居宅療養管理指導とは?条件や内容、流れを解説!

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居宅療養管理指導とは?条件や内容、流れを解説!

要介護になっても自宅で日常生活を送りながら治療を進めることができるようになる居宅療養管理指導。薬剤師だけでなく医師や歯科医師などさまざまな医療スタッフが協力して患者さんのケアをしていくものです。

今回はそもそも居宅療養管理指導がどういった目的で作られたのか、薬剤師が指導を行う際に気をつけるべきことは何かなどを詳しく紹介します。

目次

居宅療養管理指導とは?

要介護となりながらも、自宅で生活している方は大勢いるものです。そのような方が自宅にいながらできるだけ自立した生活を送れるようにするためのものが居宅療養管理指導です。

自宅に専門のスタッフが訪問し、患者さんの生活の質を上げるための管理や指導を行います。ここでいう専門のスタッフとは、医師や薬剤師、歯科医師や管理栄養士などです。それぞれの医療スタッフが専門性を発揮することで、患者さんが濃密なケアを受けられるようにします。

薬剤師の場合は、医師や歯科医師の処方にもとづいて薬学的管理を行い、服薬に関して必要な情報を提供することが主な役割です。

居宅療養管理指導はどうして出来たのか?

居宅療養管理指導は、要介護となっているため通院が難しい患者さんの生活を自立させる目的で作られました。介護が必要な方にとって、医療機関を受診するだけでも体力を使ったり周りの手が必要になったりと大変なものです。

通院が困難なために満足のいく医療を受けられない方もなかにはいるでしょう。そのような方でも十分なケアができるように居宅療養管理指導が行われます。

居宅療養管理指導の条件とは?

居宅療養管理指導を受けるためには、次の3つの条件のうち、いずれかの条件を満たす必要があります。

1つめは「要介護1以上の認定を受けており、65歳以上であること」です。介護が必要なレベルに応じて要支援から要介護までランク分けがされており、そのうち要介護1以上であることが最低限の条件となります。

要介護1は介護が必要な方のなかでももっとも軽い分類で、日常生活において部分的な介護が必要な状態です。ほとんどのことは一人でできるものの、認知能力や運動能力の低下などにより入浴や家事などで介護を必要とします。

2つめは、医師が患者さんを見て「自力での通院が難しい」と判断した場合です。要介護1の認定を受けていなくても、医師の判断で居宅療養管理指導を受けられます。

3つめは、40~64歳の方で認知症や関節リウマチ、末期がんなどの疾患をもっている方が要介護認定を受けた場合です。特定の16種類の疾患があり、介護が必要と認定された場合に限り、65歳未満でも居宅療養管理指導を受けられます。

別の切り口ですが、通院できない要支援1又は要支援2の方は薬剤師から「介護予防居宅療養管理指導」の介入も実施可能です。是非覚えておくと良いでしょう!

こちらも同様に薬剤の服薬指導から投薬チェック、副作用の確認や内服の管理状況などの業務を実施します。

居宅療養管理指導の流れは?

居宅療養管理指導を利用するためには、次のステップを踏むことが一般的です。

①ケアマネジャーに相談

ケアマネジャーとは介護支援専門員のことで、介護を必要とする方が介護保険を使って適切なサービスを受けられるように調整する役割を担っています。

まずは患者さんご本人またはそのご家族が居宅療養管理指導を利用したいとケアマネジャーに伝えましょう。

②ケアプランの作成

ケアマネジャーが医師に相談し、居宅療養管理指導が必要だと判断されたら次はケアプランを作成します。ケアプランとは、介護保険を使ってどのサービスを受けるかを決めた計画書のことです。介護サービス計画書とも呼ばれています。

③サポート開始

ケアプランができあがったら、プランの内容に合わせて専門家が患者さんの自宅でケアを始めます。薬剤師の場合は服薬サポートを行うことがほとんどです。

残薬はないか、飲みにくい薬はないか、飲み忘れやすい時間帯はないかなどを確認して患者さんがしっかり服薬できる環境を整えましょう。

居宅療養管理指導で薬剤師が注意することは?

居宅療養管理指導は、基本的に薬局の窓口で行う服薬指導と大きな違いはありません。しかし、患者さんの自宅に訪問するメリットを活かさなければもったいない、というのが現実です。

①一歩踏み込んだ服薬指導を心がける

患者さんの自宅で服薬指導を行う=普段とは違う服薬指導ができるチャンスです。自宅ということもあり、患者さんもリラックスして服薬指導を受けていることがほとんどでしょう。

飲み方はしっかり理解しているか、わからないところはなさそうかなど表情を見ながらより丁寧な服薬指導を心がけます。

②患者さんの日常生活まで考慮する

薬局の窓口では決して見ることのできない患者さんの日常生活。居宅療養管理指導では自宅を訪問することから、日常生活まで考慮したうえで服薬サポートを行うことが大切です。

たとえば患者さんがお昼ご飯を食べない生活をしているなら、昼食時に飲む薬は用法の変更をすることが望ましいでしょう。薬を1回分ずつ切って保管している様子があればお薬カレンダーがあったほうが管理しやすいはずです。

手先を動かしにくい様子があれば一包化もよいでしょう。患者さんが一人でもしっかり服薬できる環境を整えてあげられるよう細部まで気を配るようにします。

③情報共有を欠かさない

居宅療養管理指導はなにも薬剤師だけが行っているものではありません。ケアマネジャーをはじめ、ほかの医療スタッフも関与しているため、情報共有が大切です。

どのような服薬指導を行ったのか、薬剤師目線でどのようなことが気になったか、どういう介入をしたかなどを報告書にわかりやすくまとめておきます。些細な情報でもほかのスタッフからすれば大きな情報となることも少なくありません。

居宅療養管理指導のメリット・デメリット

メリット

居宅療養管理指導のメリットは、なんと言っても自宅にいながらさまざまな医療スタッフによるサービスを受けられることです。それによって、次のようなメリットも受けることができます。

家族の負担の軽減

介護を行う家族には、精神的・身体的な負担がのしかかるものです。居宅療養管理指導を受けるためには、介護認定で要介護1以上に認定を受けなければいけません。要介護の認定は1~5まであり、もっとも介護度が低い要介護1でも、立ち上がりや歩行、トイレや入浴などは部分的な介助が必要です。

居宅療養管理指導を受けたからといって、介護そのものを手伝ってもらえるわけではありませんが、介護方法の指導やアドバイスを受けられるため、日々の負担を減らすことができるでしょう。

通院する負担を減らせる

居宅療養管理指導を受ければ、通院の負担を大きく減らせます。そもそも居宅療養管理指導とは、通院が困難な方向けのサービスです。医師や薬剤師や歯科医師、栄養士などさまざまなスタッフが自宅を訪れて必要な指導やサポートを行ってくれます。そのため、通院のたびに介護タクシーを頼んだり、車に乗せるための介助を行ったりする必要がありません。

適した介護サービスを受けられる

患者(利用者さんにとって必要なサービスをそれぞれの専門スタッフがしっかりと考えてくれます。たとえば薬剤師なら、飲み忘れがないように一包化したり、包装に書く文字の色や大きさを工夫したり、効果や副作用の発現具合をチェックして薬剤の変更を提案してくれたりするでしょう。通院時とは違い、普段の生活の様子を見ながらより患者さんに適したオーダーメイドのサービスを受けられることが特徴です。

一方で患者さんが急変になった場合には医療での訪問が可能になります。

デメリット

居宅療養管理指導には、もちろんメリットだけでなくデメリットもあります。

算定回数には制限がある

居宅療養管理指導には、算定回数に制限があるので注意してください。

薬剤師の場合は、次のように回数が決められています。

  • 病院や診療所に勤務する薬剤師からサービスを受ける場合:1か月に2回まで
  • 薬局に勤務する薬剤師からサービスを受ける場合:1か月に4回まで
  • 薬局に勤務する薬剤師からサービスを受け、がん末期や中心静脈栄養を受けている方:1か月に8回まで(週に最大2回)

※急変時などは医療での訪問が可能です。

医療行為ができない

薬剤師は患者宅へ訪問しますが、もちろん医療行為を行うことができません。(※医師は1回の訪問の中で居宅療養指導と医療行為が可能)居宅療養管理指導は、往診や訪問療養を行うのではなく、アドバイスや指導がおもな目的です。具体的には薬剤師なら、患者さんがむりなく薬の服用ができるように用法用量や剤形の最適化を行います。

医師または歯科医師の指示がないと利用不可

居宅療養管理指導を受けるためには、医師または歯科医師からの指示が必要です。医師や歯科医師が「訪問による指導が必要だ」と判断しなければ、患者さんが希望していても利用できないので注意してください。

まとめ

居宅療養管理指導とは、患者さんが自宅にいながら適切な治療を受けられるようにするための制度です。65歳以上で要介護1となっている方、指導が必要だと医師から判断された方、40~64歳で特定の疾患をもっており介護認定を受けた方が対象です。

薬剤師の場合は服薬サポートを行うことがほとんどでしょう。患者さんが服薬しやすいように剤形変更や用法の変更などを提案しつつ、服薬コンプライアンスをあげられるような支援をしていくことが大切です。

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