薬局の個人情報漏洩対応「必ずやるべきこと」のチェックリスト

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長期収載品の選定療養が2024年10月にスタート 薬局が押さえておきたい制度の内容と加算要件

薬局が扱う調剤データやお薬手帳の内容は、法律上「要配慮個人情報」に該当します。一般企業と異なり、1名分の漏洩であっても個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務付けられています。

万が一の事態に備え、薬局ならではの初期対応や報告フロー、そして日々の業務で気をつけるべきポイントをまとめました。薬局経営者の方、管理薬剤師の方は、ぜひご確認ください。

1. 薬局が扱う「要配慮個人情報」とは? 一般企業との違い

処方内容や薬歴は、患者さんの病歴や現在の健康状態が直接的にわかる非常にデリケートな情報です。個人情報保護法では、不当な差別や偏見を防ぐため、これらを「要配慮個人情報」として厳格に保護しています。

一般的な企業でよく起こる「顧客の氏名とメールアドレスが流出した」という事案とは、法律上の重みが異なります。通常の個人情報であれば「1,000件以上」など一定規模の漏洩で報告義務が生じますが、薬局が扱う要配慮個人情報の場合は、人数に関係ありません。

たとえ1名分のお薬手帳シールを別の患者さんに誤って渡してしまった場合でも、個人情報保護委員会への報告と、該当する患者さんへの通知が義務付けられます。

「1人だけだし、謝罪して回収したから大丈夫」という現場の自己判断は法令違反になりかねません。国も医療機関や薬局に対して、適正な取り扱いを繰り返し注意喚起しています。

出典:個人情報保護委員会|病院・診療所及び薬局における要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等事案を踏まえた個人データの適正な取扱いについて
出典:個人情報保護委員会|病院・診療所及び薬局における要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等事案を踏まえた個人データの適正な取扱いについて(注意喚起)

2. 漏洩が発覚した際の初動対応チェックリスト

トラブル発生時、被害を最小限に食い止めるためには初動が大切です。パニックにならず動けるよう、ケース別の対応をあらかじめ確認しておきましょう。

2-1. 誤交付(別の患者さんに処方薬や書類を渡した)場合

何より優先すべきは、誤って受け取った患者さんが薬を飲んでしまう事態を防ぐことです。直ちに電話等で連絡を取り、服用を止めてもらった上で速やかに回収へ向かいます。

出典:個人情報保護委員会|病院・診療所及び薬局における要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等事案を踏まえた個人データの適正な取扱いについて
出典:個情報保護委員会|医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス

2-2. 紛失(書類、USBメモリなどを無くした)場合

まずは心当たりのある場所を全力で捜索します。在宅訪問の途中であれば、立ち寄った施設や駐車場、車内などもくまなく確認してください。

もし見つかった場合は「封筒が開いていたか」など、第三者の目に触れる状態だったかどうかを必ず記録に残します。

2-3. 誤送信(FAXやメールを違う宛先に送った)場合

疑義照会や服薬情報等提供書(トレーシングレポート)のFAX番号押し間違いは、現場で起こりやすいミスのひとつです。発覚したらすぐに送信先へ連絡し、事情を説明して破棄を依頼します。

2-4. 不正アクセスやランサムウェアの疑いがある場合

最近は薬局のレセコンや電子薬歴を狙ったサイバー攻撃が急増しています。見慣れない画面が出たり、データが開けなくなったりした際は、迷わず該当のパソコンをネットワーク(LANケーブルやWi-Fi)から物理的に切り離してください。

後日の原因調査でログが必要になるため、むやみに再起動やシャットダウンをしないのが鉄則です。

出典:厚生労働省|医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)
出典:厚生労働省|令和8年度版 医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストマニュアル ~医療機関・薬局・事業者向け~

3. 個人情報保護委員会への報告と本人への通知ステップ

初動対応で被害の拡大を防いだら、速やかに法的な手続きへ移行します。対応は大きく「速報」「本人への通知」「確報」の3ステップです。

出典:個人情報保護委員会|漏えい等の対応とお役立ち資料

3-1. ① 速報の提出(発覚からおおむね3〜5日以内)

まずは個人情報保護委員会のオンラインフォームから第一報を入れます。

「まだ原因がはっきりしない」「全容が掴めていない」という状態でも構いません。判明している範囲の情報を入力し、期限内に提出することを最優先に動いてください。全容解明を待った結果、報告が遅れるのは避けるべき事態です。

出典:個人情報保護委員会|漏えい等の対応とお役立ち資料

3-2. ② 本人への通知

情報が漏れてしまった患者さんに対し、電話や直接の謝罪とは別に「法律に基づいた通知」を行う義務があります。

「漏洩した情報の内容」「発生原因」「二次被害の可能性」「薬局の問い合わせ窓口」などを、漏れなく正確にお伝えします。

3-3. ③ 確報の提出(発覚から30日以内)

事態が収束したら、原因究明と再発防止策をまとめた最終報告を行います(※不正アクセス等のサイバー攻撃が原因の場合は60日以内)。

ここで気をつけたいのが、再発防止策の欄に「今後はスタッフ全員で注意を徹底する」といった精神論を書かないことです。「お薬手帳シールの出力タイミングを監査後に変更した」「FAXは短縮ダイヤルに限定し、ダブルチェックを必須化した」など、具体的な業務フローの改善内容を記載してください。提出後は定期的なミーティングを開き、運用マニュアルが現場で形骸化しないよう見直していくことが大切です。

4. 日々の業務で実践したい具体的な漏洩防止策

事後対応の知識も大切ですが、一番は漏洩を未然に防ぐ仕組みづくりです。特に在宅訪問を行っている薬局は、店舗の外へ個人情報を持ち出す機会が多いため、より一層の注意が求められます。

お薬手帳シールの取り扱い

調剤室で起こりがちなのが「Aさんの薬袋にBさんのシールを入れてしまう」というミスです。これを防ぐには、処方薬の監査とシールの確認を必ずセットで行うのが効果的です。「薬は薬、シールはシール」と別々のタイミングで処理しないよう、現場のルールを統一しましょう。

出典:個人情報保護委員会|病院・診療所及び薬局における要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等事案を踏まえた個人データの適正な取扱いについて

訪問バッグのセキュリティ

在宅患者さんのご自宅や施設へ向かう際、口の開いたトートバッグ等で薬歴のコピーやカレンダーを持ち歩くのは大変危険です。移動中の紛失や盗難に備え、必ずファスナーや鍵のついた専用の鞄を使用します。また、車から少し離れる際も、絶対に荷物を車内に置きっぱなしにしないことを習慣づけましょう。

出典:個人情報保護委員会|医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス

施設での受け渡し確認

介護施設などへまとめてお薬をお届けする場合、施設のスタッフへお渡しする際に、必ず「お名前の読み上げ」を一緒に行います。似たお名前の入居者さんがいると、施設側での配薬ミスを誘発する原因にもなるため、双方での声出し確認をルール化しましょう。

FAXの誤送信対策

クリニックへの疑義照会を送信する際に、番号の押し間違うというミスもあるようです。よく連絡する医院は短縮ダイヤルに登録して、手打ちの機会を極力減らしましょう。初めて送る宛先なら、送信ボタンを押す前に別のスタッフが番号を読み上げるなど、ダブルチェックする体制が安心です。

5. まとめ

どれだけ注意を払っていても、日々の業務の中でヒューマンエラーを完全にゼロにすることは困難です。特に要配慮個人情報を扱う薬局では、ひとつのミスが重大な漏洩トラブルにつながるため、「ミスが起きにくい仕組み」と「起きてしまった時の明確なルール」をあらかじめ整備しておく必要があります。

万が一漏洩が起きてしまうと、患者さんからの信頼を失うだけでなく、地域のケアマネジャーや医療機関からの評価低下にも直結しかねません。質の高い在宅医療を継続して提供していくためにも、安全管理体制を構築することが重要です。

きらりプライムサービスでは、在宅薬局の立ち上げから日々の運営、業務の効率化やリスクマネジメントまで、薬局経営を総合的にサポートしています。個人情報の取り扱いに配慮したスタッフ教育や、安全な業務フローの構築にお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。

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