儲かる薬局と厳しい薬局の経営者はどう違う? 事業と施策を徹底比較

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儲かる薬局と厳しい薬局の経営者はどう違う? 事業と施策を徹底比較

1. 厳しい薬局の特徴-儲かる薬局との違いは?

薬局に求められる役割が多様化し、儲かる薬局と厳しい薬局の差が開きつつあります。ここでは、厳しい薬局の特徴を紹介するので、儲かる薬局との違いを見ていきましょう。

1-1. 処方箋重視

経営が厳しい薬局は、利益のほとんどを処方箋調剤に頼る傾向があります。調剤薬局のうち、約8割は診療所や病院の近隣にある門前薬局です。門前薬局は特定の医療機関からの処方箋を集中して受け付けるので、薬局の業務は主に処方箋に従った調剤となります。

本来の医薬分業の目的は、医師と薬剤師によって薬の効果や安全性についてダブルチェックを行い、より安全な薬物療法を提供することです。しかし実際は、門前薬局の増加によって、患者側も医療関係者も医薬分業のメリットを実感できていないと指摘されています。

調剤報酬改定でも門前薬局に対する評価が低くなっているため、医薬品の販売のみで収益を上げている薬局は、今後経営が厳しくなるでしょう。儲かる薬局は、処方箋調剤以外のサービスも幅広く展開しています。立地に関わらず、薬局そのものの価値を高めることが大切です。

1-2. 慢性的な人材不足

薬剤師不足が深刻で、新しいサービスや患者さんへの対応が追いつかず、経営が厳しくなる薬局も少なくありません。特に郊外や地方、離島などの薬剤師不足は深刻です。

人材不足だからといって既存の事業形態を維持していると、競合する薬局に顧客を奪われてれてしまいます。薬剤師が不足していても効率よく業務を回す方法や、薬剤師採用のためにできることを検討しなくてはなりません。

儲かる薬局では、効率がいい業務プロセスを確立しており、限られた薬剤師でも十分に対応することができます。最近は、派遣薬剤師やパート・アルバイトなど、非正規雇用の人材活用を推進している薬局も増えています。

1-3. 新サービス展開に消極的

経営が厳しい薬局は、新しいサービスに対して懐疑的になっていないでしょうか? 薬局業界が転機を迎えている今、古い経営体制に固執するのは大きなリスクです。

厚生労働省は、患者本位の医薬分業実現に向けて、2025年までにすべての薬局をかかりつけ薬局とするという目標を掲げました。現在、しっかり利益を確保できている薬局の多くは、かかりつけ薬局です。

ただし、かかりつけ薬局になるには、在宅や24時間対応が求められます。そのため、人材不足で悩む中小薬局には体制整備が難しいのも事実です。新サービスを展開するためには、人材不足や利益確保などの課題にも取り組みつつ、薬局の組織全体を見直す必要があるでしょう。

2. 儲かる薬局が取り組んでいる施策

儲かる薬局は、具体的にどのような施策に取り組んでいるのでしょうか。これから利益をしっかり確保したい薬局は、ここで紹介する施策を参考にして、経営を見直してみてください。

2-1. 地域密着型経営

これからの薬局に求められるのが、地域住民の療養や健康維持を支える地域密着型経営です。調剤薬局は薬剤師と患者さんの距離が近いので、一人ひとりと丁寧なコミュニケーションができます。この強みを活かして地域密着型経営に集中すれば、ドラッグストアや他薬局との差別化を図り、薬局のファンを増やすことが可能です。

薬局の地域密着型経営の例

  • 相談窓口の設置
  • 高齢者や子育て世帯など、地域ニーズに合わせた店舗デザイン
  • LINE、SNS、電話などによる患者さんへのフォローアップ
  • OTC医薬品や介護用品などの物販
  • セルフメディケーションのサポート
  • 夜間・休日対応

上記は、地域密着型経営の一例です。地域の特色を把握して、地域住民にとって価値のあるサービスを考えましょう。

地域における薬局の役割を明確にするために、薬局認定制度(地域連携薬局・専門医療機関連携薬局)の取得や、健康サポート薬局の認定を受けることも検討しましょう。在宅医療の需要が高まる中、専門性の高い地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の活躍の場はますます広がっていくはずです。

2-2. 在宅医療への対応

薬局の対人業務で核となるのが、在宅医療への対応です。団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には在宅患者数が増えると予想されており、国は地域包括ケアシステムの構築を急務としています。薬局が地域包括ケアシステムの一員として活躍するには、在宅訪問体制の整備が不可欠です。

在宅医療では、医師や看護師といった医療関係者と連携し、患者さんの自宅療養をサポートします。薬剤師は、患者さんの服薬指導・管理、残薬管理、処方提案などを通して、安全な薬物療法の実施に努めます。

薬局が在宅訪問をスタートするには、薬剤師育成、医療機関との連携構築、在宅業務プロセスの確立などさまざまな課題があります。在宅業務を効率よく進めるためには、並行して薬局DXにも取り組むことも大切です。

2-3. 薬局DXによる薬剤師の働き方改革

利益を確保している薬局は、ICTツールやデジタル化・IT化を導入し、薬局そのものの体制変革にも積極的に取り組んでいます。薬剤師の業務負担軽減を図るためにも、DXを進めましょう。

薬局DXで導入したいツール・システムの例

  • オンライン服薬指導
  • 電子処方箋
  • 電子薬歴
  • 電子版お薬手帳
  • 在宅業務システム
  • 調剤ロボット
  • LINE公式アカウントの運用
  • 処方箋のネット受付

オンライン服薬指導によって、薬剤師のリモートワークが可能となり、在宅業務の移動負担も軽減できます。自宅でお薬の受け取りができるオンライン服薬指導は、患者さんにとっても便利なシステムなので、ぜひ導入しましょう。

薬歴や報告書などは、手書きではなくデジタルで管理すると、ミスや入力漏れを防ぐことができます。デジタル機器が苦手な薬剤師でも扱いやすいように、シンプルな操作で使い勝手のよいシステムを選ぶことが大切です。

薬局DXをスムーズに進めるためには、薬剤師のITリテラシー向上に取り組み、システム・ツールに関するマニュアルや業務プロセスを整備することがポイントです。

2-4. 薬剤師のスキルアップ

在宅医療への貢献が強く求められる中で、薬剤師に期待される知識・スキルのレベルも上がっています。今後は末期がんや神経難病の在宅患者さんも増え、薬剤師にもより高度な薬学管理や調剤が求められるでしょう。

対人業務の質を高めるには、コミュニケーション能力も必要です。患者さんと信頼関係を築いたり、チーム医療の一員として円滑な多職種連携を図ったりと、在宅医療ではさまざまな方面でコミュニケーション能力が問われます。相手の立場を配慮して細やかなサポートをしつつ、薬学に関する高い専門知識・技術を用いて患者さんのニーズに応えていくという薬剤師像が浮かび上がります。

複雑化する薬剤師の役割に応えていくためには、薬局側が薬剤師の育成に励むことも大切です。薬局内でノウハウがない場合は、外部サービスを活用して教育制度を整えるのも有効な手段となります。勉強会や研修への参加支援や、資格取得支援などを通し、薬剤師のスキルアップをサポートしましょう。

まとめ

経営が厳しい薬局は、処方箋調剤を重視しており、人材不足に悩んでいるといった特徴があります。今後の薬局経営で利益を出すためには、在宅訪問やオンライン服薬指導などの新たなサービスにも取り組み、主体的に在宅医療に参加することが大切です。在宅訪問推進にあたって、薬剤師育成や薬局DXが課題となる場合は、外部サービスの活用を検討して体制を整えましょう。

「KIRARI PRIME サービス」は、在宅薬局経営をトータルサポートするサブスクリプションサービスです。調剤報酬加算、コスト削減、在宅業務の効率化など、課題に合わせたサービスをご提案いたします。在宅訪問経営にお悩みの薬局経営者の方は、ぜひお気軽に「KIRARI PRIME サービス」にご相談ください。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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