専門医療機関連携薬局とは?認定要件と薬剤師が求められる役割について解説

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専門医療機関連携薬局とは?認定要件と薬剤師が求められる役割について解説

2人に1人が一生のうちにがんと診断される日本。
がんに罹患するのは、決して珍しいことではなくなってきました。
がん患者のように専門的な治療が必要な方をしっかり管理するためにできたのが専門医療機関連携薬局です。

ここでは、専門医療機関連携薬局とはそもそもどのような役割をもっているのか、認定されるためにはどういった要件が必要なのかなどをご紹介します。

目次

専門医療機関連携薬局とは?

専門医療機関連携薬局とは、高度で専門的な薬学管理が必要な患者さんに対応するための薬局です。

薬局で専門的な調剤を行っていくことはもちろん、周辺の医療機関や薬局、施設などと連携を取ってさまざま場所で高度な薬学管理を行えるようサポートしていく働きもあります。
勤務しているすべての薬剤師ががん治療に対して専門的な知識をもっていることが特徴です。

専門医療機関連携薬局における認定要件は?

専門医療機関連携薬局の認定を受けるためには、大きくわけて次の3つの要件を満たす必要があります。
どれか1つでも欠けていたら認定を受けられないため、事前にしっかりと準備をしておきましょう。

①プライバシーに配慮した構造設備がある

  • 患者さんの服薬指導や相談に配慮した構造設備
  • 高齢者や障害者などでも円滑に利用できる構造設備

患者さんが安心して服薬指導を受けられるよう、パーティションで区切ったり個室を用意したりする必要があります。

とくにがん治療をされている患者さんの場合は、周りへの配慮が必要なケースが多くあるものです。患者さんにも周りにも不快な思いをさせないよう努めましょう。

また、体を思うように動かせない方でも利用しやすい設備を整えることも大切です。

②周囲の医療施設と情報を共有できる体制が整っている

  • 専門的な医療の提供を行う医療機関との間で開催される会議への参加
  • 専門的な医療の提供を行う医療機関に勤務する薬剤師などのスタッフに対して随時報告および連絡することができる体制
  • 専門的な医療の提供を行う医療機関に勤務する薬剤師などのスタッフに対して報告および連絡した実績
  • 他の薬局に対して報告や連絡ができる体制

がん治療に必要な情報提供を行うためには、専門的な医療機関が開催している会議へ参加する必要があります。

また、医療機関や薬局などに情報を提供できる体制に加えて、これまでに情報提供をしてきた実績も必要です。

③専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導の業務体制

  • 開店時間外の相談に対応する体制
  • 休日や夜間に調剤を応需する体制
  • 在庫として保管している傷病の区分に係る医薬品を必要な場合にほかの薬局開設者の薬局に提供する体制
  • 医療用麻薬の調剤応需体制
  • 医療安全対策
  • 継続して1年以上常勤として勤務している薬剤師の体制
  • 傷病の区分に係る専門性を有する常勤として勤務している薬剤師の体制
  • 傷病の区分に係る専門的な内容の研修の受講
  • 地域のほかの薬局に対して、がんに関する専門的な内容の研修の実施
  • 地域のほかの医療提供施設に対して、がんに関する医薬品の適正使用について情報提供

24時間、いつでも患者さんが必要とするときは対応できるような体制が必要です。
かかりつけ薬剤師がいる場合は、担当者が対応することが基本となります。

がん治療に必要な医薬品、医療用麻薬などは在庫に持っておきます。
そのほか、継続して1年以上勤務している薬剤師を置いたり、研修を受講したりなども必要です。研修を受講するだけでなく、自らが研修を主催し、情報提供に努める必要もあります。

専門医療機関連携薬局における薬剤師の3つの役割

専門医療機関連携薬局は、がんの治療に関する管理をスムーズに行うための薬局です。
治療を行い患者さんのQOLを上げる以外に、次のような役割があります。

①専門性の高い薬学的管理を行う

がんの治療は、何も入院中にのみ行うものではありません。近年では外来で抗がん剤が処方されるケースは普通にあるものです。専門医療機関連携薬局ではがんの治療を行っている患者さんがよく足を運ぶことから、専門性の高い薬学的管理が必要になります。

一般的な服薬指導に加えて副作用による吐き気や嘔吐、下痢などへの対処方法なども必要に応じてアドバイスする必要があるでしょう。皮膚障害が出ている場合は、保湿剤や洗浄剤、テーピングなどの販売も必要です。

抗がん剤での治療はこのように、さまざまな角度から治療に介入していかなければなりません。

②専門性の高い情報の発信を行う

専門性を高めるために研修を受講するだけでなく、専門医療機関連携薬局が主体となって情報を発信していくことも大切です。

ほかの薬局にがんの治療をしている患者さんが来局する可能性はゼロではありません。
いつどこに患者さんが来てもしっかり対応できるような体制を整えておく必要があるのです。
そうすることで、いつでも安心して患者さんが治療を進められるようになります。

③周囲の医療機関へ医薬品を供給する

該当の薬局だけでなく、地域全体で医薬品の供給に努めることが重要です。
そのためには、専門医療機関連携薬局が主体となって必要な医薬品を供給できる体制を整えなければいけません。

抗がん剤のなかには高額なものもあり在庫したくてもできない薬局が少なくありません。
そのような薬局へ医薬品を供給できるのは、薬局にとっても患者さんにとってもありがたいことです。

専門医療機関連携薬局に向いている薬剤師とは?

専門医療機関連携はどんな薬剤師が向いているのでしょうか?3つ考えてみたので是非チェックしてみてください。

①薬学知識を常に学ぶ姿勢がある薬剤師

がん治療など常に医療情報をアップデートする領域は積極的に勉強会に参加したり、自ら薬学知識を学ぶ姿勢がある薬剤師が専門医療機関連携薬局に向いているでしょう。
ガイドラインからエビデンスの調べ方まで薬剤師が社会に出ても学んでスキルアップをしたいと思っている方が専門医療機関連携薬局に向いていると感じます。

②専門知識を教えることが好きな薬剤師

地域活動の中で研修資料を自ら作成をしたり、発表をして知識を共有する役割が専門医療機関連携薬局にはあります。
自分だけの薬学知識にするのではなく、同じ志しを持つ薬剤師に対しても丁寧に知識を伝えられる薬剤師は向いていると思います。

③専門分野を極めたい薬剤師

今回の専門領域では「がん領域」が多く登場しました。しかしこれからは緩和領域であったりと、もう少し細分化して専門医療機関連携薬局が盛り上がっていくことが予想されます。
例えばがんの中でも遺伝子の領域であったり副作用対策チームなどもっと薬剤師が関わることが増えてくるでしょう。
患者さんから情報を頂くことはとても貴重なことですし、稀有な事例や症例などを研修や研究で没頭したいと思うような薬剤師が専門医療機関連携薬局にマッチしていると感じます。

まとめ

専門医療機関連携薬局とは、主にがん患者に対して高度で専門的な薬学管理を行う薬局のことです。
研修を受講したり周囲の医療機関へ情報を提供したりすることで認定を受けられます。

専門性の高い薬学的管理を行い、情報を回りに提供していくことが大きな役割です。
認定にはさまざまな要件を満たす必要がありますが、専門医療機関連携薬局はがんと戦う患者さんが安心して治療を受けられる環境を地域一丸となって作り上げる大切な機能です。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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