かかりつけ薬剤師とは?薬局経営の視点から解説!

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かかりつけ薬剤師とは?薬局経営の視点から解説!

厚生労働省が公表した「患者のための薬局ビジョン」では、かかりつけ薬剤師を増やしていこうとする動きが強く見られました。

2025年までにはすべての薬局をかかりつけ薬局にすることを目標に掲げていることからも、今後はかかりつけ薬剤師の存在が重要視されることは間違いありません。薬局経営を行っていくうえでも、かかりつけ薬剤師の存在は欠かせないものになるでしょう。

今回は、かかりつけ薬剤師に対応することで得られる加算や、仕事内容、薬局経営への影響について解説します。

目次

かかりつけ薬剤師とは?

かかりつけ薬剤師とは、薬による治療はもちろん、健康や介護のことなど暮らしに関わることをいつでも相談できる患者さん専属の薬剤師のことです。

いつも同じ薬剤師が患者さんのことを対応するため、健康食品やサプリメントなども含めて患者さんの健康状態を一元的に把握できます。

どの医療機関で貰ってきた処方箋も同じ薬局で調剤してもらうことになるため、多剤併用や重複投与、相互作用や副作用などのチェックがしやすくなることがメリットです。

かかりつけ薬剤師の歴史

かかりつけ薬剤師の制度は、2016年(平成28年)4月に始まりました。患者さんが利用している医療機関で貰った薬を一元的に把握すること、患者さんからの求めがあった場合は開局時間外や夜間・休日でも24時間体制で対応を行うこと、医療機関と連携を取り処方医へのフィードバックや残薬管理を行うことなどが求められています。

残薬を減らして薬剤費を削減したり、患者さんの健康を多方面から守ったりすることがかかりつけ薬剤師の制度を導入する目的です。残薬の調整を薬局でしっかり行えば、年間約100億円分の薬剤費を削減できると言われています。

医療費が国の財源を大きく圧迫している状況が長年続いていることから、かかりつけ薬剤師は患者さんのためだけではなく日本を救う重要な存在となり得るでしょう。

かかりつけ薬剤師の加算

かかりつけ薬剤師が患者さんの対応をすることで、かかりつけ薬剤師指導料として76点を算定できます(2022年4月時点)。かかりつけ薬剤師指導料は、処方箋の受付1回に対して算定することが可能です。

ほかに、かかりつけ薬剤師包括管理料というものもあります。こちらは、地域包括診療加算もしくは認知症地域包括診療加算を算定している患者さんにかかりつけ薬剤師が対応した場合に算定できる加算です。291点と高い点数を取れますが、かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料を同時に算定することはできません。

このほか、かかりつけ薬剤師がやむを得ない理由で対応できない場合、該当のかかりつけ薬剤師と連携するほかの薬剤師が患者さんの対応をすることで服薬管理指導料を59点算定できるという特例もあります。

かかりつけ薬剤師の仕事内容

患者さんの専属となり健康を守っていくことが役割のかかりつけ薬剤師。具体的には次のような内容の仕事を請け負っています。

患者さんからの問い合わせ対応

「これって薬の副作用ですか?」「このまま薬を飲み続けて大丈夫ですか?」といった問い合わせが来ることもあるでしょう。かかりつけ薬剤師は24時間体制で対応することが求められているため、夜間にこのような電話がかかってくることもあります。

手元に薬歴がないため慌ててしまうこともあるかもしれません。患者さんの訴えによく耳を傾け、必要に応じて受診を促すなどの対応を行います。

ただし、安易に受診勧奨しないことも大切です。とくに夜間の場合は、受診しても簡単な診察だけであっさり終わる場合も多く、それでいて高い診察料を請求されることもあるためクレームにつながることもあるのです。

一歩踏み込んだ服薬指導

患者さん専属の薬剤師という状況を上手に活用し、一歩踏み込んだ服薬指導を行っていきます。通常なら見過ごされやすい市販薬やサプリメントとの併用についてチェックしたり、自宅に飲み忘れた薬が残っていないか確認したりするのです。

かかりつけ薬剤師は同じ患者さんをずっと担当し続けていくため、距離感を縮めやすいことがメリット。このメリットを活用して、深掘りしながら服薬指導を行っていきます。

飲み合わせの確認

市販薬やサプリメントと処方薬を併用している方は驚くほど多いものです。しかし、併用していることを薬剤師に伝えてくれるケースはあまりありません。

高血圧の治療をしているのにプソイドエフェドリンの入った総合風邪薬を飲んでいたり、腎臓の働きが落ちているのに市販のファモチジンを漫然と使用していたりするケースは意外とよく見られます。

これらを見逃すと患者さんの健康に影響が出てしまうこともあるため、処方薬以外のものも含めて飲み合わせを確認しなければなりません。かかりつけ薬剤師は患者さんの服薬状況を一元的に把握することが大きな役割となるため、飲み合わせの確認は絶対に欠かせない仕事の1つです。

かかりつけ薬剤師がいると薬局経営はどうなる?

かかりつけ薬剤師を抱えることで、薬局は収益アップが見込めます。では、実際にどれくらい収益が増えるのかを簡単にシミュレーションしてみましょう。

かかりつけ薬剤師の加算を獲得すると薬局はどの程度の売上が上がるのか?

今回は、50名のかかりつけをもつ薬剤師がいると仮定して、実際に薬局の売上がどのくらい上がるのかを計算してみましょう。

こちらではかかりつけ薬剤師指導料のみを算定しており、かかりつけ薬剤師包括管理料は取っていないことを前提とします。

服薬指導管理料として45点を算定した患者さんのかかりつけ薬剤師となった場合、この45点の代わりに、かかりつけ薬剤師指導料を76点算定できるようになります。

患者さん一人あたり31点のプラスとなるため、50人のかかりつけをもっている場合は1,550点、つまり15,500円/月の増収になります

年間だと15,500円×12ヵ月間=186,000円の売上アップに繋がります。

かかりつけ薬剤師指導料は対人業務を数字化、価値化している1つの指標です。

薬局経営を考える方や薬剤師は積極的に算定をしていきましょう。

まとめ

かかりつけ薬剤師とは、患者さんに専属でつく薬剤師のことです。処方薬や市販薬、サプリメントなど患者さんが使用しているものを把握して一元的に健康管理を行います。かかりつけ薬剤師指導料として76点を算定できるため、かかりつけを取ることで調剤薬局は増収が見込めるでしょう。

収益を増やすためには、積極的にかかりつけを取ることが望まれます。ただし、薬剤師の業務負担が増えるため、手当の支給も考えなければいけません。薬剤師の働きやすさも加味したうえで、かかりつけ薬剤師の算定を取るようにしていきましょう。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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