薬局経営者必見!人件費・経費を削減するための見直しポイントと取り組み

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
薬局経営者必見!人件費・経費を削減するための見直しポイントと取り組み

厳しさを増す薬局経営において、経費削減は重要な課題です。しかし、誤った方法で経費削減を行うと、薬剤師のモチベーションが低下する恐れもあります。目先のコストダウンにとらわれず、中長期的な目線で正しい経費削減に取り組みましょう。

本記事では、薬局の経費の見直しポイントと、人件費・経費削減に向けた具体的な取り組みについて解説します。コスト削減にお悩みの薬局経営者の方は、ぜひお役立てください。

1. 薬局の経費の見直しポイント

薬局の主な経費には、家賃・人件費・医薬品購入費の3つがあります。家賃をカットできれば固定費を大幅に減らせますが、家賃交渉は難しいですし、引越しも現実的ではありません。

対する人件費・医薬品購入費は、薬局経営者の手腕次第でコストカットできる部分です。ここでは、人件費・医薬品購入費の見直しポイントを解説します。

1-1. 薬剤師の人件費

薬剤師は専門職なので、人件費が高いのが一般的です。需要が高い職業でもあるため、給与や待遇を削減すると、優秀な薬剤師は流出するでしょう。薬剤師の人件費は、安易に削減すべきではありません。

上記を踏まえた上で、薬局にかかる人件費の適正を知りましょう。付加価値に占める人件費の割合を算出する際には、労働分配率を用います。

 労働分配率(%)=人件費 ÷ 付加価値× 100

上記の式でいう「付加価値」とは、会社が新たに生み出した価値のことです。付加価値を簡単に求める場合、 【売上高 – 外部購入価額】(控除法)で計算できます。

労働分配率は、適正を保つことが大切です。平均は50%前後ですが、先ほど述べたとおり薬剤師の給与水準は高いため、60%を超えない程度を目安とします。

労働分配率が60%を超え、薬剤師にかかる人件費が高いと判断できる場合は、以下の点について検討しましょう。

✓ 薬剤師の残業が多すぎないか
✓ 業務効率化により人員配置を最適化できないか
✓ 正社員ではなくパートタイムを活用できないか

業務効率化や組織変革を推進し、「無駄」をカットすることが、薬剤師の人件費削減につながります。既存薬剤師の理解を得ながら、包括的な視点で経費削減を進めましょう。

1-2. 医薬品購入費

近年は薬価の引き下げが続いており、薬局の仕入れ価格も高騰しています。医薬品購入費の適正化には、①仕入れ価格の見直し、②デッドストック(不動在庫)の解消という2つの面からアプローチする必要があります。

仕入れ価格の見直しについては、医薬品卸への価格交渉を行うのが一般的です。ただ、医薬品卸も経営が厳しいため、薬局側の希望は通りづらくなっています。価格交渉に限界を感じる場合は、医薬品購入交渉代行や共同購入等の他社サービスを利用する手も検討しましょう。

デッドストックは保管の手間とコストがかかり、使用期限を過ぎると廃棄医薬品として処分することになります。廃棄ロスは薬局経営に大きな損害を与えるので、デッドストックを生まないよう、日々の在庫管理を適正に行うことが大切です。

ただ、薬局の在庫管理は難しく、どれほど徹底してもデッドストックが発生する可能性はあります。このため、デッドストックを生まない仕組みだけでなく、デッドストックを活用する手段についても検討することが重要です。

2. 薬局の経費削減に向けた取り組み

ここでは、人件費・業務効率化・医薬品コスト削減という3つの切り口から、薬局の経費削減に向けた具体的な取り組みを紹介します。

2-1. 調剤補助員(調剤事務)の活用

薬剤師以外でもできる業務については、薬剤師より低い給与水準で雇える調剤補助員(調剤事務)を活用しましょう。調剤補助員が調剤業務の一部を担うことで、薬剤師の業務負担も軽減し、効率よく人件費を削減できます。

以下に、2019年に厚生労働省が公表した「調剤業務のあり方について」をもとに、薬剤師以外のスタッフができる業務についてまとめます。

調剤補助(調剤事務)ができる業務

  • ピッキング業務
  • 医薬品の棚入れ
  • 薬剤師の監査前に行う一包化した薬剤の数量チェック
  • 調剤済みの薬をお薬カレンダーや配薬カート等へ入れる
  • 在庫がない場合等の医薬品の郵送
  • 事務、受付、電話応対、レセプト業務、医薬品発注等

調剤補助員の仕事は、スムーズに薬局運営が行えるように、薬剤師をサポートすることです。調剤補助員の活躍によって、薬剤師は患者さん一人ひとりへのコミュニケーションや服薬指導を充実させることができます。

注意点として、薬剤師以外のスタッフを過剰に採用してしまうと、かえって人件費が嵩むことになります。労働分配率を見ながら、無理のない範囲で調整しましょう。

2-2. デジタル化やAI活用による長期的な人件費削減

デジタル化やオンライン化によって業務効率化を図ると、薬剤師の時間外労働が減り、間接的に人件費を削減できます。システムの導入には費用がかかるものの、長期的に見れば、人材を雇用するよりもコストダウンできる可能性は高いといえるでしょう。

このように、デジタル技術を駆使して組織変革や業務オペレーションの最適化を図ることを、DX(デジタルトランスフォーメーション)と言います。薬局DXには経費削減以外にも、業務平準化や働き方改革の推進、患者さんの利便性向上といった効果が期待できます。

たとえば、薬歴残業が課題である場合、服薬指導と薬歴作成を同時にできるシステムや、薬局外の場所でも管理できるクラウド型の薬歴システムを採用すると、業務効率がアップして薬剤師の残業を減らせます。最近では、薬剤師と患者さんのやり取りをもとに、AIが薬歴を自動作成するシステムも登場しています。デジタル技術は常に進化しているので、既にシステムを導入している薬局も、既存システムが今の薬局体制に最適であるかを見直しましょう。

2-3. 医薬品購入交渉代行・共同購入で原価カット

小規模薬局が医薬品購入費を削減する手段として、医薬品購入交渉代行・共同購入があります。医薬品購入交渉代行・共同購入は、スケールメリットを活かして、大手同様の割引率を実現するサービスです。

医薬品購入交渉代行

薬局に代わり、第三者の企業が医薬品卸へ価格交渉等を行うサービス


共同購入サービス

ボランタリーチェーン等の組織に加盟し、複数の薬局で大量購入を行うことで、価格を抑えて医薬品を購入するサービス

さまざまな企業や組織が、医薬品購入交渉代行・共同購入サービスを展開しています。サービスを選ぶ際には、以下の点をチェックしましょう。

医薬品購入交渉代行・共同購入サービスの選び方

✓ 入会金等のイニシャルコストはどれくらいか
✓ ランニングコストは無理なく支払えるか
✓ 契約期間や違約金はあるか
✓ 医薬品卸との関係性に影響はないか
✓ 発注サイクルや発注システムの指定はあるか
✓ 発注・支払いに規約や制限はあるか
✓ 購入指定医薬品や最低発注ラインはあるか

発注サイクルや購入医薬品の指定があると、医薬品卸との関係性に影響が出る可能性もあります。できれば、医薬品卸との関係性や取引方法を変える必要のないサービスを選びましょう。

KIRARI RRIME サービスの医薬品購入交渉代行/デッドストック活用サービスは、在宅薬局のコスト削減を図るサービスです。医薬品卸との関係性や取引を変えることなく、価格交渉のみを行います。また、加盟店ネットワークを活かした、デッドストックのマッチングサービスもご利用いただけます。

3. 在宅薬局はDXで業務最適化と経費削減を図る

在宅薬局の経費削減において、DX推進は重要なポイントです。工程が多い在宅薬局では、デジタル化やAI活用によって業務のムリ・ムダを省くことが、結果的に経費削減や訪問軒数の増加による利益拡大につながります。

ここでは、在宅薬局におけるDXの例を紹介します。

3-1. 報告書等を電子化し、クラウド上で管理する

在宅薬局では、報告書や計画書、トレーシングレポート等、さまざまな書類を扱います。在宅業務の効率化を図る上で、書類の電子化やクラウド化は非常に優先順位が高い項目です。

クラウド型システムで書類を電子化するメリット

  • 訪問先でも報告書等の記入・送信ができる
  • 時間の有効活用により薬剤師の時間外労働を削減できる
  • オンライン服薬指導を実施するリモート薬剤師との連携が円滑化する
  • ペーパーレス化により、印刷代や郵送代、保管スペースを削減できる
  • 書類管理に係る人件費を削減できる
  • 記入ミスや送付漏れ等のトラブルが減少する

きらりプライムサービスの在宅支援システム「ファムケア」は、報告書・計画書、トレーシングレポートを電子化するクラウド型システムです。シンプルな操作で、訪問先でも効率よく報告書を作成できます。リアルタイムな情報共有ができるので、オンコール体制の構築や、多職種連携ツールとしてもご活用ください。

3-2. 調剤業務を自動化する

在宅患者さんは処方薬が多く、ほとんどが一包化処方であるため、調剤業務を自動化することで大幅に業務効率がアップします。現在、ほぼすべての調剤業務は、ロボットによる自動化・半自動化が可能です。

たとえば、AIを搭載した自動ピッキング装置は、入力されたデータをもとに、スピーディーかつ正確にピッキングを行います。照合機能やチェック機能が備わっており、薬剤の取り間違いが起こる心配もありません。安全性においても、人の手で行うより調剤ロボットのほうが有利です。

長期的に見れば人件費削減が期待できる調剤ロボットですが、導入にあたっては多大な初期費用が必要となります。まずは時間のかかる一包化など、部分的に調剤ロボットの導入を検討しましょう。

3-3. 在庫管理・発注を自動化する

在庫管理の業務効率化や廃棄ロス削減には、在庫管理システムが役立ちます。在宅薬局では多様な症状の患者さんを抱えるため、必然的に外来薬局よりも管理する医薬品の種類が多くなります。在庫管理・発注に膨大な時間や労力を注ぐのを防ぐため、業務の属人化解消や効率化につながるシステムの導入を検討しましょう。

最近ではAIを搭載し、機械学習によるアルゴリズムで需要予測・自動発注ができる在庫管理システムも登場しています。在庫管理システムにはさまざまな種類があるので、既存システムとの連携やセキュリティ対策等を比較検討した上で、自店舗に合ったシステムを選びましょう。

4. 薬局の人件費・経費削減の注意点

薬局の人件費・経費を削減する際は、以下の点に留意しましょう。

  • 薬剤師の人件費はむやみに削減しない
  • 既存スタッフのパフォーマンス最大化を図る
  • 調剤補助員の活用やデジタル化等、多面的な視点で取り組む

経費削減により、人手不足やサービスの質低下を招いては本末転倒です。給与や福利厚生は維持向上をめざし、薬剤師が働きやすい労働環境を整えましょう。この際、薬剤師の働き方改革を推進する上で、薬局DXは有効な手段となります。

また、既存薬剤師のスキルアップを促進し、一人ひとりのパフォーマンスを最大化することも、費用対効果を高めるコツです。対人業務の充実化が重要な今、薬剤師の人材育成にはしっかりコストをかけましょう。

薬局の人件費・経費削減は、さまざまな切り口から取り組むことが大切です。コストをかけるべき部分と削減すべき部分を見極めて、正しい方向で経費削減を実施しましょう。

まとめ

薬剤師は専門職なので、基本的に薬局の人件費は高い傾向にあります。調剤補助員の活用や、薬局DXによる業務改善を推進し、間接的な人件費削減を図りましょう。特に、在宅薬局は工程が多いため、デジタル化や自動化によって業務効率を上げることが重要です。

医薬品購入コストの削減には、医薬品購入交渉代行・共同購入サービスの利用や、デッドストックの活用手段について検討しましょう。

KIRARI PRIME サービスでは、在宅支援システム「ファムケア」の提供や、医薬品購入交渉代行等により、在宅薬局の効率化・経費削減をサポートしています。人件費をはじめとする経費削減を検討中の薬局経営者の方は、ぜひ一度KIRARI PRIME サービスにご相談ください。

===================
監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
===================

【当コラムの掲載内容に関するご注意点】
1.当コラムに掲載されている情報につきましては、事実や根拠に基づく執筆を心がけており、不適切な表現がないか、細心の注意を払っておりますが、その内容の正確性、有効性につき何らかの保証をあたえるものではなく、執筆者個人の見解である場合もございます。あくまで、読者様ご自身のご判断にてお読みいただき、ご参考に頂ければと存じます。
2.当コラムの情報は執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容に変更が生じる場合がございます。その場合、予告なく当社の判断で変更、更新する場合がございます。
3.前各項の事項により読者様に生じた何らかの損害、損失について、当社は一切の責任も負うものではございませんので、あらかじめ、ご了承ください。

 

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

CONTACT

各種お問い合わせ

薬局経営、在宅対応でお困りの方はお気軽にご連絡ください。

DOWNLOAD

在宅薬局に関する
役立つ情報が満載

資料ダウンロード一覧

CONTACT

ご質問や
お問い合わせはこちら

お問い合わせフォームへ

TELEPHONE

お電話からの
お問い合わせはこちら

092-558-2120

受付時間 9:30~17:45
(土日・祝日除く)

お電話からのお問い合わせはこちら
%{DLFIXBANNER}%