薬局DXの第一歩 「オンライン服薬指導&電子処方箋」の導入ガイド

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薬局DXの第一歩 「オンライン服薬指導&電子処方箋」の導入ガイド

1. オンライン服薬指導とは?

オンライン服薬指導とは、パソコン・タブレット・スマートフォンなどの情報通信機器を利用して、服薬指導を実施することです。オンライン服薬指導は、令和2年(2020年)9月より施行されています。

オンライン服薬指導の解禁に先駆け、新型コロナウイルス感染症拡大に配慮した時限的・特例的な対応として、令和2年4月に「0410対応」が発出されました。0410対応では、本来映像通信が必要であるところを、音声のみでも可能とするといった措置がなされました。

(出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の 時限的・特例的な取扱いについて」

1-1. 【令和4年9月改正】オンライン服薬指導の実施要件

これまではオンライン服薬指導と0410対応という2つのルールがありましたが、令和4年9月の薬機法改正に伴い、今後は薬機法に基づくオンライン服薬指導を行うことになります。

【令和4年9月の薬機法改正に基づくオンライン服薬指導の実施要件】

実施方法

薬剤師の判断と責任に基づき、初回からオンライン服薬指導の実施が可能

通信方法

映像及び音声(音声のみは不可)

実施する薬局・薬剤師

かかりつけ薬局・薬剤師によって行われることが望ましい

診療対象

すべての処方箋で可能

薬剤の種類

原則すべての薬剤が可能(手技が必要な薬剤は薬剤師の判断が必要)

服薬指導計画

服薬指導計画と題する書面の作成は求めず、 服薬に関する必要最低限の情報等を明らかにする

実施場所

患者:プライバシーに配慮した場所(患者の同意があれば不問)

薬剤師:患者の求めがあるもしくは異議がない場合は、薬局以外の場所でも可能。ただし、対面時と同程度に患者のプライバシーに配慮し、調剤薬剤師と連絡が取り合える状況であること。

(出典:厚生労働省「オンライン服薬指導の実施要領について」

1-2. 【令和4年9月改正】オンライン服薬指導の実施要件

①医師による診察
対面またはオンラインによって、患者さんは医師の診察を受けます。

②薬局への処方箋の送付
患者さんの希望に基づき、医療機関から薬局へ処方箋が送付されます。この際、FAXやメールなどで処方箋を受け取りますが、のちに医療機関より処方箋原本を入手し、送付された情報とともに保管する必要があります。

③オンライン服薬指導の実施
パソコンやスマートフォンなどを用いて、薬剤師が患者さんにオンライン服薬指導を実施します。服薬指導の内容は対面のときと同じで、薬の効果や注意すべき点、保管方法などを伝えます。

④会計
クレジットカード決済や代金引換などから、患者さんが任意の会計方法を選択します。クレジットカード決済を行うには、専用アプリなどの導入が必要です。

⑤医薬品の配送
薬局が患者さんの自宅へ医薬品を配送します。配送が不可能な医薬品の場合は、店頭受け取りとなる可能性もあります。

⑥服薬期間中のフォローアップおよび医師への情報提供
必要に応じて患者さんの服薬状況を確認し、医師に情報を提供します。

1-3. オンライン服薬指導のメリット

オンライン服薬指導の導入は、患者さんと薬局・薬剤師の両方にメリットがあります。

患者さんのメリット

・診療から医薬品の受け取りまでを自宅で完結できる

・感染症にかかるリスクを軽減できる

・待ち時間を短縮できる

薬剤師のメリット

・在宅訪問と併用することで業務負担が軽減する

・薬剤師のリモートワークが実現する

患者さんはオンラインで診療と服薬指導を受けることで、診察から医薬品の受け取りまでを自宅で行えるようになります。

オンライン服薬指導では、条件を満たせば薬局以外の場所からでも実施可能なため、薬剤師のリモートワークが実現します。これにより、育児や介護で自宅にいなければならない薬剤師も就労が可能となるとともに、薬局側の人材不足解消も期待できるのです。

2. 電子処方箋とは?

電子処方箋とは、処方箋をデジタルデータ化し、オンライン上で運用する仕組みのことです。2023年1月26日から、日本全国で運用がスタートしています。

電子処方箋は、オンライン資格確認等システムを基盤とし、国が運営する「電子処方箋管理サービス」を通して、医師と薬剤師間で処方箋情報のやり取りを行います。医師や薬局は電子処方箋管理サービスを利用し、複数の医療機関・薬局での処方情報を確認することが可能です。さらに患者さんの同意があれば、直近から過去3年分の処方・調剤内容も閲覧できます。

(出典:厚生労働省「電子処方箋」

2-1. 電子処方箋の利用方法

①受付/本人確認・同意
マイナンバーカードでの受付は、顔認証付きカードリーダーの画面上にて行います。患者さんはマイナンバーカードにて本人確認を行った後、過去の診療・お薬情報の提供について、「同意する」もしくは「同意しない」を選択します。健康保険証の場合は、患者さんが引換番号を提示します。

②処方箋の受け取り
患者さんから電子処方箋もしくは紙の処方箋を受け取ります。電子処方箋の場合、提出する処方箋を画面上で選択してもらいます。

③処方情報や重複投薬チェック結果の参照
電子処方箋管理サービスから患者さんの処方情報を確認し、今回の処方が安全であるかを確認します。

④医薬品の受け渡し
処方箋内容に基づき、薬剤師は服薬指導を行った上で医薬品を渡します。

⑤調剤内容の登録
電子処方箋管理サービスに、今回の調剤内容の情報を登録します。

(出典:厚生労働省「利用申請開始! はじめよう、電子処方箋〜準備作業から利用方法を解説!~ 」

2-2. 電子処方箋のメリット

ここでは、薬局が電子処方箋を導入することによるメリットを紹介します。

・直近から過去3年分の処方箋情報が確認できる

・重複投薬や薬の飲み合わせを確認できる

・オンライン服薬指導や在宅訪問をスムーズに実施できる

・処方内容を入力する手間やミスが軽減できる

・紙の処方箋を管理する必要がない

電子処方箋によって患者さんの正確な投薬状況がわかるため、より適切な服薬指導が行えます。事務業務の負担が軽減する分、対人業務の充実化も図れるでしょう。

周辺に対応している医療機関がないからといって、薬局が電子処方箋を導入しなくてよいということはありません。調剤結果を登録することは今後の重複投薬チェックにもつながりますし、患者さんが遠方で受診する必要が生じた際にもより安全な医療提供が可能となります。医療の質・信頼性向上のためにも、ぜひ電子処方箋の導入に取り組みましょう。

3. 薬局の在宅訪問推進に欠かせないデジタル化

業務量の多さや薬剤師間の連携などが課題となり、在宅訪問で思うような成果を上げれずに悩んでいる薬局は少なくありません。在宅訪問に悩む薬局にとって、打開策となるのが、オンライン服薬指導や電子処方箋を用いたデジタル化です。

オンライン服薬指導や電子処方箋の導入によって、遠方の患者さんへの服薬指導もスムーズになり、訪問先での業務負担も減ります。デジタル化をうまく活用し、質の高いサポートを維持しながら訪問数を増やしましょう。オンライン服薬指導・電子処方箋を安全に運用するためには、薬局で情報通信体制を完備することはもちろん、薬剤師に対するITリテラシーの教育も大切です。

KIRARI PRIMEサービスでは、在宅訪問に関わる業務効率化や薬剤師育成をサポートしています。オンライン服薬指導・電子処方箋導入と合わせて、在宅支援システム「ファムケア」をご利用いただくことで、さらなる業務効率化が図れるでしょう。在宅薬局・在宅訪問を推進したい薬局経営者の方は、ぜひKIRARI PRIMEサービスにご相談ください。

まとめ

オンライン服薬指導・電子処方箋は既に運用が始まっており、今後さらに患者さんからのニーズも見込まれるため、薬局DXの第一歩としてぜひ取り入れたいサービスです。デジタル化によって医療機関や患者さんとの連携が強化され、より質の高い医療を提供することができます。もちろん、在宅訪問の業務効率化にもつながるため、オンライン服薬指導・電子処方箋の導入を検討している薬局経営者は、ぜひ導入に向けて動き始めてください。

在宅薬局経営を支援するKIRARI PRIMEサービスでは、在宅訪問や薬局DXに関わるさまざまな課題解決や改善をサポートしています。オンライン服薬指導や電子処方箋の導入・運用についてお困りの薬局経営者の方は、ぜひKIRARI PRIMEサービスにご相談ください。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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