2024年度の診療報酬改定にどう対応するか? きらり薬局の対策を紹介

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2024年度の診療報酬改定にどう対応するか? きらり薬局の対策を紹介

3月5日、厚生労働省より2024年度診療報酬改定に関する説明資料が公開され、いよいよトリプル改定の実施が間近に迫っています。加算取得のためには、現場スタッフが具体的な行動に移せるよう、経営側でマネジメントをすることが重要です。

本記事では、きらりプライムサービスのオンラインセミナー「2024年度診療報酬改定に負けない! きらり薬局の対策とは?」の内容を一部紹介します。地域支援体制加算取得に向けたきらり薬局の取り組みを具体的に示していますので、薬局体制整備にお悩みの薬局経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

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1. 2024年度診療(調剤)報酬改定のポイント

2月14日、中医協総会が厚生労働省に2024年度診療報酬改定に関する答申をまとめ、トリプル改定の概要が明らかとなりました。以下に、厚生労働省による「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】(3月5日版)」をもとに、調剤報酬改定のポイントをまとめます。

  • かかりつけ機能の推進

地域支援体制加算がそれぞれ7点マイナスに。一方で、連携強化加算が2点から5点にアップし、医療DX推進体制整備加算(4点/月1回)が新設されました。地域支援体制加算のマイナス分を補うためには、基本料の加算を取り漏れないようにすることが重要です。


  • 在宅移行期・在宅療養の評価が高まる

在宅移行期のサポートとして、在宅移行初期管理料(230点)が新設。在宅が始まる前のタイミングで、薬の整理や服薬状況の確認等必要な指導を行った際に、加算を算定できるようになります。また、在宅患者訪問薬剤管理指導料では、麻薬の注射が必要な患者さんへの定期訪問回数の上限が、月4回から週2回かつ月8回に見直されました。介護保険の居宅療養管理指導でも、同様の改定が行われます。


  • 在宅におけるターミナル期の対応の推進

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料では、緊急訪問の上限回数が月4回から原則として月8回に。また、末期がんや麻薬の注射が必要な患者さんに対して、夜間訪問加算(400点)・休日訪問加算(600点)・深夜訪問加算(1,000点)が新設されます。


  • 薬剤師のチーム医療への参加を促進

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の条件が見直され、処方箋交付前に医師に相談し、提案が反映された場合にも算定できるようになります。

全体的な流れとして、在宅医療が高く評価されていることがわかります。緊急時やターミナルケア、チーム医療への参加等、薬剤師の専門性が必要な分野に対する加算が強化されました。

なお、上記は、あくまでも現時点における2024年度調剤報酬改定の概要であり、適宜加筆修正が行われる場合があります。算定要件・施設基準等の詳細については、今後正式に公表される告示・通知等をご確認ください。

2. 地域支援体制加算取得に向けたきらり薬局の対策

2024年度調剤報酬改定において、地域支援体制加算1を算定するには、『かかりつけ薬剤師指導料等の実績が20回以上』が必須です。また、地域支援体制加算2を算定するには、10項目のうち8項目以上を満たす必要があります。難易度が高いと思われるかもしれませんが、項目の内容自体は以前よりもハードルが下がっているため、一つひとつ丁寧に取り組み達成をめざしましょう。

地域支援体制加算取得に向けて、スタッフに能動的に動いてもらうには、経営側がマネジメントすることが重要です。調剤報酬改定の説明会を開いただけでは、スタッフの協力を得ることは難しいでしょう。なぜ必要なのか、何をすればよいのかを、具体的に示すことが大切です。

ここでは、地域支援体制加算取得に向けた、きらり薬局の取り組みをご紹介します。

2-1. PDCAサイクルで現場をマネジメントする

きらり薬局では、地域支援体制加算を確実に算定するため、全店舗でPDCAサイクルを実施しています。PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(現状把握)、Action(分析・対策)のプロセスを繰り返し、マネジメントの精度を高めていくフレームワークです。

2024年度調剤報酬改定では、地域支援体制加算の項目が10項目となります。これを受けて、きらり薬局ではExcelで項目の達成状況の一覧を作成し、現状把握からPDCAサイクルに入りました。

きらり薬局のPDCAサイクル


Check(現状把握)

店舗ごとに、各項目の実績と目標を記載し、目標達成までの差分を明らかにする。クリア項目・未達成項目を明確にし、地域支援体制加算1及び2の達成の有無も記載する。


Action(分析・対策)

店舗ごとに、未達成項目について、問題点の分析と対策の検討を行う。未達成項目の実績と目標の差分を記し、各店舗の店長が差分解消に向けたアクションプランを記載する。




Plan(計画)

各店舗がいつまでに何を行うか、進捗は誰がいつ確認するのかを明確にする。

各店舗:各項目の算定要件と目標数を全スタッフに周知し、納得してもらう。

管理職:各店舗の進捗管理をしつつ、不明点のサポートやスタッフへの伝達をフォローする。

Do(実行)

実行に移し、PDCAサイクルを回しながら、足りない部分を補っていく。

2-2. 【かかりつけ薬剤師指導料】スタッフが連携して声かけを行う

きらり薬局では、かかりつけ薬剤師の同意書取得のために、薬剤師・事務全員で目標を共有し、週ごとに進捗管理を行っています。かかりつけ同意書を取得するには、事務員の協力が不可欠です。受付の段階で事務員からかかりつけ制度の案内を行い、最後に薬剤師がかかりつけ薬剤師の確認を取ることで、同意書取得までのスムーズな流れがつくれます。

かかりつけ薬剤師の案内に役立つツールや環境をつくることも効果的です。きらり薬局では、かかりつけ薬剤師を持った患者さんに薬局通信を配布し、会話のきっかけをつくっています。

同意書取得の目標達成が遅れている場合は、リカバリー案を検討します。ただ漠然と声かけを行うのではなく、目標として具体的な数値を出すことが大切です。

かかりつけ同意書取得に向けたリカバリー案

声かけ→同意書取得→算定を逆算して考えます。

①同意書取得のうち、実際に算定できている割合を算出

②声かけに対して、同意書取得に至っている割合を算出

③目標達成のために声かけすべき人数を割り出し、「1日〇件声かけをする」という具体的な行動目標を設定

(きらり薬局では、10回の声かけに対し、1件の同意書取得が得られる計算)

2-3. 【服用薬剤調整支援料】減薬対象の患者さんをピックアップ

きらり薬局では、薬を6種類以上服用する患者さんを事前にピックアップし、すぐにトレーシングレポートを提出できるようにしています。処方箋を受け取ってから提案内容を考えていては、医師への提出が後回しになることも多いので、予め段取りを立てておきましょう。

服用薬剤調整支援料取得に向けた対策

①店舗ごとに、毎月第3営業日までに「減薬対象者(6種類以上内服患者限定)」を選定する。

②翌月または翌々月に、服用薬剤調整支援料が算定できたかどうかの結果入力を行う。

減薬しやすい処方例:「NSAIDs+胃粘膜保護剤」「アレルギー薬漫然処方」等

「トレーシングレポートを提出したいけど、書き方がわからない」と悩む薬剤師さんも少なくありません。きらり薬局では、トレーシングレポートの提出事例を社内で共有し、表現や書き方を参考にできるようにしています。

きらり薬局では、在宅支援システム「ファムケア」を導入しています。ファムケアでは報告書管理のほかに、トレーシングレポートの作成・提出や他店舗の症例の閲覧、提出状況の確認も行えます。ファムケアはきらりプライムサービスでも提供しているので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

2-4. 【外来服薬支援料1】在宅の新患対応で持参薬を整理する

外来服薬支援料1を算定しやすいのは、在宅の新患対応のタイミングです。きらり薬局では、在宅対応の最初に持参薬の整理を行って処方医に連絡し、一包化や日付管理のための再分包の許可をもらうことで、外来服薬支援料1の算定へとつなげています。

ただし、外来服薬支援料1を算定すると、同月内で居宅療養管理指導はできないため、居宅算定は翌月以降になる点に注意してください。点数としては居宅療養管理指導のほうが高いものの、地域支援体制加算の要件を満たしたい場合(*)は、外来服薬支援料を優先するとよいでしょう。

(*)地域支援体制加算の要件において、「外来服薬支援料1の実績」は、基本料1の場合は1回以上、基本料1以外は12回以上。

まとめ

2024年度診療報酬改定では、在宅に関する評価の拡充が行われる予定です。在宅移行期やターミナルケア、緊急対応にも焦点が当たっています。地域支援体制加算の算定条件は、よりかかりつけ機能を重視するものとなりました。しかし、要件一つひとつのハードルは下がったため、丁寧に取り組めば難しくはありません。

きらり薬局では、地域支援体制加算の項目達成に向けて、PDCAサイクルを回しています。現状と目標を見える化し、現場スタッフが具体的な行動に移せるようにフォローすることが大切です。

地域支援体制加算だけでなく、DX加算や在宅薬学総合体制加算等も、早めの準備が必要です。優先順位を決めて、体制整備に取り掛かりましょう。

きらりプライムサービスでは、在宅薬局経営の体制整備や加算取得のサポートを行っています。在宅医療についてお困りの薬局経営者の方は、ぜひきらりプライムサービスにお問い合わせください。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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【当コラムの掲載内容に関するご注意点】
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