2024年の薬局業界動向を占う4つのトピックス

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2024年の薬局業界動向を占う4つのトピックス

2024年、いよいよ医師の働き方改革やトリプル改定が施行されます。以前より、在宅医療への参入やオンライン化など変化の多い薬局業界ですが、2024年は本格的な改革が迫られそうです。

この記事では、2024年の薬局業界動向を4つのトピックスからレポートし、薬局経営のポイントについて解説します。

1. 2024年の薬局業界動向・注目トピックス4選

2024年は、6年に一度の医療・介護・障害福祉のトリプル改定が行われる、大きな節目となる年です。4月には医師の働き方改革が施行され、薬局・薬剤師の役割もさらに広がります。

ここでは、2024年の薬局業界動向で、注目したい4つのトピックスを取り上げます。

1-1. 大手調剤薬局チェーンの営業利益率が悪化

調剤報酬改定では、2018年から大手調剤薬局チェーンに対する調剤基本料の引き下げの流れが続いています。2022(令和4)年度の調剤報酬改定では、300店以上の大型チェーン薬局は、調剤基本料1を算定できなくなりました。調剤基本料1に該当しない薬局は、地域支援体制加算も3もしくは4しか算定できません。

大手調剤薬局チェーンの2023年度の営業利益率は、総じて2022年度を下回ると予想されています。今後も大手調剤薬局チェーンに対する報酬は厳しくなるでしょう。

近年ではドラッグストアをはじめ、コンビニエンスストアや物流業界などの異業種による調剤薬局業界への参入が相次いでいます。大手調剤薬局チェーンは、強力な競合と戦うためのマーケティング戦略が必要となるでしょう。

1-2. M&Aは引き続き活発化

大手調剤薬局チェーンやドラッグストアのM&Aによる業界再編は、2024年も継続すると予想されています。ドミナント戦略による新規出店が落ち着いた今、大手薬局・ドラッグストアは中小薬局を買収することでエリア拡大を図っています。

中小薬局でも、M&Aにより大手の傘下に入ることで存続を図る事例が増えています。調剤報酬改定では、対人業務や地域医療への貢献に対する評価が重視され、対物業務は実質的な引き下げとなりました。かかりつけ薬局や24時間体制に対応できず、経営不振に陥る中小薬局にとって、M&Aは有力な選択肢となっています。

2021年度までは、2〜5店舗の法人薬局の売却が盛んでした。今後はM&Aの影響をまだ受けていない、6〜19店舗の法人薬局が吸収される可能性は高いと考えられます。
(出典:厚生労働省「薬局薬剤師に関する基礎資料(概要)」P5:薬局数の推移等

1-3. M&Aは引き続き活発化

2025年、日本ではすべての団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護の体制維持が困難になると予想されています。2024年は、この「2025年問題」に立ち向かうため、医療・薬局業界では地域包括ケアシステム構築に向けた動きが本格化するでしょう。

「患者のための薬局ビジョン」において、2025年までにめざしているかかりつけ薬局化も、地域包括ケアシステムを推進する施策のひとつです。かかりつけ薬局・薬剤師が地域住民の健康の維持・促進を主体的に担うことで、地域に密着した医療提供が実現できます。

2024年度の調剤報酬改定で、在宅薬局やかかりつけ薬局に対する評価が引き上げられる可能性は高いです。医師の働き方改革によるタスクシフティングの観点からも、対人業務の比重はさらに大きくなるでしょう。

1-4. 後継者不足・人材不足が深刻化

中小薬局では、薬局経営者の高齢化が進み、後継者不足が大きな問題となっています。たとえ経営者の子どもが薬剤師になっても、薬局業界が厳しさを増しているため、事業の引継ぎを諦めるケースも増えています。

地方や郊外、離島などの医療へき地にある薬局では、薬剤師不足も深刻です。2023年の「薬剤師偏在指標等について (厚生労働省)」における地域別の薬局薬剤師偏在指標(二次医療圏別)では、東京都の区中央部が3.08に対し、島しょ部は0.43となっています。

2036年度には、島しょ部の薬局薬剤師偏在指標を0.63まで引き上げることを目標としていますが、それでも不足していることに変わりありません。後継者や人材不足を解消するために、M&Aを活用するケースも増えています。

2. 2024年の薬局経営のポイント

ここまで、2024年の薬局業界動向の予想をお伝えしました。厳しい状況にある調剤薬局ですが、ニーズを満たすサービスを提供できれば、順調に利益を出すことも難しくはありません。

ここでは、2024年の薬局経営のポイントを紹介します。

2-1. 在宅訪問対応・かかりつけ薬局化をめざす

すべての薬局は、かかりつけ薬局へと転換する必要があります。ひとつの節目である2025年を過ぎれば、かかりつけ機能を持たない薬局に対する評価は厳しくなるでしょう。

かかりつけ薬局となるためには、在宅対応・24時間対応が必須です。まだかかりつけ機能に対応していない薬局は、以下を参考に体制を整備しましょう。

  • 調剤業務を自動化する
  • ICTツールを導入して多職種連携を強化する
  • SNSを活用して患者の利便性向上をめざす
  • オンライン服薬指導を導入する
  • 在宅薬剤師の育成・採用を強化する
  • 人材シェアリングを検討する

在宅医療へ参入するためには、ICTツールやSNSを活用した薬局DXがポイントとなります。対物業務を自動化し、多職種間・薬剤師間の情報共有がスムーズになれば、少ない人員でも効率よく在宅業務をこなすことが可能です。

人材不足に悩む薬局は、人材シェアリングを活用して24時間体制を整えるという方法もあります。夜間や早朝など、人材が不足している時間だけ利用できる人材シェアリングであれば、新たに薬剤師を雇うよりもコストが抑えられるでしょう。

2-2. 物販に依存しない

収益源拡大のための施策として、物販を強化する薬局も増えています。もちろん物販は、薬局の独自性を確保するために重要な施策のひとつです。しかし、物販は毎月の売上が安定して見込めるものではないため、あくまでも薬局の付加価値として捉えましょう。物販に依存しない薬局経営を実現するには、やはり在宅対応を含めたかかりつけ機能の拡充が重要となります。

2-3. 地域密着型経営を進める

今、薬局に求められているのは、地域包括ケアシステムの一員として、地域住民の健康の維持・増進に主体的に関わることです。在宅患者さんを増やすための施策や、医療サービスの拡大に取り組み、在宅医療で活躍できる薬局をめざしましょう。

かかりつけ薬局から一歩進んで、健康サポート薬局や、地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の認定を取得し、薬局としての専門性を高めるのもおすすめです。その地域でどのような機能が薬局に求められているかを見極め、地域住民に寄り添った医療サービスを提供しましょう。

まとめ

2024年はトリプル改定や医師の働き方改革が施行され、翌年には2025年問題を控えています。薬局にとって、大きな変化が求められる年となるでしょう。

薬局業界では後継者不足・人材不足が深刻化し、M&Aは引き続き活発に行われる見込みです。在宅訪問をはじめとするかかりつけ機能を整備して地域密着型経営を推し進め、地域における薬局の価値を高めましょう。

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https://www.zaitaku-prime.com/case.html

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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