在宅専門薬局の顧客開拓・運営を成功させる7つの施策

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在宅医療の需要増加に伴い、在宅に特化した「在宅専門薬局」が増えています。在宅医療は外来とオペレーションが異なるため、在宅に適した体制が必要です。在宅薬局に求められるサービスを拡充させ、顧客拡大をめざしましょう。
今回の記事では、在宅専門薬局を成功させる7つの施策と、それらに活用できる「きらりプライムサービス」の魅力をお伝えします。在宅薬局の運営にお悩みの薬局経営者の方は、ぜひご覧ください。
目次
2. 在宅専門薬局を成功させる7つの施策
2-1. ①地域の在宅医療関係者との連携
2-2. ②オンライン服薬指導
2-3. ③24時間対応体制の構築
2-4. ④かかりつけ薬剤師の育成
2-5. ⑤在宅訪問体制の確立
2-6. ⑥業務・オペレーション効率化
2-7. ⑦クリーンルームなどインフラ整備
3. きらりプライムサービスの在宅薬局サポートとは?
まとめ
1. 在宅専門薬局とは?
在宅専門薬局とは、一般的に在宅医療・在宅訪問に特化した薬局のことを指します。在宅専門薬局という正式名称があるわけではなく、外来型の薬局と区別する際に用いられます。通常の薬局とは開局要件は同じなので、在宅専門薬局であっても拠点となる店舗が必要です。
在宅訪問でも、調剤や服薬指導の内容自体は、外来と変わりません。ただ、在宅訪問では在宅現場でのケアがメインとなるため、外来対応とオペレーションが異なります。患者さんのご家族や他の医療関係者とも、より深く関わります。
在宅医療において、薬局には次のような役割が期待されています。
①医薬品・医療機器・衛生材料の提供 |
医薬品の備蓄 |
②薬物療法の提供及び他職種への情報共有 |
服薬指導・支援、薬歴管理 |
③急変時対応 |
24時間対応体制 |
④ターミナルケアへの関与 |
医療用麻薬の調剤・管理 |
(出典:厚生労働省「「在宅医療における各職種の関わりについて」(訪問薬剤管理指導)p2」
2024年度調剤報酬改定では、地域支援体制加算の施設基準に、「かかりつけ薬剤師の届出」「麻薬小売業者の免許」「在宅薬剤管理の実績24回以上」が追加されました。つまり、地域支援体制加算を算定するためには、薬局の在宅医療への参入が必須です。
さらに、「在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1」において、末期の悪性腫瘍の患者さんや、注射による麻薬投与が必要な患者さんの急変時に緊急訪問を行った場合の加算として、夜間訪問加算(400点)、休日訪問加算(600点)、深夜訪問加算(1,000点)が新設されました。
高齢社会が加速する中、在宅に関わる評価は今後も拡充されると考えられます。在宅専門薬局の役割を踏まえ、積極的に地域医療への貢献に取り組みましょう。
2. 在宅専門薬局を成功させる7つ施策
外来のように、窓口で患者さんを待つだけでは、在宅専門薬局を運営することはできません。在宅において患者獲得をめざすなら、薬局側からの能動的な働きかけが重要です。
ここでは、在宅専門薬局を成功させる7つの施策をお伝えします。
2-1. ①地域の在宅医療関係者との連携
在宅医療では、医師や訪問看護師、ケアマネジャー、介護士等との多職種連携が重要です。患者さんが自宅や施設でも安心して療養できるように、各専門職がお互いの認識を合わせて在宅医療を進めることが求められます。
在宅薬剤師には、服薬介助の方法や医薬品情報など、薬学的知見を活かしたアドバイスで在宅医療をサポートすることが期待されています。薬学知識はもちろんのこと、他職種との関係をうまく保つためのコミュニケーション能力も必要です。
地域の在宅医療関係者と関係を持つためには、薬局・薬剤師が能動的に動く必要があります。
- サービス担当者会議や退院時カンファレンスに参加する
- ケアマネジャーに積極的に連絡する
- 医療機関や施設へ周知活動に行く
薬局・薬剤師もチーム医療の一員として、他職種が集まる場には積極的に顔を出しましょう。医療機関やケアマネジャーと接点があれば、在宅患者さんの紹介にもつながります。
2-2. ②オンライン服薬指導
薬局の在宅訪問の効率化・薬剤師の負担軽減に貢献するのが、オンライン服薬指導です。オンライン服薬指導は2020年にスタートし、2022年4月の薬機法改正で大幅に規制緩和が行われました。患者さんは自宅や外出先で服薬指導を受けられるので、高齢者だけでなく、子育て世帯や働いている人にとっても便利なサービスです。
在宅専門薬局では、状態が安定している患者さんに、在宅訪問とオンライン服薬指導を併用することができます。上手にオンライン服薬指導を取り入れれば、在宅業務にかかる薬剤師の業務負担を減らすことが可能です。
オンライン服薬指導では、薬局以外の場所からの実施も認められています。つまり、条件を満たせば、薬剤師のテレワークが可能です。人材不足に悩む薬局は、オンライン服薬指導の導入によってテレワーク薬剤師を確保することで、採用難の解消も期待できます。
2-3. ③24時間対応体制の構築
在宅患者さんは、夜間や土日に状態が悪化することもあります。このため、在宅専門薬局は24時間体制を構築し、いつでも患者さんの相談に応じられる体制を整えることが重要です。
患者さんの中には、在宅療養を希望しているものの、夜間や休日の対応が不安で移行できない人も少なくありません。薬局には、医療機関よりも地域に密着し、患者さん一人ひとりに応じた柔軟なサポートができるという強みがあります。この強みを活かし、24時間対応体制を整備して、患者さんが安心して在宅医療を受けられる基盤を作りましょう。
なお、在宅訪問と24時間対応体制は、かかりつけ薬局の基本要件です。かかりつけ薬局は地域支援体制加算の施設要件でもあるため、在宅対応と24時間対応はセットで導入することをおすすめします。
2-4. ④かかりつけ薬剤師の育成
かかりつけ薬剤師とは、医薬品や健康に関する豊富な知識と経験によって、患者さんの健康面を総合的にサポートする薬剤師を言います。かかりつけ薬剤師には、薬学的知識・経験に加えて、患者さんの気持ちに寄り添ったり、多職種と連携を取ったりといったヒューマンスキルも必要です。
かかりつけ薬剤師になるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
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かかりつけ薬剤師となるには、少なくとも3年以上の実務経験と一定の知識が必要です。自薬局の中で対象となる薬剤師を選抜し、計画的に育成を進めましょう。かかりつけ薬剤師としての心構えや実践スキルを学ぶために、外部の教育研修サービスを活用するのもおすすめです。
2-5. ⑤在宅訪問体制の確立
在宅訪問を円滑に進めるために、業務プロセスを整理しましょう。在宅業務のマニュアルがあれば、在宅訪問薬剤師のスキルや経験の差による影響を軽減することができます。
一般的に、以下の流れで在宅訪問が行われます。
①主治医から訪問指示を受ける |
業務の流れに沿って、書類の書き方や初回訪問時の持ち物、訪問先でチェックすべきポイントなどをマニュアルにまとめましょう。同様に、残薬や副作用の出現等、起こりうるトラブルについても、適切な対処方法を記載しておくと安心です。
リモート薬剤師によるオンライン服薬指導を在宅訪問と併用する場合、リモートワーク用のマニュアルも作成しましょう。また、実際に作成した計画書や報告書は、薬剤師間で共有できる体制があると便利です。
2-6. ⑥業務・オペレーション効率化
在宅訪問では、移動時間や報告書作成に時間がかかるため、薬剤師の業務負担が大きいという課題があります。このような在宅薬剤師の業務負担を減らすためには、デジタル化による業務効率化に取り組むのがおすすめです。
たとえば、計画書や報告書をデータ化し、クラウド管理すると、訪問先や移動時間を使って書類を作成することができます。リアルタイムで情報共有が可能なので、薬剤師間の連携も強化できるでしょう。
調剤に時間がかかる場合は、調剤ロボットを導入し、調剤業務の自動化を検討するのもおすすめです。在宅患者さんは処方薬が多いため、調剤業務が自動化できれば薬剤師の負担を大きく減らすことができます。
2-7. ⑦クリーンルームなどインフラ整備
在宅専門薬局として、さまざまな患者さんの需要に応えるためには、無菌製剤の調剤ができることが望まれます。在宅薬局・薬剤師としての専門性を発揮できるとともに、病院と同等の安全な医療を提供できるようになります。
クリーンルームは他薬局との共同利用も認められているので、自薬局での設置が難しい場合は、近隣の薬局へ協力を仰ぎましょう。ただ、薬局内にクリーンルームがあれば、よりスピーディーな対応が実現できます。
なお、医療用麻薬を取り扱うには、麻薬小売業者免許が必要です。クリーンルームの設置と合わせて、麻薬小売業の免許を取得しましょう。
3. きらりプライムサービスの在宅薬局サポートとは?
きらりプライムサービスでは、在宅薬局経営をサポートするため、さまざまなサービスを展開しています。ここでは、きらりプライムサービスのサポートの一部を紹介します。
- 在宅患者獲得サポート
介護施設や医療機関への周知活動を行い、地域の在宅医療関係者との連携強化を支援するサービスです。薬局の強みや地域の特性を考慮し、効果的なアプローチを行うことで、在宅患者獲得へつなげます。弊社営業スタッフが、パンフレット作製からアポ取り、目標設定、営業同行まで責任をもってサポートし、営業ノウハウの内製化をお手伝いします。
- オンコール対応型人材シェアリング
24時間365日対応の実現をサポートするサービスです。ご希望の時間帯に、当社薬剤師スタッフが電話対応を代行します。また、当社薬剤師を派遣する臨時処方専任薬剤師派遣では、部分的な人材不足を解消することも可能です。既存薬剤師の負担を減らし、効率的なオンコール体制の構築をサポートします。夜間対応や休日対応にお困りの方は、ぜひご活用ください。
- 教育研修
在宅現場研修、往診同行研修、緩和ケア研修など、ご希望に応じた研修を設計いたします。在宅現場経験の豊富なきらり薬局の薬剤師が、在宅ノウハウをOJT研修でお伝えします。在宅薬局の管理者育成や、かかりつけ薬剤師の育成にお役立てください。
また、リーズナブルな「e-Learning教育動画研修」もご用意しています。こちらは再生無制限で、スタッフの受講状況を把握できるため、教育計画に組み込みやすいと好評です。
- きらりプライムサービスの在宅支援システム「ファムケア」
在宅業務の効率化を図る、クラウド型報告書管理システムです。クラウド型のため、外出先でも報告書やトレーシングレポートの作成・送信ができます。在宅現場で使いやすいよう、入力補助機能が充実。複数店舗間の情報共有にも適しており、オンコール対応やかかりつけ薬局体制の整備にも役立ちます。
まとめ
在宅訪問に特化した薬局は、在宅専門薬局とも呼ばれます。在宅専門薬局では、さまざまな疾患を抱えた患者さんに対応できるよう、在宅訪問に適した体制を整えておくことが大切です。多職種連携の強化をはじめ、在宅医療チームの一員として活躍できるように薬局の設備や人員体制を見直しましょう。
きらりプライムサービスは、在宅薬局の経営を総合的にサポートするサービスです。外来+在宅のハイブリッド経営を行うきらり薬局のノウハウを活かして、在宅訪問の業務効率化、患者獲得、薬剤師育成など、さまざまなご相談に応じます。在宅訪問の運営を成功させたい薬局経営者の方は、ぜひ一度きらりプライムサービスにお問い合わせください。
===================監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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