0402通知による薬局の対応は?見直し範囲について

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非薬剤師がどこまで調剤業務に介入してよいのか、ということは以前から問題視されていました。ピッキングの補助や一包化など、「これって大丈夫?」と思われる業務を非薬剤師が行っている様子は決して珍しいものではありません。

グレーゾーンとされてきた非薬剤師の業務内容について言及されたのが、いわゆる0402通知です。具体的に0402通知にはどのような内容が記されているのでしょうか。

今回は0402通知の内容や狙い、これからの薬剤師業務で見直すべき点などについて解説します。

目次

0402通知とは?

0402通知とは、2019年に厚生労働省から出された「調剤業務のあり方について」という通知のことです。4月2日に出されたため、0402通知と呼ばれています。

0402通知では、非薬剤師が具体的にどこまで調剤業務をフォローしてもよいのかについて、明確に基準が出されました。

0402通知の狙いは?

0402通知が出されたのは、薬剤師が対人業務を充実させられる環境を整えるためです。薬剤師の業務負担を一部減らすことで、患者さんと向き合う時間を増やそうという狙いがあります。以下の条件を満たせば、非薬剤師でも調剤業務が行えるようになりました。

ただし、軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は薬剤師でないとできません。

薬剤師、非薬剤師の業務範囲の変化

0402通知が出されたことで、非薬剤師でも行える業務が明確になりました。その影響でこれまでは頼んでよいかわからなかった業務を任せられるようになり、非薬剤師の業務が変化した印象が見られます。

一定の条件下における調剤業務のほかに、次のような業務についても0402通知で「調剤に該当しない行為」として見なされました。

これらの行為が正式に認められたため、ピッキングをはじめ非薬剤師によるお薬カレンダーのセットや納品された医薬品を納める行為などの業務が以前より増加傾向にあります。

一方で薬剤師は、薬剤師にしかできない調剤行為や患者さんとの対面業務に時間を割けるようになりました。

「対物中心」から「対人中心」

0402通知が出された背景には、薬剤師の業務を対物から対人にシフトしようとする動きがあります。対物業務とは薬袋の作成や薬剤師監査、在庫管理など薬中心の業務のこと、対人業務とは処方内容のチェックや在宅訪問、副作用のフィードバックなど患者さん中心の業務のことです。

0402通知では、対物業務のうち非薬剤師でも安全を確保したうえで行えると判断されたものに関して許可が出されました。この結果、薬剤師は対物業務ではなく対人業務により大きなウェイトをかけられるようになったのです。

非薬剤師に業務などの実施に係る手順書を整備する

0402通知には、組織内統制を確保し法令遵守体制を整備する観点から、当該業務の実施に係る手順書の整備、当該業務を実施する薬剤師以外の者に対する薬事衛生上必要な研修の実施その他の必要な措置を講じることが明記されています。今後は薬剤師以外の者に業務を実施させる場合、手順書の内容を細かく整備する必要があります。

例えば計数調剤、薬の配置のルールを明記、説明をして手順書を作成するなど準備する必要があるでしょう。

0402通知による、見直し内容について

0402通知により、薬剤師と非薬剤師の業務内容に大きな変化が見られました。また、より対人業務に力を入れられるよう、薬剤師の働き方についても見直しが行われています。

対人業務の構築

対人業務が重要視されるようになったのは、厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」がきっかけです。「対物業務から対人業務へ」と書かれていたことから、薬剤師は対人業務へ力を入れるようになります。

服薬指導/薬歴管理

もっとも基本であり重要な対人業務が服薬指導や薬歴管理です。非薬剤師に対物業務を行ってもらうことで、薬剤師が服薬指導や薬歴管理を集中して行えるようになります。

良質な服薬指導や薬歴管理を行うことで、薬を渡したその場限りでなく服薬を開始した後のフォローまで行っていくことが大切です。

服薬フォロー

服薬を始めた後まで患者さんを見ていくためには、服薬フォローを行う必要があります。服薬フォローとは、服薬指導をして患者さんにお薬をお渡しした後も継続的に使用状況のチェックを行っていくものです。

0402通知により薬剤師の対物業務を減らすことができれば、服薬フォローのように患者さんがお薬を自宅に持ち帰ったあとのことまでサポートできるようになります。

在宅対応

2022年には団塊世代が後期高齢者となり始めることから、より対人業務が重要視されるようになるでしょう。対物業務の負担を減らし、在宅対応ができる仕組みや環境を作っていく必要があります。オンライン服薬指導もうまく取り組めれば、在宅に割く時間を捻出することが可能です。

システム導入の検討

対人業務にあてる時間の割合を増やすためには、システムの導入も検討してみましょう。たとえば調剤過誤防止システムや電子薬歴システムなどです。
電子薬歴システムは導入している薬局が大多数であるかと思いますが、近頃ではタブレットを利用したシステムもあるのをご存知でしょうか。気軽に持ち運べるため、カウンターだけでなく患者さんが待つ席でも薬歴の記入や確認ができます。

まとめ

0402通知により、非薬剤師でも行ってよい業務内容が明確化されました。その影響により、薬剤師はこれまでよりも対人業務に時間を割けるようになったのです。薬剤師でなくてもできる業務と薬剤師でなければいけない業務とをきっちり線引きすることで、業務の効率化を目指します。

これにより、服薬指導や服薬フォロー、在宅業務にも時間を割きやすくなるでしょう。団塊世代が後期高齢者になる2022年を迎えた今、いかに対人業務を集中して行える環境を作れるかが重要です。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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