【薬局経営者&薬剤師必見!】吸入薬指導加算まとめ!

吸入薬指導加算は、吸入薬の投薬が行われている患者さんに対して算定できる加算です。
しかし、ただ吸入薬の指導をすればよいというわけではありません。算定するためにはいくつか条件があります。
今回は吸入薬指導加算を算定するための条件や注意点、指導の対象となる医薬品などを見ていきましょう。
目次吸入薬指導加算とは?
吸入薬指導加算は、吸入薬の指導を行ったときに算定できます。
ただし、誰に対してでも算定できるわけではありません。喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者のみが対象です。
また、薬剤師の判断のみでは算定できないことにも注意しなければなりません。
- 医師から求めがあった場合
- 患者や家族から求めがあった場合
- 処方医に了承を得た場合
これら3つのどれかを満たさないと算定できない加算です。
いずれの場合も患者の同意を得たうえで指導を行います。練習用の吸入器を用いたり、文書による説明をしたりして指導を行うことがほとんどでしょう。
1回の指導につき、30点を算定できます。
吸入薬指導加算はいつ始まった?
吸入薬指導加算は、2020年4月に行われた診療報酬改定により始まりました。薬剤服用歴管理指導料の1つです。
近頃の診療報酬改定では、対人業務に力を入れている傾向があり、吸入薬指導加算もその一環として新設されました。
また、医師が吸入薬を選択し、薬剤師が指導を行うという医薬連携にもつながっています。
吸入薬指導加算の対象の医薬品まとめ!
吸入薬指導加算を算定するためには条件があるものの、条件さえ満たせばすべての吸入薬が算定の対象です。
ここでは、代表的な6つの吸入薬について、特徴や使い方を紹介します。
①アドエア ディスカス
サルメテロールキシナホ酸塩と、フルチカゾンプロピオン酸エステルが主成分の吸入薬です。カバーを開け、カチッと音がするまでレバーを押してください。音がしたら1回分の薬がセットされた証拠です。
薬がセットできたら軽く息を吐いて吸入口を口でくわえ、息を吸い込んでください。吸入後は、のどや口に残っている薬剤を落とすためにうがいを必ず行います。うがいをしないと、口内炎やのどの痛み、嗄声の原因となることがあるので注意しましょう。
②シムビコート タービュヘイラー
ホルモテロールフマル酸塩水和物とブテソニドが主成分の吸入薬です。未使用のものを使うときのみ、カチッと音が3回なるまでグリップを左右に回してください。準備操作が終わったら、グリップを右に回し、続いてカチッと音がするまで左に回します。軽く息を吐いたら吸入口をしっかりとくわえて吸い込みます。吸入後はうがいをしてください。
③レルベア エリプタ
ビランテロールトリフェニル酢酸塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルが主成分の吸入薬です。1日1回の吸入で済みます。できるだけ毎日同じ時間に吸入をしましょう。使い方は簡単で、カバーをカチッと音がするまで開け、吸入口をくわえて吸い込むだけです。吸入後はうがいをしてください。
④フルタイド エアゾール
フルチカゾンプロピオン酸エステルが主成分の吸入薬です。アダプターについているキャップを外し、薬を均一に混ぜるためによく振ってください。息を吐き出した後、ボンベの底を押し、吸入口を軽くくわえて吸い込みます。
吸入口をくわえず口から4cm離して吸い込む方法もあります。どちらで吸入するのかは医師の指示に従ってください。
吸入後は3~4秒ほど息を止めます。口内炎やのどの痛みを予防するためにうがいも行ってください。
⑤アズマネックス ツイストヘラー
モメタゾンフランカルボン酸エステルが主成分の吸入薬です。カチッと音がするまでキャップを左に回し、キャップを外します。息を吐き出したら吸入口をくわえて吸い込んでください。
カチッと音がするまでキャップを右回りにまわし、キャップを閉めます。吸入後はうがいを行ってください。
⑥スピリーバ レスピマット
チオトロピウム臭化物水和物が主成分の吸入薬です。カチッと音がするまで透明ケースを左に回し、キャップを開けます。息を吐いたら吸入口をくわえて噴射ボタンを押しながら2秒以上かけて吸い込んでください。そのまま口を閉じ、5つ数えるまで息を止めます。その後うがいをしてください。
アドエア ディスカス |
シムビコート タービュヘイラー |
レルベア エリプタ |
フルタイド エアゾール |
アズマネックス ツイストヘラー |
スピリーバ レスピマット |
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成分 |
サルメテロールキシナホ酸塩 フルチカゾンプロピオン酸エステル |
ホルモテロールフマル酸塩水和物 ブテソニド |
ビランテロールトリフェニル酢酸塩 フルチカゾンフランカルボン酸エステル |
フルチカゾンプロピオン酸エステル |
アズマネックス ツイストヘラー |
チオトロピウム臭化物水和物 |
適応 |
気管支喘息(吸入ステロイドおよび長時間作動型吸入β2刺激薬の併用が必要な場合) |
気管支喘息 (吸入ステロイドおよび長時間作動型吸入β2刺激薬の併用が必要な場合) |
気管支喘息 (吸入ステロイドおよび長時間作動型吸入β2刺激薬の併用が必要な場合) |
気管支喘息 |
気管支喘息 |
慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞性障害にもとづく諸症状の緩解(カプセル、レスピマット2.5μg) 気管支喘息の気道閉塞性障害にもとづく諸症状の緩解(レスピマット) |
薬剤師が吸入薬指導加算を算定する際に注意することは?
吸入薬指導加算を算定する際、次の2つのことに注意しましょう。
①かかりつけ薬剤指導料を算定している患者には算定できない
医師や患者の求めがあったとしても、かかりつけ薬剤指導料を算定している患者には、吸入薬指導加算を算定できません。かかりつけ薬剤師以外が対応する場合でも算定できないので注意してください。
②算定できるのは3か月に1度
吸入薬指導加算は3か月に1度しか算定できません。そのため、初回のお渡し時と、時間が経ってからの確認の意味で指導することがほとんどになるでしょう。算定できない期間に指導を行う場合は、服薬情報提供料1や服薬情報提供料2で対応する必要もあると考えられます。
まとめ
吸入薬指導加算は、医師や患者さんなどから求めがあった場合に吸入薬の指導を行うと算定できる加算です。
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者さんが対象になります。算定できるのは3か月に1度のみです。
必要に応じて服薬情報提供料1や服薬情報提供料2を算定することも視野に入れましょう。
かかりつけ薬剤指導料を算定している方には吸入薬指導加算を算定できないので注意してください。
患者さんにとって吸入薬は使い方が難しいと感じる場合も多いため、治療をスムーズに進めるためにも適切な指導が必要になります。
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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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