在宅薬局の業務効率化を図る5つの施策

高齢化の進行により、薬剤師による在宅訪問の重要性も増しています。しかし、在宅業務は外来に比べて業務プロセスが複雑で、薬剤師への負担も大きくなりがちです。
そのため、在宅薬局では「質を落とさず、いかに効率よく業務を回すか」が課題となっています。「もっと訪問軒数を増やしたい」「薬剤師の負担を軽減したい」といった悩みを抱える薬局経営者の方は、デジタルやAIの導入が有効な選択肢となるでしょう。
この記事では、薬局の在宅訪問業務の効率化に役立つ5つのアイデアを紹介するとともに、きらりプライムサービスの在宅支援システム「ファムケア」の活用についても解説します。
1. 在宅薬局におけるデジタル化・業務効率化の現状
2. 在宅薬局の業務効率化アイデア5選
2-1. 在宅業務工数の把握と管理
2-2. 薬歴管理の最適化
2-3. 事務作業・調剤業務におけるAI活用・自動化
2-4. 薬剤師の業務範囲の明確化と業務標準化
2-5. オンライン面談・服薬指導の活用
3. きらりプライムサービスの在宅支援システム「ファムケア」とは?
3-1. ファムケア導入で効率化が進む薬局の共通点
まとめ
1. 在宅薬局におけるデジタル化・業務効率化の現状
在宅医療のニーズが急増する中で、薬局の在宅訪問サービスは、地域包括ケアシステムの一翼を担う存在として重要性を増しています。しかし、訪問先ごとの準備、処方箋調剤、移動、服薬指導、報告書作成と在宅にかかる工程は多く、在宅と外来の両立は困難です。そのため、多くの在宅薬局では、「業務が回らない」「薬剤師の残業が常態化している」といった課題を抱えています。
また、ICTツールやクラウドシステムの導入による薬局DXが推進されている一方で、紙の薬歴や手書きの報告書、口頭での情報共有など、従来のアナログな業務フローから脱却できていない薬局も少なくありません。人手不足や業務の属人化が慢性化する中で、効率化への取り組みは薬局の最優先課題になっています。
今後は、薬剤師の専門性を活かしつつ、いかに業務を合理化・標準化できるかが鍵となります。最新のシステムやAIの活用、人員配置の見直しなどを通じて、業務全体を見直すことが必要です。
2. 在宅薬局の業務効率化アイデア5選
薬剤師が常に負担を抱えた状態では、質の高い在宅サービスを維持することは困難です。薬剤師の業務負担を軽減する手段を検討し、在宅業務に適した体制を整えることで、薬局経営も上向きになるでしょう。
ここでは、薬局の在宅訪問サービスにおける業務効率化のアイデアを5つ紹介します。
2-1. 在宅業務工数の把握と管理
業務効率化の第一歩は、現状を正しく把握することです。在宅訪問にかかる時間は、患者さんの状態や処方薬の量、移動距離、薬剤師のスキルなどによって大きく異なります。それぞれの工程がどの程度の時間を要し、どこにボトルネックがあるのかを可視化しましょう。
在宅薬局における業務は、大まかに以下の工程に分類されます。
①医師からの訪問指示のある処方箋を受領
②処方内容の確認
③薬剤の調剤・監査
④訪問準備
⑤患者宅への訪問・服薬指導
⑥報告書作成と多職種への情報共有
⑦請求・レセプト処理
⑧次回訪問スケジュールに向けた準備
在宅訪問におけるすべての業務工程を洗い出したら、それぞれの工程で、以下の点を明確にしていきます。
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誰が担当する業務なのか
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所要時間の目安
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業務にかかるコスト
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マニュアルの有無
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動線
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使用しているツールや書式
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トラブル発生時の対応フロー
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情報共有の仕組みや報告手段
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現場の薬剤師や事務員が感じている負担
各工程の現状を洗い出す中で、解決すべき課題や最適な人員配置が見えてきます。在宅業務は標準化が難しいからこそ、徹底的に仕組み化して、無駄をなくすことが重要です。誰にでもわかりやすい仕組みをつくることで、スタッフによる個人差とミスの低減が図れます。
特に、現場のスタッフが感じている負担については、優先的に改善策を検討することが大切です。スタッフの悩みに沿って自動化や効率化を進めると、働きやすい環境づくりにつながります。
2-2. 薬歴管理の最適化
在宅患者さんの薬歴では、病状の経過、生活環境、家族構成、訪問スケジュール、服薬支援の状況など、把握すべき内容が多岐にわたります。そのため、紙ベースや一部のシステム化にとどまった薬歴管理では限界があり、業務の属人化や情報共有の遅れが懸念されます。
特に在宅医療では、チーム医療の一員として多職種と連携する場面も多いため、薬歴における入力・管理・共有の標準化を図り、わかりやすい情報共有に努める必要があります。また、在宅の緊急時には、かかりつけ薬剤師ではない薬剤師が代わりに訪問するケースもあるため、不特定の薬剤師が関与する状況でも、スムーズに対応できるように体制を整えておくことが重要です。
薬歴管理を効率化するためには、次のような取り組みが考えられます。
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クラウド型薬歴システムの導入による、リアルタイムでの情報共有と記録
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訪問スケジュールや服薬状況を可視化できるダッシュボードの運用
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定型文やテンプレート化による記録作業の時間短縮
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緊急対応時のバックアップ体制と薬歴共有のルール設定
こうした施策によって、在宅薬剤業務の品質を保ちつつ、記録業務にかかる時間を大幅に短縮し、薬剤師が対人業務に集中できる環境づくりが実現します。
2-3. 事務作業・調剤業務におけるAI活用・自動化
在宅薬局では、薬剤師による患者さん対応を充実させるために、対物業務をいかに効率化するかが問われます。そこで注目されているのが、AIやITシステムの導入による業務の自動化です。特に、薬剤師の負担が大きく、時間を費やしがちな事務作業や調剤業務は、積極的に自動化を取り入れたい分野です。
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ピッキング・監査業務の自動化
ロボットによる錠剤のピッキング、画像認識による監査の自動化により、薬剤師の手間と精神的負担を削減できます。人の手を介さないため衛生面も保ちやすく、薬剤の取り違えや監査ミスといったヒューマンエラー防止に貢献します。
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報告書作成・管理のシステム化
音声入力やテンプレート活用により、報告書の作成時間を大幅に短縮できます。クラウド型システムなら、医師やケアマネジャーへの報告がリアルタイムで行うことができ、多職種連携の円滑化が実現します。
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在庫管理でのAI活用
AIによる需要予測や発注支援により、医薬品過不足のリスクを最小限に抑えることが可能です。使用期限の管理により、廃棄ロスの削減にもつながります。季節変動や患者さんの投薬サイクルをAIが学習し、発注数を調整できるシステムも登場しています。
自動化・AI活用の取り組みにより、薬剤師はより多くの時間を患者さんの対応や専門的判断に充てることができます。
2-4. 薬剤師の業務範囲の明確化と業務標準化
在宅業務は工程が複雑で、業務が属人化しやすい傾向にあります。どのような状況でも業務が滞らない体制をつくるには、「誰が何をやるのか」を明確にし、業務分担を見直すことが重要です。
基本的な考え方として、薬剤師は薬剤師にしかできない業務に専念し、そのほかを事務員が担当するという仕組みを整えると、適切な業務の割り振りが行えます。
たとえば、最終監査や在宅訪問、服薬支援、報告書作成などは薬剤師が担当。そのほかのピッキングや処方薬の配達、訪問スケジュールの作成、外来受付は事務員が担当するといった具合に、薬剤師と事務員の業務を切り分けて管理します。
各職種の役割や業務手順が明確であれば、急な人員の入れ替わりや繁忙期にも柔軟に対応できます。薬剤師と事務員が各々の役割を理解できるので、モチベーションの維持向上にもつながるでしょう。
2-5. オンライン面談・服薬指導の活用
在宅訪問では、条件を満たした場合、オンライン服薬指導との併用が可能です。オンライン服薬指導を在宅医療に取り入れることで、薬剤師の訪問負担を軽減でき、より多くの患者さんのサポートが可能となります。
さらに、オンライン服薬指導は薬剤師のリモート勤務を実現するため、多様な働き方を実現することも可能です。育児や介護を理由とした薬剤師の離職を防ぎ、人材確保の面でも大きく貢献します。
オンライン服薬指導のメリット
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薬剤師が自宅から患者さんに対応できる
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時間や距離を問わず、サービスを提供できる
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育児・介護中の薬剤師も在宅勤務ができる
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オンコール対応の幅が広がる
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業務の平準化・人材不足の緩和につながる
2025年5月の薬機法改正により、一部の要指導薬品について、オンライン服薬指導による販売が解禁されました。オンライン服薬指導は、これからの時代にふさわしい、新しい服薬指導の形として定着しつつあります。
3. きらりプライムサービスの在宅支援システム「ファムケア」とは?
きらりプライムサービスでは、在宅訪問に特化したクラウド型報告書管理システム「ファムケア」を提供しています。ファムケアは、在宅訪問における報告書の作成・送付・管理にわたるプロセスを電子化し、業務工程の削減や多職種連携の円滑化を実現するシステムです。
在宅支援システム「ファムケア」の特徴とメリット
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外出先でも報告書の作成・送信が可能
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リアルタイムで情報共有ができる
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算定・記入漏れチェック機能でミス防止
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入力補助機能でスムーズな報告書作成をサポート
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シンプルな操作で使いやすい
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オンコール時も薬剤師間・多店舗間で速やかに情報共有が可能
ファムケアは、HYUGA PRIMARY CAREが運営する「きらり薬局」の在宅薬剤師の声をもとに生まれた、自社オリジナルの在宅薬局支援システムです。日々の在宅現場で発生する小さな不便や時間のロスを最小限に押さえ、在宅業務の生産性向上と業務負担軽減をめざして作られました。
在宅薬局に特化した機能に絞り、現場での使いやすさにフォーカスした、在宅現場に欠かせない業務支援ツールです。
3-1. ファムケア導入で効率化が進む薬局の共通点
きらり薬局の在宅現場から始まったファムケアは、今、多くの加盟店様で活用されるシステムへと成長しました。ファムケアの導入によって業務効率化を叶えた薬局の多くが、順調に在宅患者さんの拡大に成功しています。
特に、以下のような課題を抱える薬局では、ファムケアの導入効果を体感できるでしょう。
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在宅患者さんの数が50人を超えている
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報告書を紙やExcelで管理しており、ミスやトラブルが頻発している
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ひとつの報告書作成に20〜30分以上かかっている。
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複数薬剤師や多店舗間で、リアルタイムの情報共有を行っていない
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非効率な運用を改善したい
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トレーシングレポートの提出事例を共有したい
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システム化に興味はあるが、ITに不慣れな薬剤師が多いため導入が不安
ファムケアは、現場目線の困りごとを起点に、シンプルで直感的な操作性を追求してきました。誰でも使いやすく、それでいて現場の多様なニーズに応える柔軟性も備えています。単なる効率化だけでなく、医療機関やケアマネジャーとの関わり方、薬剤師の働き方を変え、在宅医療の質向上に貢献します。
まとめ
<在宅業務の効率化を図るためには、まず業務工程を洗い出し、現状を把握しましょう。そして、無理・無駄のある部分を中心に、AI活用やオンライン体制の整備を進め、対物業務の自動化とオペレーションの最適化に取り組みます。また、薬剤師が患者対応に専念するためには、薬剤師と事務員とで業務分担を行い、役割を明確にすることもポイントです。
在宅薬局経営のトータルサポートを行うきらりプライムサービスでは、クラウド型報告書管理システム「ファムケア」を提供しています。報告書作成・共有・保管を一元管理し、チーム医療における情報連携の円滑化と、薬剤師の業務負担軽減に貢献します。在宅薬局の効率化やDXにお悩みの薬局経営者の方は、ぜひ一度きらりプライムサービスにご相談ください。