ①申請書や届出を提出する

在宅訪問を始めることを決めたら、まずは必要な申請や届出を済ませます。

・在宅患者訪問薬剤管理指導に係る届出
・介護給付費の請求及び受領に関する届
・居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導事務所の指定に係る記載事項
・生活保護法指定介護機関指定申請書・中国残留邦人等支援法指定介護機関指定申請書

上記は、在宅訪問サービスを始めるにあたって、必ず申請が必要な書類です。薬局開設日などによってはみなし指定がされているため、提出が不要なケースもあります。詳細は後述するので、早めに提出を済ませましょう。

また、以下の書類も必要に応じて提出します。

麻薬小売業者免許申請書
薬局で麻薬を取り扱う場合に必要な書類です。管轄区の保健所などへ提出します。

・麻薬小売業者譲渡許可申請書
麻薬小売業者が在庫不足時に、麻薬の譲渡・譲受をする場合に必要な書類です。管轄区の保健所などへ提出します。

無菌製剤処理加算の施設基準に係る届出書
クリーンルームなどで無菌調剤を行う場合に必要な書類です。地方厚生(支)局へ提出します。

在宅訪問では、緩和ケアや臨時対応で、患者さんの苦痛を緩和するために医療用麻薬を用いるケースもあります。在宅患者さんのニーズに応えるためにも、麻薬小売業者免許を取得することをおすすめします。麻薬小売業免許の有効期間は、免許取得日から翌々年の12月31日までとなるため、いずれ継続申請の手続きが必要であることも覚えておきましょう。

3-2. ②薬局内掲示物を作成する

各種書類の申請に伴い、薬局内での掲示が義務付けられています。在宅訪問を行う薬局では必ず掲示が必要となるので、早めに作成しておきましょう。

運営規定(介護保険)

居宅療養管理指導事業者としての運営規程を薬局内に掲示します。在宅訪問で具体的にどのようなサービスを提供しているのかを詳しく記載します。

介護保険サービス提供事業者としての掲示(介護保険)

在宅訪問サービスの内容や勤務体制、利用料金などを、薬局内の見やすい場所に掲示します。

訪問薬剤管理指導の届出を行っている旨の掲示 (医療保険)

訪問薬剤管理指導で実施するサービスについて、薬局内の見やすい場所に掲示します。

無菌製剤処理加算に関する掲示

「無菌製剤処理加算の施設基準に係る届出書」を提出した際に必要な掲示です。無菌調剤を実施している旨について、薬局内の見やすい場所に掲示します。

 

3-3. ③契約書類や業務書類を作成する

居宅療養管理指導(介護保険)において、介護保険サービスの利用者さんと薬局が契約を交わす際に必要となる書類や、在宅訪問業務で使用する書類を用意します。

契約書類(居宅療養管理指導(介護保険))
・重要事項説明書
・契約書

在宅訪問業務に必要な書類
・居宅療養管理指導記録簿(介護保険)
・在宅訪問薬剤管理指導記録簿(医療保険)
・医師への報告書
・薬学的管理指導計画書(少なくとも月1回の見直しが必要)
・居宅療養管理指導サービス後の領収書

重要事項説明書と契約書は、初回訪問時に各2通ずつ持参し、利用者さんと薬局がそれぞれ記名押印します。1通は利用者さんに渡し、1通は薬局で5年間保管する義務があります。なお、訪問薬剤管理指導(医療保険)では、契約書を用意する必要はありません。

訪問薬剤管理指導記録簿は、訪問日や副作用、服用状況などを記した在宅訪問での薬歴です。要件を満たせば、薬歴への記載でも構いません。

4. 在宅薬局の運営をサポートする「KIRARI PRIME サービス」

「在宅薬局を始めたいが自信がない」「在宅患者さんとのコミュニケーションに悩んでいる」など、在宅訪問ではさまざまな悩みにぶつかります。そこで活用していただきたいのが、地域密着型の在宅薬局を支援する「KIRARI PRIME サービス」です。

KIRARI PRIME サービスでは、在宅と外来のハイブリッド経営を実践するきらり薬局が、在宅訪問の経営ノウハウをお伝えします。以下は、KIRARI PRIME サービスで提供するサポートの一例です。

・在宅支援報告書作成システム「ファムケア」の提供

・人材シェアリングによる24時間体制の実現

・薬局の強みと地域に応じた在宅患者獲得サポート

・在宅薬剤師・在宅管理者の育成研修

・医薬品仕入交渉代行及びデッドストック活用

「ファムケア」は、在宅訪問に特化したクラウド型報告書作成システムです。在宅訪問に適した入力補助機能が充実しており、外出先からでも記載・送信ができるので、報告書作成業務の効率化が実現します。リアルタイムで情報共有できるファムケアは、オンコール対応や24時間体制の構築にも役立ちます。

ほかにもKIRARI PRIME サービスでは、在宅薬剤師の育成や、在宅患者獲得に向けた営業まで、在宅薬局に関わるさまざまな活動をサポートしています。在宅薬局を始めたい方、在宅訪問で困っている方は、ぜひKIRARI PRIME サービスにご相談ください。

まとめ

在宅薬局は、在宅患者さんが安全に薬物療法を進める上で重要な役割を担っており、多職種と連携を取りつつ、主体的に在宅医療に関わることが求められています。薬局が在宅訪問を開始するには、必要な申請や届出を済ませ、地域の医療機関・介護施設と連携体制を築くことが大切です。

質の高い在宅医療を提供するためには、クリーンルームや安全キャビネット、クリーンベンチの設置や24時間体制の整備、システム導入による業務効率化が必要となります。薬剤師の負担を軽減し、スムーズな在宅訪問体制を整えましょう。

「KIRARI PRIME サービス」は、在宅薬局をサポートするサブスクリプションサービスです。在宅薬局に関する悩みや不安を解決に導き、地域密着型の薬局経営を支援します。ぜひKIRARI PRIME サービスを活用して、リスクを抑えて在宅訪問サービスの開始に取り組んでください。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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【当コラムの掲載内容に関するご注意点】
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