在宅薬局経営で利益を上げるために必要な施策とは? 調剤報酬加算促進、デジタル化、時間外ニーズ対応…
外来から在宅薬局へと移行し、「何となく」在宅業務を進めていないでしょうか? 在宅には、在宅に適した体...
KIRARI PRIME(きらりプライム)
2024年の調剤報酬改定では、地域支援体制加算の点数が引き下げられ、地域医療への貢献実績がより重視されました。特に、地域支援体制加算1及び2については、実績要件が厳格化されたため準備が大切です。
本記事では、2024年度調剤報酬改定の地域支援体制加算について、変更のポイントや実績要件、経過措置をわかりやすく解説します。薬局経営の方針を検討する際の参考にしてください。
2024年度調剤報酬改定では、地域支援体制加算の評価が厳格化されました。下図は、厚生労働省より公開された資料の一部です。
(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)
共通の施設基準は、かかりつけ機能を中心に、より地域医療への貢献を求める内容となっています。実績要件は①〜⑩に統合されて4区分共通となり、地域支援体制加算1及び2では満たすべき項目数が増える点に注意してください。
2024年度調剤報酬改定では、4区分すべてにおいて、7点引き下げとなります。これは、3点引き上げとなった調剤基本料との調整を図るためだと考えてよいでしょう。
現行 |
改定後 |
|
地域支援体制加算1 |
39点 |
32点 |
地域支援体制加算2 |
47点 |
40点 |
地域支援体制加算3 |
17点 |
10点 |
地域支援体制加算4 |
39点 |
32点 |
また、医療DX推進体制整備加算や在宅薬学総合体制加算の新設により、基本料の加算が拡充化される点にも注目です。基本料の加算をしっかり取ることで、地域支援体制加算のマイナス分を補うことができます。
基本料の加算(地域支援体制を除く)
後発医薬品調剤体制加算 (変更なし) |
加算1(80%以上) |
21点 |
加算2(85%以上) |
28点 |
|
加算3(90%以上) |
30点 |
|
連携強化加算 |
(2点→)5点 |
|
(新)医療DX推進体制整備加算 |
4点/月1回 |
|
(新)在宅薬学総合体制加算1 |
15点 |
|
(新)在宅薬学総合体制加算2 |
50点 |
(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)
在宅薬学総合体制加算2の算定にあたっては、加算1の基準を満たした上で、麻薬6品目以上の備蓄や、無菌調剤設備などの条件を満たす必要があります。在宅医療に積極的に取り組む薬局であれば、ぜひ取得をめざしたい加算です。
地域支援体制加算の4区分には、共通の施設基準があります。以下に、2024年度調剤報酬改定において、変更・新設される共通施設基準の要件をまとめます。
2024年度調剤報酬改定で変更・新設される共通の施設基準の要件
|
現行で地域支援体制加算1の実績要件である「麻薬小売業者免許」「かかりつけ薬剤師指導料」「在宅実績24回以上」の3つは、共通の施設基準へと変更されます。これにより、地域支援体制加算を算定するには、在宅医療への参入及び実績が必須となります。
ここからは、地域支援体制加算4区分それぞれの実績要件を見ていきます。地域支援体制加算1及び2については、クリアしなければならない項目が増えたため、達成に向けて計画的に動くことが大切です。
地域支援体制加算1・2の実績要件は、以下の通りです。
要件 |
地域支援体制1 |
地域支援体制2 |
||
現行 |
改定後 |
現行 |
改定後 |
|
39点 ①②④+⑧or⑩ |
32点 ④含む 3項目以上 |
47点 3項目以上 |
40点 8項目以上 |
|
①夜間・休日等の対応加算 |
40回 |
400回 |
40回 |
|
②麻薬の調剤加算 |
免許取得 |
1回 |
10回 |
1回 |
③重複投薬・相互作用等防止加算 |
20回 |
40回 |
20回 |
|
④かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料 |
届出・実施 |
20回 |
40回 |
20回 |
⑤外来服薬支援料1 |
1回 |
12回 |
1回 |
|
⑥服用薬剤調整支援料1及び2 |
1回 |
1回 |
1回 |
|
⑦単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 |
24回 |
24回 |
24回 |
24回 |
⑧服薬情報等提供料 |
12回 |
30回 |
60回 |
30回 |
⑨小児特定加算 |
ー |
1回 |
ー |
1回 |
⑩多職種連携会議への参加(年間回数) |
1回 |
1回 |
5回 |
1回 |
※①~⑨は直近1年間の処方箋受付回数1万回当たりの実績
(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)
地域支援体制加算1及び2では、求められる項目数は多くなりましたが、実績回数は現行より少なくなっています。
地域支援体制加算1については、「かかりつけ薬剤師指導料20回以上」が必須となる点に注意してください。また、服薬情報等提供料も12回から30回に増加しています。
地域支援体制加算2では、10項目中8項目と、ほぼすべての要件をカバーする必要があります。実績回数の多いかかりつけ薬剤師指導料や服薬情報等提供料については、継続的に算定できる仕組みを整えておくことが大切です。
地域支援体制加算3・4の実績要件は、「⑨小児特定加算の算定実績(1回以上)」が追加されたのみで、大きな変更はありません。
地域支援体制加算3及び4の実績要件は、以下の通りです。
要件 |
地域支援体制3 |
地域支援体制4 |
||
現行 |
改定後 |
現行 |
改定後 |
|
17点 麻薬小売業者免許取得+④⑦含む3項目以上 |
10点 ④⑦含む 3項目以上 |
39点 8項目以上 |
32点 8項目以上 |
|
①夜間・休日等の対応加算 |
400回 |
|||
②麻薬の調剤加算 |
10回 |
|||
③重複投薬・相互作用等防止加算 |
40回 |
|||
④かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料 |
40回 |
|||
⑤外来服薬支援料1 |
12回 |
|||
⑥服用薬剤調整支援料1及び2 |
1回 |
|||
⑦単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 |
24回 |
|||
⑧服薬情報等提供料 |
60回 |
|||
⑨小児特定加算 |
1回 |
|||
⑩多職種連携会議への参加(年間回数) |
5回 |
※①~⑨は直近1年間の処方箋受付回数1万回当たりの実績
(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)
地域支援体制加算3及び4を算定する薬局は、実績要件よりも、共通の施設基準に注意が必要です。麻薬小売業者免許取得やかかりつけ薬剤師の届出が加わっているため、施設基準の漏れがないようにしてください。
(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)
2024年度調剤報酬改定において、地域支援体制加算は厳格化され、より地域医療への貢献が求められる内容となります。共通の施設基準では、「かかりつけ薬剤師指導料の届出」「麻薬小売業者」「在宅実績24回以上」が必須となりました。
地域支援体制1及び2の実績要件については、実績回数は少なくなったものの、満たすべき項目数が増加します。地域支援体制加算2は、10項目中8つ満たすことが条件です。一つひとつの項目を確実にクリアできる仕組みを整えましょう。なお、地域支援体制加算3及び4については、「小児特定加算(1回以上)」が追加されたのみで、大きな変更はありません。
地域支援体制加算の点数は、4区分すべてで7点引き下げとなっています。基本料の加算をしっかり取り、マイナス分を補いましょう。
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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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