調剤薬局はどうしたら儲かるの? 上手に経営を回す方法を解説

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調剤薬局で儲けを出すには、利益率を高める必要があります。単に売上アップをめざすだけでなく、処方箋を集めるための施策を打ち、適切な方法で経費削減を図ることが大切です。
本記事では、薬局数の推移・動向を示したあと、薬局経営を上手に回す方法と、薬局経営の注意点を詳しく解説します。薬局の利益率向上をめざしたい方は、ぜひご覧ください。
目次
2. 薬局経営は儲かるのか?
3. 薬局経営を上手に回す方法
3-1. かかりつけ薬局・健康サポート薬局を目指す
3-2. 物販を強化する
3-3. 医療機関や関連施設へ営業に行く
3-4. 「技術料」を確実に取得する
3-5. 人件費を抑えて経費削減を図る
3-6. 薬価差益を確保する
4. 調剤薬局を経営する際の注意点
4-1. 採算が取れないM&Aは避ける
4-2. 人材紹介会社に頼り過ぎない
まとめ
1. 薬局数の推移と今後の動向
調剤薬局数は年々増加しており、2020年には60,951店舗となっています。2000年の薬局数は46,763店舗であったため、20年で約13,000店舗も増加しました。
傾向としては、個人経営や2〜5店舗経営の薬局が減少し、20店舗以上を経営する大手薬局が急速に勢力を広げています。1店舗経営の法人薬局が2019年より増加しているため、小規模薬局は大手薬局に店舗を売却し、1店舗経営に切り替えて存続を図っている様子が窺えます。
薬局数は既にコンビニエンスストアの数よりも多く、特に門前薬局は飽和状態です。2022年調剤報酬改定では、大手チェーン門前薬局に対する調剤報酬(調剤基本料)が引き下げられました。今後も、門前薬局や大手薬局を狙った調剤報酬改定は続くでしょう。
門前薬局や大手薬局の経営が厳しくなると、薬局の数は減少することになります。既に中小薬局が淘汰されつつある今、薬局が生き残るためには、国から期待される役割を進んで担っていくことが大切です。
2. 薬局経営は儲かるのか?
厚生労働省による第23回医療経済実態調査によると、保険調剤を行う調剤薬局の1店舗あたりの売上は、年間約1億729万円です。ここから給与費・医薬品費・税金などを差し引いた利益は、約950万円となっています。調剤薬局の利益率は、約5.5%です。
1店舗あたり約950万円の利益が出ているため、「薬局経営は儲かる」と言えるでしょう。ただし、以前に比べると、薬局経営は厳しくなっています。その理由として、以下3つが挙げられます。
- 調剤報酬改定の厳格化
- 薬局に求められる機能の多様化
- 薬価差益の減少
- 慢性的な薬剤師不足
国は医療削減に向けた政策を進めており、調剤報酬や薬価改定は年々厳しくなっています。ただ処方箋に従って薬を出すだけでは、十分な利益を確保することは難しくなるでしょう。
地方や郊外における薬剤師不足も深刻化しています。十分な人材を確保できないために、在宅訪問や24時間体制に踏み切れないと悩む薬局経営者は少なくありません。
薬局は、これらの課題に取り組みつつ、あらゆる側面から利益率を高めるための施策を練る必要があります。安易に「薬局を開業すれば儲かる」とは考えず、中長期的な事業計画を考えましょう。
3. 薬局経営を上手に回す方法
ここでは、薬局経営をする上で、押さえておきたい5つの方法を紹介します。薬局の利益を最大限に上げるためにも、できることから取り組みましょう。
3-1. かかりつけ薬局・健康サポート薬局をめざす
第23回医療経済実態調査によると、薬局の収益は「保険調剤」が約97%を占めています。つまり、処方箋が集まらなければ、薬局の収益を上げることはできません。
処方箋を集める手段としておすすめなのが、「かかりつけ薬局」や「健康サポート薬局」となることです。地域住民のニーズに沿ったサービスを提供できれば、薬局のファンやリピーターが増え、結果として処方箋獲得につながります。
・かかりつけ薬局
かかりつけ薬局とは、患者さんの服薬状況を把握し、薬や健康について相談に応じる薬局のことです。 かかりつけ薬局の主な機能
かかりつけ薬剤師・薬局機能に対応する認定制度が、「地域連携薬局」です。地域連携薬局には、かかりつけ機能に加えて、医療機関との連携体制構築や、無菌製剤への対応が求められます。かかりつけ薬局として活躍する場合は、ぜひ地域連携薬局の取得もめざしましょう。 |
・健康サポート薬局
健康サポート薬局とは、薬以外に関する健康相談も広く受け付け、地域住民の健康促進を積極的に支援する薬局のことです。 健康サポート薬局の主な機能
健康サポート薬局は、地域住民の健康意識向上をめざし、病気の予防や健康維持に関わるさまざまな取り組みを行います。地域住民の健康ステーションとして、地域の特色に応じたサービスを展開することも大切です。 |
3-2. 物販を強化する
近年では、物販に力を入れる薬局も増えています。薬局の物販強化には、以下3つのメリットがあります。
- 処方箋調剤以外の収益源を確保できる
- 他薬局との差別化が図れる
- 患者さんとのコミュニケーションが深まる
地域密着型の薬局は、患者さんと密なコミュニケーションが取れるため、ニーズに沿った商品を提案しやすいという強みがあります。相談から商品提案までを薬局内で一貫して行うことで、より患者さんに寄り添ったセルフメディケーションサポートができるでしょう。
薬局で扱う物販には、OTC医薬品・サプリメント・オーガニック食品・飲料・介護用品・育児用品などが挙げられます。ただ品揃えを充実させるのではなく、地域住民のニーズに応じた商品を選別することが大切です。また、ドラッグストアには置いていない商品を揃えるなどの工夫をすると、差別化につながります。
3-3. 医療機関や関連施設へ営業に行く
医療機関などは各薬局のサービスについて把握していないケースも多いため、薬局側からアピールすることが大切です。近隣の医療機関、居宅介護支援事業所、介護福祉施設などに、営業(周知活動)に行きましょう。
特に、在宅訪問においては医師からの紹介が主となるため、在宅薬局は積極的に医療機関へ営業活動に行くことをおすすめします。「どの薬局が在宅に対応しているのかわからなくて困っている」という医療機関も多いため、薬局側から働きかけることが大切です。
薬局の特徴や機能を紹介するリーフレットを作成し、院内への設置を交渉するのもおすすめです。リーフレットを見た患者さんが薬局に興味を持ち、来局してもらえる可能性もあります。
3-4. 「技術料」を確実に取得する
薬局経営で特に重視したいのが、調剤技術料と薬学管理料から成る「技術料」の加算です。2022年度調剤報酬改定では、対物業務から対人業務への移行促進に伴い、在宅訪問やオンライン体制に関わる評価が引き上げられました。
技術料のうち、薬局の努力次第で点数アップがめざせるものに「地域支援体制加算」があります。地域支援体制加算は4段階区分となっており、より地域貢献度の高い薬局が評価される仕組みです。地域支援体制加算を算定できれば処方箋単価が上がるため、薬局経営の安定が図れます。早い段階で在宅対応・24時間対応を整備し、地域支援体制加算の取得をめざしましょう。
「後発医薬品調剤体制加算」も、取りこぼしを防ぎたい加算です。患者さんの中には、後発医薬品(ジェネリック医薬品)に対して不安を抱く人も少なくありません。薬剤師からの丁寧なコミュニケーションによって、ジェネリック医薬品への理解を深めてもらうといった工夫が必要です。
3-5. 人件費を抑えて経費削減を図る
薬局の利益率をアップするには、経費削減も有効です。薬局の経費の内訳として、医薬品購入費用が約70%、人件費が約20%となっています。人件費は医薬品購入費用と比べれば少ないものの、決して無視できる金額ではありません。固定費にあたる人件費を削減できれば、月々の経費を減らすことができます。
人件費削減にあたっては、労働分配率を計算し、正社員を増やすべきか、パートで賄えるのかを確認しましょう。ただし、利益を追求するあまり、過度に人員削減をすることは禁物です。人員が減って1人あたりの業務負荷が増大すれば、薬剤師の不満が募り離職につながる恐れもあります。人件費の見直しは、薬剤師に負担がかからない範囲で行うことが前提です。
3-6. 薬価差益を確保する
薬価差益とは、薬価と仕入れ価格(医薬品購入費)の価格差のことです。30年ほど前までは薬価差益による利益は大きかったものの、薬価改定による薬価の引き下げが続き、現在では薬価差益はほとんど見込めない状況となっています。
特に、個人経営などの小規模薬局は仕入れ量が少ないため、医薬品卸との交渉が難しい状況にあります。そこで活用したいのが、「共同購入」や「医薬品購入交渉代行」サービスです。
・共同購入
共同購入とは、ボランタリーチェーンなどに加盟し、複数の薬局で大量購入・同時発注を行うことです。購買力が高まる分、仕入れ価格を抑えることができます。ボランタリーチェーンによっては、加盟料や月会費などが発生するケースもあります。 |
・医薬品購入交渉代行
薬局と医薬品卸との間に別の会社が介入し、医薬品の価格調整を行ってくれるサービスです。一般的には、交渉成立時に手数料を支払います。 |
共同購入・医薬品購入交渉代行サービスを選ぶ際は、医薬品卸との関係性への影響や、発注システムの指定、月々にかかるコストなどを確認しましょう。負担を少なくするためにも、できれば従来通りの発注方法を継続でき、コストパフォーマンスのいいサービスがおすすめです。
ボランタリーチェーンのネットワークを活かして、デッドストックの活用ができるケースもあります。自分たちの薬局にとって、利便性の高いサービスを選びましょう。
4. 調剤薬局を経営する際の注意点
利益確保のためとはいえ、やみくもに薬局経営を行っていては、かえって悪化する可能性もあります。ここでは、薬局経営の注意点を2つお伝えします。目先の利益を追求するのではなく、長期的に安定した薬局経営をめざしましょう。
4-1. 人件費を抑えて経費削減を図る
調剤薬局の規模を拡大する手段の1つに、M&Aがあります。M&Aは、後継者のいない薬局を引き継いだり、会社を買収したりすることで、経営の基盤を強化する方法です。
M&Aには、優秀な薬剤師を確保できる、新規立ち上げに比べて時間と労力を節約できるといったメリットがあります。一方で、M&Aを行う際には、以下の点に注意しなくてはなりません。
- 着手金や仲介金などを合わせて1,000万円以上の費用がかかるケースもある
- M&A後に簿外負債や想定外の損失が発覚する可能性もある
- M&A後に経営が悪化する可能性もある
M&Aによって薬局を買収する際には、採算が取れるかについて念入りなシミュレーションを行いましょう。無理なM&Aは損失を抱えることになるので、成長性や主液性、景気動向などを冷静に判断することが大切です。
4-2. 人件費を抑えて経費削減を図る
薬局で働く薬剤師を募集するために、人材紹介会社を使うこともあるでしょう。人材紹介会社を利用すれば、多くの求職者と簡単にマッチングできます。採用までの流れがスピーディーで、経営者の手間も最小限で済むのもメリットです。
しかし、人材紹介会社はほかの人材募集の方法と比べると、採用費用が高額になりやすいというデメリットがあります。人材紹介会社のみに頼るのではなく、ハローワークや自社ホームページ、SNSなども活用し、費用を抑えて薬剤師を確保する手段も検討しましょう。
まとめ
薬局経営は以前に比べると難しくはなっているものの、十分な対策を取れば利益を確保することは可能です。薬局経営のコツには、以下6つがあります。
- かかりつけ薬局・健康サポート薬局を目指す
- 物販を強化して収益源を確保する
- 医療機関や関連施設へ営業に行く
- 「技術料」を確実に取得する(地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算など)
- 人件費を抑えて経費削減を図る
- 共同購入・医薬品購入交渉代行サービスを利用して、薬価差益を確保する
HYUGA PRIMARY CARE(株)の「KIRARI PRIMEサービス」では、在宅薬局経営にまつわるさまざまな課題解決をサポートしています。在宅患者獲得サポートでは、医療機関への営業を含め、地域に適した患者獲得手法をご提案。また、医療品購入交渉やデッドストック活用により、薬価コスト削減もサポートしています。在宅薬局経営にお悩みの方は、ぜひ一度KIRARI PRIMEサービスにお問い合わせください。
===================監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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