2022年 調剤報酬改定についてわかりやすく解説

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2022年 調剤報酬改定についてわかりやすく解説

2022年(令和4年)の2月に第516回 中医協総会が開催されました。2年に一度の頻度で調剤報酬の改定が行われるため、保険調剤に関わる薬剤師は内容をしっかり理解しておく必要があります。

今回は、2022年の調剤報酬改定でどのような変更が見られるのか、どういった薬局が求められるようになるのかを見ていきましょう。


目次

「対物中心」から「対人中心」

2015年に厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」に「対物業務から対人業務へ」と書かれていたことがきっかけとなり、薬剤師の業務は対人中心へと変化してきています。

対物業務とは、処方箋の受け取りや調剤、薬袋の作成や在庫管理など、薬中心の業務のことです。一方で対人業務とは、処方箋の内容チェックや疑義照会、服薬指導や処方提案など、患者中心の業務のことを指します。
もちろん、対物業務も患者さんの健康を守るうえではとても大切なことです。しかし今後は、患者さんが薬を服用した後のことまで視野に入れて薬剤師が介入していくことが求められています。

現場に合わせた評価変更

地域医療に貢献することで算定できる地域支援体制加算。これまでは基準を満たしていれば一律で38点の加算となっていましたが、調剤報酬改定後は4つの区分にわけて加算するように変更となります。



  • 地域支援体制加算1…39点
  • 地域支援体制加算2…47点
  • 地域支援体制加算3…17点
  • 地域支援体制加算4…39点

どの加算を取るかについては、時間外等加算やかかりつけ薬剤師指導料の算定回数、調剤基本料1を算定しているかどうかなどで変わることが特徴です。

大手の薬局か中小なのかで算定回数や調剤基本料の種類によって加算が変わるため、薬局の規模により算定できる加算が違ってくるといえるでしょう。

今後の方向性

2022年の調剤報酬改定の答申では、リフィル処方箋についても言及されました。リフィル処方箋とは、所定の期限内に処方箋をくり返し薬剤師の管理下で使用できるものです。

対物から対人へと業務が移行し、さらにリフィル処方箋も開始されることから薬剤師がさらに専門性を発揮しながら患者さんの治療に深く関わっていく必要性があります。 

地域支援体制加算の基準の変更

前述したとおり、地域支援体制加算を算定できる基準が変更となりました。これまでは一定の基準を満たしていれば38点が算定できましたが、今後は4つの基準に応じてそれぞれ点数がつけられることになります。

地域連携強化の動き

そもそも地域支援体制加算とは、薬局が地域医療に貢献していることを評価するものです。地域支援体制加算の算定基準が変更になったということは、地域連携が強化されることを意味しています。

もっとも点数の高い地域支援体制加算2を算定するためには、夜間・休日等加算の算定回数が合計400回以上であること、麻薬の調剤に関する点数の算定回数が10回以上であることなどが条件です。これらの条件を達成するためには、地域との連携が欠かせません。

外来と在宅の連携

地域支援体制加算2の算定要件には、在宅患者訪問薬剤管理指導料や在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料などの算定回数も関わってきます。

より高い点数を算定するためには在宅医療を積極的に行っている必要があることから、これまで以上に外来と在宅の連携が重要視されるようになるといえるでしょう。

医療従事者の働き方改革

2022年の調剤報酬改定では、ICT(情報通信技術)を利用した改定について多く触れられています。

業務を効率化するために、オンラインでできることは実施していこうという流れができているのです。なかでも、オンライン資格確認とオンライン服薬指導の2点が重要視されています。

オンライン資格確認

オンライン資格確認とは、保険証の代わりにマイナンバーカードを利用するものです。専用の機械にマイナンバーカードをかざすことで資格の確認ができ、さらに処方された薬の情報も閲覧できます。

2022年の調剤報酬改定では、オンライン資格確認システムを活用することで、電子的保健医療情報活用加算として、月1回に限り3点を加算できます。算定するためには、次の施設基準を満たす必要があります。

  • 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。
  • 健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。
  • 電子資格確認に関する事項について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。


オンライン服薬指導

オンライン服薬指導とは、対面ではなくパソコンやスマートフォンなどを利用して服薬指導を行うことです。現行改定前では、厚生労働省が定める施設基準に適合している場合などに月に1回限り57点を算定できました。

2022年の調剤報酬改定により施設基準がなくなったほか、月に4回まで(末期のがん患者と中心静脈栄養法を行っている患者は週に2回かつ月に8回まで)59点を算定できるようになったのです。

算定のための基準が緩和されるということは、オンライン服薬指導を広めようとしている動きがあると言って間違いないでしょう。

まとめ

2022年の調剤報酬改定では、これまで以上に対人中心の業務が重要視されるようになります。とくに大きな変更が見られたのが地域支援体制加算です。算定に4つの基準ができ、さらに地域との連携の強化が望まれるようになりました。

対人業務をスムーズに進めるために、オンライン資格確認やオンライン服薬指導が推進されていく流れも見られます。これからは、地域との連携を強化しながら患者さんとの関わりを深めることが大事になっていくでしょう。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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