2024年度の診療報酬改定にどう対応するか?きらり薬局の対策を紹介

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2024年度の診療報酬改定にどう対応するか?きらり薬局の対策を紹介

本記事では、きらりプライムサービスのオンラインセミナー「2024年度診療報酬改定に負けない! きらり薬局の対策とは?」の内容を一部紹介します。地域支援体制加算取得に向けたきらり薬局の取り組みを具体的に示していますので、体制整備にお悩みの薬局経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

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1. 2024年度診療(調剤)報酬改定のポイント

2月14日、中医協総会が厚生労働省に2024年度診療報酬改定に関する答申をまとめ、トリプル改定の概要が明らかとなりました。以下に、厚生労働省による「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」をもとに、調剤報酬改定のポイントをまとめます。

  • かかりつけ機能の推進

地域支援体制加算がそれぞれ7点マイナスに。一方で、連携強化加算は2点から5点にアップし、医療DX推進体制整備加算(4点/月1回)等の加算が拡充されます。地域支援体制加算のマイナス分を補うためには、基本料の加算を取り漏れないようにすることが重要です。


  • 在宅移行期・在宅療養の評価が高まる

在宅移行期のサポートとして、在宅移行初期管理料(230点)が新設。在宅が始まる前のタイミングで、薬の整理や服薬状況の確認等必要な指導を行った際も、加算を算定できるようになります。また、在宅患者訪問薬剤管理指導料では、医療用麻薬の注射が必要な患者さんへの定期訪問回数の上限が、月4回から週2回かつ月8回に見直されました。介護保険の居宅療養管理指導でも同様の改定が行われます。


  • 在宅におけるターミナル期の対応の推進

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料では、緊急訪問の上限回数が、月4回から月8回になります。また、末期がんや医療用麻薬の注射が必要な患者さんに対する夜間訪問加算(400点)・休日訪問加算(600点)・深夜訪問加算(1,000点)が新設されます。


  • 薬剤師のチーム医療への参加を促進

処方箋交付前に薬剤師から医師へ処方提案を行い、その内容が反映された場合にも、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料を算定できるようになります。

緊急時やターミナルケア、チーム医療への参加など、薬剤師の専門性が必要な分野に対する加算が強化されます。地域包括システム構築の動きが本格化し、在宅医療の評価も拡充されている点にも注目です。

なお、上記は現時点における2024年度調剤報酬改定の概要であり、適宜加筆修正が行われる場合があります。算定要件・施設基準等の詳細については、今後正式に公表される告示・通知等をご確認ください。

2. 地域支援体制加算取得に向けたきらり薬局の対策

2024年度調剤報酬改定では、地域支援体制加算1及び2に対する実績要件が厳格化されます。地域支援体制加算2を算定するには、10項目のうち8項目以上を満たす必要があります。難易度が高いと思われるかもしれませんが、項目の内容自体は以前よりもハードルが下がっているため、一つひとつ丁寧に取り組み達成をめざしましょう。

地域支援体制加算の取得には、薬剤師含む薬局スタッフ全員からの協力が不可欠です。ただ説明するだけではなく、何をすればよいのかを具体的に示し、スタッフの能動的な行動を促しましょう。

ここでは、地域支援体制加算取得に向けた、きらり薬局の取り組みをご紹介します。

2-1. PDCAサイクルで現場をマネジメントする

2024年度調剤報酬改定では、地域支援体制加算の実績要件が10項目となります。きらり薬局では、地域支援体制加算を確実に算定するため、Excelで項目達成状況の一覧を作成し、全店舗でPDCAサイクルを実施しています。

PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(現状把握)、Action(分析・対策)のプロセスを繰り返し、マネジメントの精度を高めていくフレームワークです。まずは現状把握から始めると、スムーズにPDCAサイクルに入れます。

きらり薬局のPDCAサイクル


Check(現状把握)

店舗ごとに、各項目の実績と目標を記載し、目標達成までの差分を明らかにする。クリア項目・未達成項目を明確にし、地域支援体制加算1及び2の達成の有無も記載する。


Action(分析・対策)

店舗ごとに、未達成項目について、問題点の分析と対策の検討を行う。未達成項目の実績と目標の差分を記し、各店舗の店長が差分解消に向けたアクションプランを記載する。




Plan(計画)

各店舗がいつまでに何を行うか、進捗は誰がいつ確認するのかを明確にする。
各店舗:各項目の算定要件と目標数を全スタッフに周知し、納得してもらう。
管理職:各店舗の進捗管理をしつつ、不明点のサポートやスタッフへの伝達をフォローする。

Do(実行)

実行に移し、PDCAサイクルを回しながら、足りない部分を補っていく。

達成までにすべきことが見える化できると、スタッフの意識変容も促しやすくなります。スタッフが理解できるまで、各項目の算定要件や達成までにすべきことを、しっかり伝え続けましょう。

2-2. 【かかりつけ薬剤師指導料】スタッフが連携して声かけを行う

きらり薬局では、かかりつけ薬剤師の同意書取得のために、薬剤師・事務全員で目標を共有し、週ごとに進捗管理を行っています。受付で事務員からかかりつけ制度の案内を行い、最後に薬剤師がかかりつけ薬剤師の確認を取ることで、同意書取得までのスムーズな流れをつくれます。

かかりつけ薬剤師の案内に役立つツールをつくることも効果的です。きらり薬局では、かかりつけ薬剤師を持った患者さんに薬局通信を配布しており、案内の際にも「こんなものをお配りしています」とお見せしています。この薬局通信は、患者さんとの会話のきっかけづくりにも役立つので、有用なコミュニケーションツールとなっています。

同意書取得の目標達成が遅れている場合は、リカバリー案を検討します。ただ漠然と声かけを行うのではなく、目標として具体的な数値を出すことが大切です。

かかりつけ薬剤師指導料の算定・同意書取得に向けたリカバリー案

声かけ→同意書取得→算定を逆算して考えます。

①取得済みの同意書に対し、実際にかかりつけ薬剤師指導料を算定できている割合を算出
例:同意書は2枚あるが、算定できているのは1件の場合、算定率は50%

②声かけに対して、同意書取得に至っている割合を算出
例:声かけ10件に対して、同意書を1件獲得できる場合、取得率は10%

③目標達成のために声かけをすべき人数を割り出し、「1日〇件声かけをする」という具体的な行動目標を設定
例:算定率50%、取得率10%の場合、かかりつけ薬剤師指導料を1件算定するには、1日20件の声かけが必要

2-3. 【服用薬剤調整支援料】減薬対象の患者さんをピックアップ

きらり薬局では、薬を6種類以上服用する患者さんを事前にピックアップし、すぐにトレーシングレポートを提出できるように準備しています。処方箋を受け取ってから提案内容を考えると、医師への提出が後回しになることも多いので、予め用意することがポイントです。

服用薬剤調整支援料取得に向けた対策

①各店舗ごとに、毎月第3営業日までに「減薬対象者(6種類以上内服患者限定)」を選定する。
②翌月または翌々月に、服用薬剤調整支援料が算定できたかどうかの結果入力を行う。

減薬しやすい処方例としては、「NSAIDs+胃粘膜保護剤」や、アレルギー薬の漫然処方等が挙げられます。腎機能が低下している患者さんには、腎排泄の薬の用量調節や減薬、薬の変更等も提案できるでしょう。

トレーシングレポートをスムーズに提出するために、書き方の標準化を図ることもポイントです。きらり薬局では、トレーシングレポートの提出事例を社内で共有し、表現や書き方を参考にできるようにしています。これにより、薬剤師のトレーシングレポートの書き方に関する悩みを減らし、作成時間を短縮することが可能です。

きらり薬局では、在宅支援システム「ファムケア」を導入しています。ファムケアでは報告書管理のほかに、トレーシングレポートの作成・提出や他店舗の症例の閲覧、提出状況の確認も行えます。ファムケアはきらりプライムサービスでも提供しているので、在宅薬局の報告書作成や連携にお困りの方は、ぜひお問い合わせください。

2-4. 【外来服薬支援料1】在宅の新患対応で持参薬を整理する

外来服薬支援料1を算定しやすいのは、在宅の新患対応のタイミングです。きらり薬局では、在宅対応の一番最初に持参薬の整理を行って処方医に連絡し、一包化や日付管理のための再分包の許可をもらうことで、外来服薬支援料1の算定へとつなげています。

ただし、外来服薬支援料1を算定すると、同月内で居宅療養管理指導はできないため、居宅算定は翌月以降になる点に注意してください。点数としては居宅療養管理指導のほうが高いものの、地域支援体制加算の要件を満たしたい場合(*)は、外来服薬支援料を優先するとよいでしょう。

(*)地域支援体制加算の実績要件において、「外来服薬支援料1の実績」は、基本料1の場合は1回以上、基本料1以外は12回以上。

2-5. 【服薬情報等提供料2】通院予定を確認してレポートを提出

2024年度調剤報酬改定では、服薬情報提供料2において、患者さんやご家族に対する情報提供に伴う評価が廃止されます。6月以降は、薬剤師が必要性を認めた場合、医師への情報提供によって服薬情報提供料2の算定が可能です。

服薬情報提供料2のポイントは、患者さんの次回の通院予定に合わせてフォローアップを行うことです。きらり薬局では、患者さんの次回の通院予定を把握し、体調や残薬等の情報をまとめたトレーシングレポートを提出して、服薬情報提供料2の算定につなげています。

【服薬情報提供料2】フォローアップしやすい患者さんの例

  • 白内障の手術後、3~4種類の目薬が処方されている患者さん
  • 糖尿病等で自己注射薬が処方されており、アドヒアランス確認が必要な患者さん

フォローアップしやすい患者さんについては、積極的にトレーシングレポートを提出しましょう。

なお、服薬情報提供料2は、介護支援専門員や、リフィル処方箋調剤に伴う処方医への情報提供も評価の対象です。介護支援専門員への情報提供については、「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」別添の報告書様式及び薬学的評価シートを参考にしましょう。

2-6. 【他職種連携会議】ケアマネジャーに電話して参加の意思表示

地域支援体制加算の実績要件に、多職種連携会議への出席があります。これには、サービス担当者会議や地域ケア会議等がありますが、薬局が最も参加しやすいのは担当者会議でしょう。

担当者会議は、患者さんの介護状態の区分やケアプランの内容が変更になるときに、ケアマネジャーが開きます。その際に薬局として参加することで、実績としてみなされます。

患者さんの介護保険証には、認定期間が記載されています。きらり薬局では、認定期間終了が迫ったタイミングでケアマネジャーへ電話し、「そろそろ更新の時期なので、もし担当者会議を開かれるときは参加させてください」と伝えています。薬局として事前に参加の意思表示を行うことで、ケアマネジャーから声をかけてもらいやすくなります。

また、ケアマネジャーから送付されるサービス計画書には、長期目標と短期目標が記載されており、その期間が終わるタイミングで担当者会議が開催されるケースもあります。こちらも目標の更新時期に合わせてケアマネジャーに連絡し、担当者会議があれば出席したい旨を伝えましょう。

ケアマネジャーは、薬局からの声かけに好意的です。迷惑に思われることはありませんので、積極的にケアマネジャーに電話し、関係性を深めましょう。

まとめ

2024年度診療報酬改定では、在宅に関する評価の拡充が行われる予定です。在宅移行期やターミナルケア、緊急対応にも焦点が当たっています。地域支援体制加算の実績要件は、よりかかりつけ機能を重視するものとなりました。しかし、項目一つひとつのハードルは下がったため、丁寧に取り組めば難しくはありません。

きらり薬局では、地域支援体制加算の項目達成に向けて、PDCAサイクルを回しています。現状と目標を見える化し、現場スタッフが具体的な行動に移せるようにフォローすることが大切です。

地域支援体制加算だけでなく、DX加算や在宅薬学総合体制加算等も、早めの準備が必要です。優先順位を決めて、体制整備に取り掛かりましょう。

きらりプライムサービスでは、在宅薬局経営の体制整備や加算取得のサポートを行っています。在宅医療についてお困りの薬局経営者の方は、ぜひきらりプライムサービスにお問い合わせください。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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【当コラムの掲載内容に関するご注意点】
1.当コラムに掲載されている情報につきましては、事実や根拠に基づく執筆を心がけており、不適切な表現がないか、細心の注意を払っておりますが、その内容の正確性、有効性につき何らかの保証をあたえるものではなく、執筆者個人の見解である場合もございます。あくまで、読者様ご自身のご判断にてお読みいただき、ご参考に頂ければと存じます。
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