顧客拡大と業務効率化は必須! 調剤薬局経営の4大課題と解決の方向性

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顧客拡大と業務効率化は必須! 調剤薬局経営の4大課題と解決の方向性

1. 調剤薬局が抱える4大課題

調剤薬局の経営は年々厳しくなっており、多くの薬局が何らかの課題を抱えているのが現状です。ここでは、調剤薬局がぶつかる4つの大きな課題を紹介します。

1-1. ①薬局の増加・市場の成熟による集客競争の激化

医薬分業の推進などによって、ここ十年ほどで調剤薬局の数は急激に増加しました。2021年度末における全国の薬局数は6万1791施設にものぼり、薬局の飽和状態が続いています。

ドラッグストアをはじめ、コンビニエンスストアや家電量販店などの大手チェーンが調剤薬局を併設する動きも盛んです。資金やネームバリューに乏しい個人経営の薬局は、顧客の確保が難しい状況であるといえるでしょう。

調剤薬局のほとんどが、総合病院や大学病院の近隣にある「門前薬局」であり、今やすべての病院の近隣に調剤薬局が並んでいると言っても過言ではありません。調剤薬局には新規参入の余地がなく、今後は淘汰されていくことが予想されます。

1-2. ②調剤報酬額改定による利幅の悪化

医療費の透明性の保持と患者負担額の軽減を目的として、2年に1度診療報酬改定(調剤報酬改定)が行われます。調剤報酬改定の傾向としては、対物業務から対人業務への移行を推し進める形となっており、薬の調剤・受け渡しだけでは利益の確保が難しい状況です。加えて、ここ数年国民の調剤医療費が増加していることから、患者負担額を減らすためにも今後ますます調剤報酬が厳しく改定されるでしょう。

令和4年(2022年)の調剤報酬改定では、地域医療への貢献度を評価する「地域支援体制加算」が細分化され、実績のある薬局ほど加算できるようになりました。調剤後のフォローアップに対する算定要件も新たに加えられるなど、薬剤師としての専門性や対人スキルの重要性が増しています。国の意図を汲み取り、積極的に薬局として業務の幅を広げなければ、薬局経営は難しくなるでしょう。

1-3. ③慢性的な薬剤師不足

薬剤師の資格保有者は増えているものの、医療過疎地や郊外の薬局では、深刻な薬剤師不足が続いています。薬剤師不足の理由として、薬剤師の約6割が女性であり、結婚や育児などのライフステージの変化により休職せざるを得ないケースがあります。また、育児や家事が忙しい女性薬剤師は、昼間に働きたいというニーズが多いため、夕方から夜にかけての時間帯で薬剤師が不足している薬局も少なくありません。都心部における薬剤師不足は改善されつつあるものの、地方での薬剤不足はまだしばらく続くことが予想されます。

薬局にも24時間体制が求められる中で、どのようにして常勤薬剤師を確保するのかは大きな課題です。薬剤師の採用難を何らかの手段で打破するとともに、少ない薬剤師で効率的に業務を進める方法も検討すべきでしょう。

1-4. ④処方箋依存度の高い経営

これまでの薬局は「処方箋を受け取る場所」として利用されてきましたが、調剤薬局が溢れている今、顧客を獲得するためには患者さんに選ばれる薬局となる必要があります。調剤報酬改定で対物業務から対人業務への移行が求められていることからも、今後は薬を渡すだけでは点数の加算は難しくなるでしょう。

また、薬価も年々引き下げられているため、薬価差益を主な収益源に充てるのも危険です。時代の変化に適応できず薬を渡す事をメインに行っていると、競合する薬局に顧客を奪われてしまう可能性が高まります。

顧客拡大のためには、薬を渡す事だけでなく、プラスアルファの価値を備えなくてはなりません。門前薬局から脱却し、地域住民に親しまれる場として、薬局の価値を高める必要があります。

2. 調剤薬局の課題解決のために取り組むべきこと

調剤薬局が生き残るためには、地域住民や医療機関に対して薬局としての価値をアピールしていかなくてはなりません。今、薬局に求められている「価値」とは何でしょうか。ここからは、調剤薬局経営の課題を解決し、薬局としての価値を創出するための方向性を見ていきましょう。

2-1. 地域密着・健康サポート等による顧客拡大

調剤薬局が顧客を増やすためには、地域住民とのコミュニケーションを活性化し、地域の健康ステーションとしての役割を担いましょう。地域密着の薬局経営を行うためにも、まずは地域住民のニーズを正確に把握することが大切です。

たとえば、高齢者が多い地域では店舗販売で介護用品を充実させたり、高齢者が参加しやすい健康イベントを実施したりするとよいでしょう。子育て世帯が多い地域では、小児の病気に関する啓発活動や、主婦を中心とした女性への健康支援を強化することも考えられます。健康相談窓口を設けるなど、地域住民が訪れやすい体制を整え、地域に根差す薬局として親しまれるように工夫しましょう。

地域住民に気軽に立ち寄ってもらうためには、薬以外の健康相談も受け付ける「健康サポート薬局」の認定を受けることも1つの方法です。健康サポート薬局という標識があれば、地域住民から「健康にまつわる心配事を相談できる場所」として認識してもらうことができます。

2-2. デジタル化・在宅化推進によるサービス拡充

これからの時代で活躍する薬局となるためには、デジタル化を取り入れつつ、在宅医療への進出も考えましょう。

在宅訪問にハードルを感じている場合、システム導入によって課題解決が図れます。在宅に特化したシステムを活用すれば、報告書作成の負担軽減・リアルタイムな情報共有・薬剤師間の連携強化などの実現が可能です。

さらに、オンライン服薬指導や電子処方箋を導入すれば、遠方の患者さんに対する服薬指導がスムーズに行えるようになり、薬剤師の負担も減るでしょう。薬局の在宅訪問が軌道に乗れば、処方箋発行に依存しない薬局経営へとつながります。

また、オンライン服薬指導では、条件を満たせば薬局外からの服薬指導も可能なため、薬剤師のリモートワークも叶います。立地の悪い薬局では、リモート薬剤師を募ることが、採用難を打破するための有力な解決策となるでしょう。オンライン服薬指導は、高齢者はもちろん子育て世帯や勤労世帯などの需要も高く、在宅訪問の効率化にも役立つため、ぜひ導入を検討してください。

まとめ

調剤薬局は、集客競争の激化・薬剤師不足といった問題を抱えており、さらには調剤報酬改定が年々厳しくなっていることから、経営が困難になっています。薬局が生き残るためには、地域密着に徹したきめ細かなサポート体制を整え、デジタル化導入による業務効率化によってサポートの拡充を図る必要があるでしょう。

「KIRARI PRIMEサービス」では、薬局の在宅訪問に関するさまざまなお悩みをサポートしています。在宅支援システム「ファムケア」は、遠隔での報告書作成が可能で、円滑な多職種連携にも貢献するなど、在宅医療に特化したクラウド型報告書管理ツールです。在宅業務の効率化や、在宅患者さんのQOL向上をめざす薬局は、ぜひ「ファムケア」の導入をご検討ください。

「KIRARI PRIMEサービス」では、在宅薬局にまつわる顧客獲得やコスト削減などのご相談にも応じています。在宅薬局についてお悩みの方は、ぜひ「KIRARI PRIMEサービス」にお問い合わせください。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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