「2025年に生き残る薬局」をめざして 今から取り組みたい6つのテーマ

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「2025年に生き残る薬局」をめざして 今から取り組みたい6つのテーマ

1.薬局ビジョン実現に向けたアクションプランとは

令和4年7月、厚生労働省から「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ〜薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン〜」(以下アクションプラン)が公表されました。このアクションプランでは、薬局・薬剤師を取り巻く環境の変化や課題をふまえて、今後の薬局薬剤師の方向性が打ち出されています。

アクションプランが作成された背景として、医療機関の近隣にある調剤薬局が多いこと、薬局ビジョンが達成からほど遠いことなどが挙げられます。超高齢社会となる2025年に備え、「薬を渡す場所」ではなく「地域住民が気軽に相談できる場所」としての薬局の機能が求められているのです。

(出典:厚生労働省「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能 に関するワーキンググループ とりまとめ ~薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン~」 )

2.薬局が取り組むべき6つのテーマ

アクションプランの基本方針には、「対人業務のさらなる充実」「ICT化への対応」「地域における役割」の3つがあり、これらを実現するために4つの方向性を示しています。

アクションプランをもとに、2025年に生き残るために薬局が取り組むべきテーマを見ていきましょう。

2-1.患者さんファースト

今、薬局は、対物業務から対人業務への転換期に来ています。患者さん一人ひとりの相談に応じられるよう、薬剤師には薬学や法令に関する深い知識や、信頼に結びつくコミュニケーション能力が必要です。患者さんの小さな変化に気づいて声をかける、生活習慣に応じたアドバイスを行うなど、薬剤師から積極的かつ丁寧なコミュニケーションが求められます。

薬局内においては、キッズスペースを設ける、利用者層に応じた健康食品や雑貨を販売するなど、患者さんが過ごしやすい環境を整えることも大切です。開放感のある内装にリフォームして、患者さんが訪れやすい空間を演出している薬局もあります。

「患者さんファースト」は、頂いたご要望をすべて叶えるということではなく、あくまでも「診療・サービスの中心に患者さんを据える」ということです。個々の状況に応じた適切なアドバイスや処方を行うというサービスの本質を軸としながら、改善を図っていけばいいでしょう。

この後に紹介するテーマも、結果的に患者さんファーストにつながります。制度に則るだけではなく、「自分たちにしかできない患者さんファースト」について考えてみましょう。

2-2健康サポート

健康サポートとは、かかりつけ薬局・薬剤師が、地域住民に対して主体的に健康の維持増進を支援することをいいます。具体的には、下記のような取り組みが健康サポートに該当します。

・健康相談の受付

・必要に応じた受診勧奨や医療機関の紹介

・地域薬局に対する情報発信や健康サポートの取り組み支援の実施

一口に健康サポートといっても、薬局により取り組みは様々です。健康情報冊子の作成・健康講座の実施など、地域住民へ向けた情報発信や啓蒙活動のほか、ワールドカフェを開催して多職種連携の強化を図る事例もあります。

かかりつけ機能に加えて健康サポート機能を有し、一定の基準を満たした薬局は、「健康サポート薬局」として認定を受けることが可能です。健康サポート薬局になることはアピールにはなるものの、認定を受けることを目的とせず、薬局の役割を自覚して能動的な活動を進めることが大切です。

(出展:厚生労働省「健康サポート薬局のあり方について」

2-3.かかりつけ薬局

「患者のための薬局ビジョン」では、2025年までにすべての薬局がかかりつけ薬局になることをめざしています。

かかりつけ薬局の3つの機能

・服薬情報の一元的・継続的管理

副作用や効果を確認し、継続的に薬学的管理や指導を行います。

・24時間対応・在宅対応

開局時間外の夜間や休日にも相談に応じ、在宅訪問も行います。

・医療機関との連携

患者さんの状態を把握し、必要に応じて医師への情報共有や医療機関への受診勧奨を行います。

(出典:厚生労働省「患者のための薬局ビジョン 概要」

地域包括ケアを充実させるためには、かかりつけ薬局・薬剤師の存在は欠かせません。患者さんの健康不安を解決に導きながら、親身にサポートすることが求められています。

かかりつけ薬局の数は年々増加しているものの、まだすべての薬局が対応しているわけではありません。一方で、調剤報酬改定によってかかりつけ機能に対する評価は強化されており、今後はかかりつけ薬局とそうでない薬局とで点数にも大きな差が開くと思われます。2025年に生き残るためには、かかりつけ薬局となることが必須条件といえるでしょう。

2-4.地域密着

薬局には、地域住民の健康維持をサポートする「健康ステーション」としての役割が期待されています。地域住民がいつでも気軽に相談でき、患者さんひとり一人と密なコミュニケーションを取れる地域密着型の薬局をめざして、さまざまな活動に取り組みましょう。

地域密着型の薬局となるためには、対人業務の充実化が求められます。継続的な服薬指導や処方提案、主治医へのフィードバックなど、あらゆる角度から患者さんをサポートすることが重要です。かかりつけ機能の強化も欠かせない要素となるでしょう。

地域に根差すためには、地域住民のニーズに応じた活動を展開する必要があります。たとえば、子育て世帯が多い地域では子供向けの体験イベント、自然の多い地域では季節を感じられるウォーキングイベントの開催など。何気ない会話の中から「患者さんが求めていること、知りたいこと」を汲み取って、イベントを考えてみましょう。

2-5.在宅訪問推進

薬局の在宅訪問では、薬剤師が患者さんの自宅や施設に訪問して直接薬を届け、服薬指導や薬剤管理を行います。かかりつけ薬局になるためには、在宅訪問を行っていることが条件のひとつです。地域包括ケアの重要性を考えても、在宅訪問には積極的に取り組むべきと言えます。

在宅訪問において、薬剤師には幅広い医療知識とコミュニケーションスキルが求められます。患者さんの不安に寄り添い改善策を提案したり、ケアマネジャーや主治医と連携したりといった、きめ細かなサポートができる人材が必要です。

薬局が在宅訪問を始めるには、在宅訪問に関する申請・届出を行う必要があります。薬局が在宅訪問サービスを開始するステップについては、こちらの記事に詳しく記載しているので、ぜひ参考にしてください。(リンク:「在宅医療を推進する薬局が増加中!

在宅訪問サービスをスムーズに始める6つのステップ」などの記事)

2-6.薬局DX

対人業務の質向上をめざすには、業務を効率化し、薬剤師の負担を減らさなければなりません。そこで取り組みたいのが薬局DX(デジタルトランスフォーメーション)です。薬局におけるDXとは、デジタル技術を活用して、薬剤師の業務や患者さんとの関わりに変革を起こすことを言います。

既に利用できるシステムとしては、クラウド型電子薬歴や、電子処方箋、電子版お薬手帳などが挙げられます。オンライン服薬指導アプリなどで、ICTを用いたフォローアップもできるようになっています。

今後は、医師・薬剤師・患者さんが情報共有できるツールなども開発されるでしょう。ICTを積極的に導入するとともに、薬剤師のITリテラシーの向上にも努める必要があります。

3.まとめ

2025年には超高齢社会を迎え、薬局には地域包括ケアシステムを支える主体的な活動が求められています。次代で生き残る薬局となるためには、”薬中心”ではなく、”患者さん中心”へと転換しなくてはなりません。そのためには、かかりつけ機能の強化、在宅訪問推進、地域密着、薬局DXなどに取り組む必要があります。薬剤師の育成も重要なポイントとなるでしょう。

「KIRARI PRIMEサービス」は、在宅薬局や薬局経営のお悩みを、きらり薬局が培ったノウハウを活かして解決に導くサービスです。在宅訪問はもちろん、薬剤師育成や広告・宣伝といったお悩みにも応じています。これからの時代に必要とされる薬局をめざす方は、ぜひ担当者までお気軽にご相談ください。


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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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