薬剤師の一包化監査業務がスムーズになる「PROOFIT」シリーズの導入メリット

薬の一包化や監査業務は、在宅患者さんや高齢者からのニーズが高い一方で、薬剤師にとって負担の大きい業務です。正確で安全な一包化監査・薬剤識別を維持するために、AIの活用に期待が寄せられています。
今回の記事では、一包化監査におけるミス・トラブルやヒヤリハットを防止するとともに、業務効率化を実現するシステム「PROOFIT 1D Ⅱ」「PROOFIT iQ」をご紹介します。調剤薬局でも導入事例の多いPROOFITシリーズについて、機能と導入のメリットを解説するので、DX化や自動化に興味のある薬局経営者の方はぜひお役立てください。
1. PROOFITシリーズとは?
PROOFIT(プル―フィット)シリーズとは、富士フィルムが独自技術を活用して開発した、薬剤の監査・識別支援システムです。富士フィルムは創立90周年を迎える精密機器メーカーで、AI・IT技術を駆使して医療現場を支援する製品・サービスを多数展開しています。そのうち、調剤薬局向けに提供されているのが、一包化監査支援システム「PROOFIT 1D Ⅱ(ワンドース ツー)」と、次世代型薬剤識別システム「PROOFIT iQ(アイキュー)」です。
薬剤師が目視で確認していた監査及び識別業務を、AI技術による画像解析システムに置き換えることで、業務効率化を促します。PROOFITシリーズはすでに全国の薬局で導入実績があり、薬剤師の業務負担を大幅に削減するとともに、DX化に貢献しています。
2. PROOFIT 1D Ⅱの機能・特徴
一包化監査システムPROOFIT 1D Ⅱは、錠剤やカプセルを高精度に解析・照合し、安全・安心な監査業務を実現します。一包化錠剤のAI識別精度は97%、識別速度は0.05秒以内と、スピーディーで正確な薬剤識別が可能です。
独自の刻印強調技術で刻印や文字を強調し、表裏や刻印の向きを揃えて画面に一覧表示し、スムーズな監査業務をサポート。旧機種のPROOFIT 1Dで収集した8,000種以上の薬剤情報を学習済みAIモデルとして搭載し、透明カプセルや特殊形状薬剤の検出精度も向上しています。
薬剤識別結果をQRコード化すると、電子カルテや電子薬歴と連携できるほか、アプリを経由して医療機関や施設へ情報提供を行うこともできます。
2-1. PROOFIT 1D Ⅱ導入のメリット
- 薬剤師の業務負担を大幅軽減
医薬品の種類が多いほど、調剤業務や監査業務は複雑となり、間違えるリスクも高くなります。実際に、一包化では調剤忘れや薬剤取り違え、分包間違いといったミスが多発しており、監査業務にかかる薬剤師の責任は重大です。PROOFIT 1D Ⅱを導入すると、AIが正確に照合するため、目視よりもはるかに信頼度の高い監査が行えます。薬剤師が一つひとつの袋を確認する手間がなくなり、精神的負担からも解放されます。
- 作業時間短縮
PROOFIT 1D Ⅱでは一分間に約40包の読み込みが可能で、画像認識技術によって一瞬で薬剤を照合できます。一般的に、在宅薬局では処方薬の種類や数が多くなりますが、PROOFIT 1D Ⅱを活用すれば、薬剤の数量に関わらずスピーディーかつ正確な監査が可能です。作業時間が短縮することで、患者さんの待ち時間も軽減されます。
- ヒューマンエラー防止
手作業で一包化監査を行うと、薬局の混雑状況や連携不足、スキル不足など、さまざまな要因によってヒューマンエラーが発生する確率が高くなります。どのような状況下でも正確な一包化監査を行うには、人の介在を少なくするのが最も有効な解決策です。PROOFIT 1D Ⅱを活用すれば、薬剤師の状態やスキルに起因する一包化調剤ミスの見落としを防げます。
3. PROOFIT iQの機能・特徴
次世代型薬剤識別システムPROOFIT iQは、スマホで撮影した薬剤をタップするだけで自動識別を行います。一包化の袋越しの識別精度は97%です。PROOFIT iQの導入により、一包化薬の識別時間を4割以上削減できます。
持参薬の鑑別では、一包化薬のほか、PTPバラ・裸錠も高精度なAI識別が可能です。PROOFIT 1D Ⅱ同様、独自の画像処理技術によって、刻印や文字を強調して表示することができます。
3-1. PROOFIT iQ導入のメリット
- 在宅や災害時など、あらゆるシーンで活用できる
PROOFIT iQは、スマホがあればどこでも薬剤識別を行うことが可能です。オフラインでも使用可能なため、薬局内はもちろん、在宅医療や介護施設、災害時医療救護所など、あらゆる場所で活用できます。特に、残薬管理を行う場面が多い在宅薬局では、PROOFIT iQの導入によって大幅な業務効率化が図れます。
- 鑑別作業を薬剤師以外にタスクシフトできる
PROOFIT iQを活用すると、調剤補助員なども簡単に持参薬の識別が行えるので、薬剤師の業務負担を軽減できます。薬剤識別をタスクシフトできる分、薬剤師による対人業務の拡充も図れます。
- 識別結果をほかのシステムと連携できる
識別結果をQRコード化し、電子カルテや持参薬管理システムなどへ情報を提供することができます。入力ミスやタイムラグをなくし、正確・迅速な情報共有を実現します。
4. 中小薬局におけるPROOFITシリーズの有用性について
一包化監査及び薬剤識別は、時間がかかる上に、薬剤師の精神的負担も大きい業務です。人員が限られる中小規模の調剤薬局では、いかに一包化監査・薬剤識別の正確性を保ちつつ作業時間を短縮できるかが、経営課題のひとつとなっています。
一部の地域では、一包化作業をほかの薬局へ委託することを可能とする特例措置も設けられています。しかし、一包化の外部委託は薬剤師の業務負担が減る一方で、処方伝達ミスや監査ミス、配送ミスなど、さまざまなトラブルが発生するリスクも抱えています。
薬局が患者さんの調剤に責任を持つためには、やはり自薬局内で適切な設備を用意するのが確実です。PROOFITシリーズは、導入にあたって初期投資がかかるものの、薬剤師の業務負担軽減や安全・安心なサービスの提供に大きく貢献します。費用対効果を考えると、導入価値は高いでしょう。
中小薬局が対人業務の強化を図るには、対物業務の自動化は避けられない課題です。特に、一包化処方や残薬調整を行う機会が多い在宅薬局では、PROOFITシリーズが日常的に活躍します。DX化の一環として、PROOFITシリーズの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
PROOFITシリーズは、富士フィルムが提供する調剤薬局向けの監査・識別支援システムです。独自の画像処理技術によって、刻印や文字を強調して表示し、薬剤師の識別業務をサポートします。
一包化監査システムPROOFIT 1D Ⅱは、AI識別によって迅速・正確な一包化監査をサポートします。次世代型薬剤識別システムPROOFIT iQは、スマホで撮影した薬剤を瞬時に識別することが可能です。特に、一包化処方や残薬調整を行う機会が多い在宅薬局では、PROOFITシリーズによって大幅な業務改善が見込めます。
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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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