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KIRARI PRIME(きらりプライム)
薬局における新規開業では、立ち上げの際にどのような考えを持つべきなのでしょうか?
チャンスに出会っても慎重にいくべきか、それとも勢いでいくべきか。
薬局に関係する予算や資金繰り、物件探しなど、事前に考えて決めることは多いです。
今回は実際に軌道に乗るにはどのくらいの時間がかかるのか、そして新規立ち上げ以外の開業方法も記載しているので、参考にして下さい。
目次新規薬局の独立・開業のパターンを以下に示します。
①クリニックの医師が院内処方から院外処方に切り替えるタイミングで開業する
院内で調剤していたクリニックが院外へ処方箋を出すタイミングで、薬局の独立開業を実施します。事前に医師との交友関係を作る必要がありますし、どんな薬を処方するのかまで密に話し合うことも大切です。また、今まで医師に付いている患者さまが薬局に流れてくる可能性が高いので、初月から売り上げ予測がしやすい特徴があります。
②病院勤務の医師がクリニックに独立する際に一緒に薬局を開業する
急性期病院などで勤務をする医師が独立をするタイミングで、一緒に薬局を独立開業する方法です。
スタートは患者さまが多くない可能性があるので、資金繰りのシミュレーションは大切になります。お互いがゼロからの立ち上げになるので、団結力は強くなる特徴があります。
資金繰りとは資金の出入りを確認して不足しないように調整することを指します。
新規開業をする際は特に資金繰りに注意する必要があるでしょう。
例えば薬局のランニングコストとして主に以下が挙げられます。
・人件費
・薬の仕入れ費用
・家賃
・光熱費
・雑費
支出の割合としては薬の仕入れ費用と人件費が高くなります。
また立地によっては家賃も大きな支出になるので、資金繰りとして毎月の支出をどう抑えるのかがポイントになります。固定費は3ヵ月分以上のキャッシュを用意しておくと良いでしょう。
クリニックとマンツーマンの薬局開業をするためには協力をしてくれる医師を探す必要があります。
大きく探し方は3つあると考えます。
1つ目は「病院勤務をしている医師の中から探す方法」
市中病院に勤務をしている医師の中には自身のクリニックを持ちたいと考えている方が一定数います。薬剤師が一緒にする際に信頼を得ていけば、独立をするタイミングで一緒に新規開業が出来るケースがあります。
2つ目は「既存クリニックの院内処方から院外処方に営業をする方法」
クリニックに営業訪問をする際に、医師と親しくなり、開業する際に声を掛けてもらう方法になります。一緒に地域の医療を盛り上げること、そして薬局側としても患者さまを一緒にサポートする姿勢が重要になります。
3つ目は「医師の紹介会社を利用してマッチングする方法」
開業する医師を斡旋する企業があるので利用をして医師を繋げてもらいます。
しかし紹介料がかかるので資金と相談をして決めなければいけません。
新規開業をする際は物件探しを事前に済ませておく必要があります。すでにクリニックが存在していて、院内から院外処方になるタイミングの際に物件を検討していては遅いです。
事前にクリニック周辺のテナントを探したり、土地が空くかどうかも考えて動く必要があります。
医師と一緒になって独立をする場合でも地場の不動産業者との付き合いは大切になります。
是非、地元に強い不動産会社と親しくなっておきましょう。
参考までに物件探しには以下をおさえておくべきです。
・薬局に休憩室があるか
・配線やコンセントの位置
・周辺にライバルとなる薬局はあるのか
・地域の人口増減率はどうか
・賃貸にするのか購入するか
・予算は適切か
・構造設備基準を満たしているか
新規オープンの場合は初月からの黒字化は難しいです。
処方箋が増えれば増えるほど収益が増えるので、クリニックと上手く連携できる薬局であれば数年で軌道に乗ることが出来ると思います。
応需する診療科によりますが、薬局の単月黒字化は約1年、初期投資の回収は約3年を目安に考えると良いでしょう。門前だけでなく、在宅を同時に検討することも重要です。在宅の処方を応需することで、1枚あたりの技術料をあげることを意識してみてください。
処方箋を多く需要出来れば、新規開業独立でも利益を出すことが可能です。
診療科目によりますが、処方箋枚数が1日30枚から受けることが出来れば薬局として軌道に乗せることが出来るでしょう。
薬局経営はいかに多くの患者さまに来てもらえるか、そしてコストを抑えるかが鍵になります。
新規開業独立以外にも薬局経営には方法があります。
①フランチャイズ
独立支援やフランチャイズ制度を利用して開業
独立支援やフランチャイズ制度のある会社で働いて独立をする方法です。数年間勤務をしてノウハウを学びながら、薬局開業を目指します。
②後継のいない薬局
M&Aの仲介会社を利用して独立
後継者のいない薬局を狙います。事業継承や株式譲渡などM&Aをして薬局を独立開業する方法です。貯金をある程度貯めておく必要があり、比較的に早いスピードで独立が出来ます。
新規開業で薬局を立ち上げるときに考えるべきことは
・資金繰り
・医師との繋がり
・物件探し
などが挙げられました。
開業時にはある程度の貯金が必要になり、キャッシュフローを予想しながら経営していくことが大切です。そして新規開業以外には、フランチャイズ制度やM&Aをすることで独立開業をすることが可能となること。いずれにせよ、いかに患者さまが来てくれる取り組みをするか、そして、人件費や薬剤費などのコストを抑えるか、在宅も検討し技術料をあげることの3点が鍵となります。
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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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