在宅医療に関わる薬剤師の役割とは?薬局経営の視点から解説!

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在宅医療に関わる薬剤師の役割とは?薬局経営の視点から解説!

総務省統計局が公表しているデータによると、2018年には総人口に占める65歳以上の方の割合は28.1%でしたが、2030年には31.2%になる見込みです。

在宅医療を使用している方の72%は60代以上のため、これからも在宅医療の需要は高まっていくと考えられます。薬局経営をこれからも続けていくためには、在宅医療への参入は避けられないと言えるでしょう。

今回は在宅医療における薬剤師の役割や、在宅医療を薬局経営の収益につなげる方法を解説します。

目次

在宅医療に関わる薬剤師とは?

在宅医療とは、在宅で医療や介護を受ける患者さんの自宅を訪問し、24時間365日医療ケアやサービスを行うことです。在宅医療を行う薬剤師のことを、在宅医療薬剤師や在宅薬剤師と呼んでいます。

調剤薬局や病院で働く薬剤師は、患者さんが自ら処方箋をもってきてくれることがほとんどです。しかし在宅医療の場合は、薬剤師から患者さんを訪ねに行く必要があります。ただ服薬指導を行うだけではなく、残薬の調整をしたり健康相談に応じたりする必要もあるため、調剤薬局や病院とはまた違ったスキルが求められることが特徴です。

調剤薬局や病院での勤務をベースに、必要に応じて在宅医療に向かう薬剤師もいれば、在宅医療をメインにしている薬剤師もいます。

在宅医療に関わる薬剤師の役割は?

在宅医療に関わる薬剤師の役割は、驚くほど多いものです。外来調剤をメインに扱う調剤薬局や病院にはないような役割もあります。

  • 処方箋にもとづいた調剤
  • 患者さんの自宅へ調剤した医薬品を届ける
  • 薬歴管理
  • 服薬指導
  • 服薬状況や保管状況の確認
  • 副作用の確認
  • 残薬の調整
  • 担当医への処方支援
  • 麻薬の服薬管理や廃棄
  • ケアマネジャーや医師、看護師との情報共有
  • 医療福祉関係者に薬剤の教育を行う

    調剤や薬歴管理、服薬指導などは在宅医療かどうかに関係なく、薬剤師なら普段から行っている業務です。医薬品を届けたり患者さんに副作用が起きていないか自分の目で確認したりするのは、在宅医療だからこその役割ではないでしょうか。

    残薬の調整は、在宅医療を行っていくうえでとても大切なものです。普段の調剤業務では見えてこなかった患者さんのライフスタイルや性格に合わせて、用法用量の変更をすることもあります。

    在宅医療は薬剤師だけでなく医師や看護師など多くのスタッフが関わっているため、薬剤師がどのような介入を行ったのか、患者さんの動きで気になったことはないかなどを報告することも大切です。

    ほかのスタッフに向けて、薬剤に関する教育を行うこともあります。どの医薬品でどういった副作用が起きやすいのか、注意すべき重篤な副作用にはどのようなものがあるのかなどを共有しましょう。

在宅医療で働く薬剤師の1日

薬局や病院では調剤を行わず、在宅医療をメインに行っている薬剤師の1日の流れを見てみましょう。

調剤済みの薬を取りに行く(9:00)

出勤したら、その日に回る患者さんの薬をチェックします。問題がなければ訪問時に必要な荷物と一緒に薬を持ち出して出発しましょう。

患者さんを訪問する(10:00)

訪問前に、必要に応じて患者さんに電話で「今から向かいます」と連絡を入れます。患者さんの自宅に着いたら、薬を渡して服薬指導を開始。飲みづらさはないか、薬や体調のことで気になることはないかなどをヒアリングします。状況に応じて血圧を測ったりむくみの程度を触って調べたりすることも。もちろん、薬剤師が医療行為を行うのは禁じられているので、ルールを破らない範囲で行います。

休憩(13:00)

午前中の訪問が終わったら、薬局に戻ってお昼休憩です。薬局に戻らず、出先でそのまま休憩に入ることもあります。

患者さんを訪問する(14:00)

お昼休憩が終わったら、午後の訪問です。患者さんにはだいたい何時ごろに訪問するか伝えてあるので、時間に大幅に遅れないよう上手に調整しながら回っていきます。

報告書、薬歴の作成(17:00)

訪問をすべて終えたら、薬局に戻って報告書や薬歴の作成を行います。報告書は、医師や看護師などに患者さんの状態を共有する大切な資料です。お茶を飲むときにコップを落としそうになった、手先にわずかな震えが見られたなど、些細なことでも構わないので、細かく記録をつけておきましょう。報告書や薬歴の記入が終わり、まだ時間があるようなときは調剤や監査を行うこともあります。

退勤(18:00)

1日お疲れさまでした。本日のお仕事はこれで終わりです。

在宅医療は薬局経営の収益に繋がるのか?

在宅医療の需要が増しているとはいえ、薬局経営にどのような影響を及ぼすのかによっては安易に参入できないと考えている方もいるでしょう。結論から言うと、在宅医療は薬局経営の収益につながると考えられます。

個人在宅医療の場合

調剤報酬は、在宅医療を行うことで有利になるように改定されている流れがあります。調剤薬局や病院が応需している処方箋枚数の伸び率は最近ではあまり高くないため、在宅医療に参入することで収益の伸び悩みを打ち破ることができると考えられます。

医療保険で訪問をする場合

患者さん個人の自宅を訪問する場合は、在宅患者訪問薬剤管理指導料として650点を算定することが可能です。普段の調剤業務で算定できる加算と比べると、高い点数を算定できることが特徴です。

<介護保険で訪問をする場合>

単一建物居住者数

単位数

1人

517単位

2~9人

378単位

10人以上

341単位

上記は介護保険に関する居宅療養管理指導、介護予防居宅療養管理指導の算定表です。また、訪問薬剤師管理指導の保険算定ができる施設は以下になります。

・軽費老人ホームB型

・有料老人ホーム

・高齢者専用賃貸住宅

・認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

実際の個人在宅医療の現場では殆どがこちらの介護保険の算定となっています。
また2022年の調剤報酬改定により、在宅患者オンライン薬剤管理指導料や在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料なども算定できるようになりました。

施設在宅医療の場合

施設ごとに医療保険と介護保険で算定の有無を一覧にしてみました。

 

医療保険

介護保険

介護老人保健施設

×

×

特別養護老人ホーム

△(※1)

×

養護老人ホーム

×

×

軽費老人ホームA型

×

×

軽費老人ホームB型

有料老人ホーム

高齢者専用賃貸住宅

認知症高齢者グループホーム

×

※1・・・末期の悪性腫瘍患者の場合は医療保険で在宅患者訪問薬剤管理指料が算定可能となります。

医療保険または介護保険で算定ができる施設の理解をすることが大切です。また経営視点で考えると薬局はケアマネジャーとの連携、ケアプランに居宅療養管理指導を入れてもらうことに力を入れましょう。患者さんの服薬コンプライアンスを上げるためにはどうすれば良いかを考えて、服薬管理の質を上げるように営業活動をすることが必要です。

まとめ

在宅医療の需要は今後も変わらず増していくでしょう。そのため、生き残る調剤薬局になるためには在宅医療へ参入するかどうかが鍵を握っていると言えます。在宅医療を行うことで加算を算定できるため、収益増加にも効果があるでしょう。

また在宅医療に関わる調剤報酬はこれからの改定でさらに重要視される可能性あるため、参入を意識した経営を行いましょう。

 

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