薬局の在宅医療参入を推進する5つのノウハウ
在宅医療は、薬局の重要な機能として認知され始めています。しかし、在宅訪問を始めたものの、なかなか在宅患者さんを獲得できない、業務負担が大きいといった問題を抱える薬局経営者が多いことも事実です。
そこで今回は、薬局の在宅医療の推進・拡大を実現するための5つのノウハウを解説します。在宅薬局経営にお悩みの方は、ぜひお役立てください。
1. 薬局の在宅医療を推進する5つのノウハウ
薬局が在宅医療への参入を成功させるためには、在宅訪問に適した経営体制を整えることが重要です。ここでは、薬局の在宅医療参入を推進する5つのノウハウを解説します。
1-1. かかりつけ薬剤師の育成・活用
在宅医療を推進するには、在宅現場で知識・技術を発揮できるかかりつけ薬剤師を育成する必要があります。薬剤師には、在宅医療で薬剤師が果たす役割や、患者さんとのコミュニケーションの取り方、多職種連携の重要性等を理解してもらい、かかりつけ薬剤師としてのマインドセットを促しましょう。
かかりつけ薬剤師の要件
- かかりつけ薬剤師となるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 3年以上の薬局勤務経験があること
- 当該保険薬局に週32時間以上勤務していること
- 当該保険薬局に1年以上在籍していること
- 薬剤師認定制度認証機構の研修認定を取得していること
- 医療に関わる地域活動に参加していること
かかりつけ薬剤師の育成では、認定薬剤師研修や地域包括ケアシステムでの会議等への参加、無菌調剤や高度薬学管理の知識・技術の習得、コミュニケーション能力向上などを、積極的にサポートする必要があります。薬局内に、かかりつけ薬剤師としてステップアップできる教育プログラムを用意しておきましょう。外部研修やeラーニングを利用するのもおすすめです。
1-2. 報告書・薬歴管理の効率化
在宅医療に関わる報告書や薬歴、トレーニングレポートなどの書類作成・管理は、システムの導入して電子化することで、大幅な効率化が図れます。在宅薬局におすすめするのは、場所を選ばずに利用できるクラウド型の報告書・電子薬歴システムです。訪問先や移動中でも、システム上で報告書や薬歴の作成・送付ができるので、在宅業務がスムーズに進みます。
報告書・電子薬歴システム導入のメリット
- 入力補助機能で文書作成を効率化できる
- 記載漏れ・送付漏れ・算定漏れを防止できる
- 訪問先や移動中の記載・送付が可能
- 外出先でも欲しい情報を素早く呼び出せる
- リアルタイムで情報共有ができる
在宅訪問をはじめて間もない段階では、手書きやExcelで書類を作成しても問題ないかもしれません。しかし、在宅患者さんの増加に伴い作成する書類も増え、記載ミスや送付ミスが発生するリスクも高まります。薬剤師が負担を感じず、より多くの患者さんを効率よく訪問するためには、在宅業務に特化した報告書・電子薬歴システムの導入を検討することをおすすめします。
1-3. 医療機関や介護施設への周知活動
医療機関や介護施設とつながりを持ち、協力体制を築いておくことで、在宅患者さんの紹介につながります。在宅患者さんが増えずに困っている場合は、地域にある民間の高齢者向け介護施設・住宅を訪問し、薬局について知ってもらう営業活動に取り組みましょう。
営業活動の際には、薬局の特徴や強みをまとめたパンフレットやリーフレットを持参し、担当者に渡したり、許可をもらって施設に設置してもらったりするとよいでしょう。また、薬局のサービスと相性のよい施設に重きを置いて営業を行うと効率的です。
日頃から地域包括ケア会議等、多職種が集まる場に出席し、医師や看護師、ケアマネジャー等と連携体制を築いておくことも大切です。在宅医療に強い薬局として認知してもらえれば、自ずと在宅患者さんの紹介へとつながるでしょう。
1-4. 緊急対応・24時間365日対応体制の整備
在宅医療では、夜間や休日に患者さんの体調が悪化する可能性もあるため、24時間365日対応体制を整えておきましょう。24時間対応は、かかりつけ薬剤師指導料の算定要件のひとつでもあります。
厚生労働省による2021年の調査では、全国で24時間対応が可能な薬局は約3割と少数です。今後、在宅医療では多様な病態の患者さんが増え、ターミナルケアを受ける人も多くなると予想されるため、薬局の24時間対応の整備が重要な課題となっています。
薬局の24時間対応とは、営業時間外でも患者さんの相談に応じる体制があることを言います。夜間や休日の電話でよくあるのが、「急な発熱・頭痛で鎮痛剤が欲しい」「服薬方法を確認したい」「薬の副作用が出た」といった問い合わせ。想定しうる相談に対して、予め薬を用意しておいたり、緊急時対応のマニュアルを整備したりしておくと、緊急時もスムーズに動けます。また、どの薬剤師でも対応できるよう、薬局間・薬剤師間の情報共有を徹底することも重要です。
(出典:厚生労働省「「在宅医療における各職種の関わりについて」(訪問薬剤管理指導)」)
1-5. 対物業務の自動化
訪問一軒あたりの業務工程が多い在宅業務では、対物業務の効率化がサービスの質向上に大きく関わります。特に取り組みたいのが、調剤業務の自動化です。在宅患者さんは薬が多く、一包化で処方することも多いため、調剤業務の自動化・半自動化を積極的に進めましょう。
現在、ロボットやAIはほぼすべての調剤に対応しており、衛生面の確保やヒューマンエラーの低減に役立っています。何より、薬剤師の仕事が最終的な調剤薬鑑査だけになれば、業務負担を大幅に軽減できるはずです。
在庫管理や処方監査、服薬指導などでも、AIの学習機能を搭載したシステムが登場しています。安全性を保つためにも、すべてをAIに任せるのではなく、薬剤師のサポートとして上手に活用することが大切です。今後も薬局DXを推進するシステムの開発は進むため、動向を把握しながら適宜導入を検討しましょう。
2. 在宅医療推進・拡大をサポートする「きらりプライムサービス」
「きらりプライムサービス」は、在宅薬局の経営課題を解決し、在宅医療の推進をサポートするサービスです。きらり薬局が長年培ってきた在宅薬局経営のノウハウを活かし、在宅医療への参入から患者獲得、コスト削減まで、あらゆるお困りごとを解決に導きます。
在宅はハードルが高いと考える薬局経営者の方こそ、ぜひきらりプライムサービスにご相談ください。お悩みに合わせた最適な解決策をご提案いたします。
きらりプライムサービスのサポート紹介(一部)
在宅訪問の業務効率化を実現する、クラウド型報告書管理システム。在宅に特化した報告書機能で、スムーズな報告書作成をサポートします。クラウド型なので、いつでも・どこでも報告書の記載・送信が可能。複数店舗間の情報共有もリアルタイムで行えるので、オンコール体制の構築にも役立ちます。
在宅医療で活躍できる人材の早期スキルアップを支援する研修サービス。管理者育成コース、薬剤師スタッフ育成コースのほか、往診同行や緩和ケア等、ご要望に応じた研修設計が可能です。OJT研修では、きらり薬局の薬剤師が在宅対応や調剤といった基礎をしっかりレクチャーします。 |
まとめ
薬局の在宅医療参入を推進するためには、かかりつけ薬剤師の育成・活用、24時間対応体制の整備等が重要です。システムやAIを活用し、報告書・薬歴管理の効率化や、調剤業務の自動化を検討しましょう。また、在宅患者獲得に向けて、医療機関や介護施設へ営業活動を行い、連携体制を構築することも大切です。
きらりプライムサービスでは、きらり薬局が在宅現場で培ったノウハウをもとに、在宅薬局の経営にまつわるさまざまなお悩みをサポートしています。薬剤師の業務負担が大きい、営業活動の方法がわからない等、在宅医療でお困りの薬局経営者の方は、ぜひきらりプライムサービスにお問い合わせください。
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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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