KIRARI PRIME(きらりプライム)
調剤薬局の経営は、年々厳しさを増しています。今後、安定的に利益を確保するには、無駄なコストを省き、地域医療への貢献に主体的に取り組むといった工夫が必要です。薬局が生き残るためにも、早い段階で経営改善に着手しましょう。
今回は、薬局業界の最新トレンドを考察した上で、薬局経営改善のために手を打ちたいポイントを解説します。利益確保や売上拡大にお悩みの薬局経営者の方は、ぜひご覧ください。
目次薬局業界は目まぐるしく変化しており、調剤薬局は大きな転換期を迎えています。薬局経営を見直す前に、まずは調剤薬局業界の現状を把握しておきましょう。
高齢化が進む日本では年々医療費が増加しており、2022年度では前年度に比べて約1.8兆円の増加(*)となりました。団塊世代が75歳以上となる2025年以降はさらなる医療費の増大が予想されており、国はさまざまな政策を打ち出して医療費の削減を図っています。
医療費を削減するということは、調剤報酬や薬価による収益が見込めなくなり、薬局の収入が減るということです。このため、以前と同じ経営を続けていても、利益を確保することは難しくなっています。
医療費削減の施策のひとつに、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及推進があります。ジェネリック医薬品は薬価が低いので、薬局としては先発医薬品を扱う場合よりも利益が減ってしまいます。
薬価改定では原則として薬価が引き下げられるため、薬価差益による収益が見込めなくなっています。以前は薬価差益が30%を超えることもありましたが、現在では10〜20%が妥当です。
調剤報酬改定では、対物業務よりも対人業務への移行を促しています。処方箋調剤よりも、地域医療への貢献や、患者さんへのサポートに対する評価が拡充しています。処方箋調剤に依存した薬局経営は見直す必要があるでしょう。
*(参照:「令和4年度 医療費の動向」を公表します ~概算医療費の年度集計結果~(厚生労働省)
薬局業界で勢力を拡大しているのが、大手ドラッグストアです。ここ4年ほど調剤薬局市場が横這いであるのに比べて、ドラッグストア市場は約1.3兆円もの規模拡大に成功しています。
調剤薬局市場とドラッグストア市場の市場規模比較
調剤薬局市場 |
ドラッグストア市場 |
|
2018年 |
約7.4兆円 |
約7.2兆円 |
2021年 |
約7.7兆円 |
約8.5兆円 |
これまで大手ドラッグストアは、特定の地域に多数の店舗を出店し、その地域において競合よりも優位性を得る「ドミナント戦略」が採用されてきました。しかし、現在は大手ドラッグストアの店舗数は過剰傾向にあり、ドミナント戦略にも限界が訪れています。そこで、単なる市場拡大よりも、M&Aによるシェアの奪い合いが加速しているのです。
今では、大手ドラッグストアの大半が調剤薬局を併設しています。資金力やブランド力で劣る中小規模の調剤薬局は、非常に不利な状況です。今後も薬局業界では、大手ドラッグストアのM&Aによる再編が進むでしょう。
調剤薬局では、経営者の高齢化と後継者の不在も課題となっています。高齢化が進む日本では、後継者問題は薬局に限らず、すべての業界で共通する課題といっても過言ではありません。
これまでは家業として、経営者の子どもが調剤薬局を継承するのが一般的でした。しかし、今は経営者の子どもが必ずしも後を継ぐというわけではありません。中には、診療報酬改定や薬価改定を不安視し、子どもへの承継を躊躇する薬局経営者もいます。
現在後継者候補がいない薬局は、主に以下3つから事業の将来を選択する必要があります。
①親族や従業員から後継者を探す
②M&Aにより第三者に事業承継をする
③外部から経営者を招いて第三者に承継する
どのような選択肢を選んだとしても、事業承継を行うには事前準備が必要です。特に後継者が高齢の場合は病気や事故のリスクも高く、後継者問題を後回しにするのは得策とはいえません。後継者問題については十分に検討を重ね、スケジュールを立ててじっくり取り組む必要があります。
かつては「出店するだけで儲かる」と言われた調剤薬局ですが、今はさまざまな要因が重なり、薬局経営は厳しくなっています。薬局の規模が小さくなるほど、経営が厳しいと感じる場面は多いでしょう。
調剤薬局の経営を安定させるには、これからの時代を見据えた経営へとシフトすることが大切です。ここでは、厳しい薬局経営を改善するためのポイントを解説します。
薬価差益を少しでも多く確保するには、医薬品購入コストを抑える必要があります。ただ、中小薬局は大手チェーン薬局に比べて購入規模が小さいので、医薬品卸との価格交渉が進まないケースがほとんどです。
中小薬局が医薬品購入コストの削減を図る方法として、「医薬品購入交渉代行」もしくは「共同購入」があります。医薬品購入交渉代行・共同購入サービスを活用すれば、大手並みの購買力によって医薬品購入価格を抑えることが可能です。
薬局と医薬品卸との間に第三者の企業が介入し、価格交渉などを行うこと。
ボランタリーチェーンなどに加盟し、複数の薬局と同時注文・大量購入を行い、価格を抑えて医薬品を仕入れること。 |
医薬品交渉購入代行・共同購入サービスを利用する際には、医薬品卸や購入医薬品の指定がないか、毎月のコストはどれくらいか、注文システムの指定がないか、といった点を確認しましょう。できれば懇意にしている医薬品卸との関係性に変化がなく、従来通りの注文方法を継続できるサービスがおすすめです。
薬局の経費のうち、医薬品購入コストに次いで割合が高いのが人件費です。経営店舗数が少ない中小薬局ほど、人件費が高い傾向にあります。
人件費は、削ればよいというものではありません。過度に人員を削減すると、1人あたりの業務負荷が増大し、薬剤師の離職につながる恐れもあります。人件費の見直しは、薬剤師に負担がかからない範囲で行うことが大切です。
人件費の見直しと合わせて、人事戦略について見直すことも重要です。対人業務の拡充や薬局DXを軸とし、かかりつけ薬局にふさわしい薬剤師の採用・育成を検討しましょう。
人事戦略見直しのポイント
薬剤師が患者さんとのコミュニケーションに十分な時間を充てられるよう、対物業務の効率化は積極的に進めましょう。在宅医療では薬剤師に高い専門性が求められるため、薬剤師が勉強を続けられるようにサポートすることも大切です。
まだ在宅医療へ参入していない薬局は、在宅対応・24時間対応を整備することで、新たな収入源が得られます。在宅訪問・24時間対応は、かかりつけ薬局となるためにも必須の要件です。今後、かかりつけ機能を持たない薬局は、大手ドラッグストアや大手チェーン薬局に淘汰されていくと考えてよいでしょう。
ただ、中小薬局では薬剤師不足が深刻で、在宅医療に参入したくても時間や労力を割くことができないと悩む経営者もいます。中小薬局が限られた薬剤師の数で在宅医療に参入するためには、薬局DXによる組織変革が鍵となります。
在宅医療参入のために薬局がすべきこと
薬局DXで効率的な働き方を実現できれば、「働きやすさ」に惹かれて応募する薬剤師も増えるはずです。オンライン服薬指導や報告書作成システムなどをうまく活用し、在宅業務の無理・無駄を省きましょう。
資金が少ない中小薬局は、薬価コストの削減などによって在宅業務に投資できるよう工夫することも大切です。
医療費削減、大手ドラッグストアによるM&A、後継者不足など、薬局業界ではさまざまな課題が深刻化しています。特に、資金力・ブランド力の低い中小薬局は、大手薬局より不利な状況です。
調剤薬局の経営を改善するには、薬価コスト削減・人件費削減による利益確保や、在宅医療参入による売上確保のための施策を練ることが大切です。オンライン服薬指導やシステムの導入を検討し、薬剤師の働き方改革を進めて組織としての変革を促しましょう。
「KIRARI PRIME サービス」では、在宅訪問スタートから患者獲得まで、在宅薬局経営をトータルサポートしています。在宅業務の効率化、薬価コスト削減など、薬局経営でのお悩みがあればお気軽にご相談ください。
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