【調剤報酬改定2024】地域支援体制加算の要件と変更のポイントをわかりやすく解説!

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2024年の調剤報酬改定では、地域支援体制加算の点数が引き下げられ、地域医療への貢献実績がより重視されました。特に、地域支援体制加算1及び2については、実績要件が厳格化されたため準備が大切です。

本記事では、2024年度調剤報酬改定の地域支援体制加算について、変更のポイントや実績要件、経過措置をわかりやすく解説します。薬局経営の方針を検討する際の参考にしてください。

目次
1. 【2024年度調剤報酬改定】地域支援体制加算のポイント
  1-1. 点数は7点マイナスに
  1-2. 共通の施設基準はかかりつけ機能が強化

2. 地域支援体制加算の実績要件
  2-1. 地域支援体制加算1・2の実績要件(基本料1の薬局)
  2-2. 地域支援体制加算3・4の実績要件(基本料1以外の薬局)

まとめ

1. 【2024年度調剤報酬改定】地域支援体制加算のポイント

2024年度調剤報酬改定では、地域支援体制加算の評価が厳格化されました。下図は、厚生労働省より公開された資料の一部です。


(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)

共通の施設基準は、かかりつけ機能を中心に、より地域医療への貢献を求める内容となっています。実績要件は①〜⑩に統合されて4区分共通となり、地域支援体制加算1及び2では満たすべき項目数が増える点に注意してください。

1-1. 点数は7点マイナスに

2024年度調剤報酬改定では、4区分すべてにおいて、7点引き下げとなります。これは、3点引き上げとなった調剤基本料との調整を図るためだと考えてよいでしょう。

 

現行

改定後

地域支援体制加算1

39点

32点

地域支援体制加算2

47点

40点

地域支援体制加算3

17点

10点

地域支援体制加算4

39点

32点

また、医療DX推進体制整備加算や在宅薬学総合体制加算の新設により、基本料の加算が拡充化される点にも注目です。基本料の加算をしっかり取ることで、地域支援体制加算のマイナス分を補うことができます。

基本料の加算(地域支援体制を除く)



後発医薬品調剤体制加算

(変更なし)

加算1(80%以上)

21点

加算2(85%以上)

28点

加算3(90%以上)

30点

連携強化加算

(2点→)5点

(新)医療DX推進体制整備加算

4点/月1回

(新)在宅薬学総合体制加算1

15点

(新)在宅薬学総合体制加算2

50点

(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)

在宅薬学総合体制加算2の算定にあたっては、加算1の基準を満たした上で、麻薬6品目以上の備蓄や、無菌調剤設備などの条件を満たす必要があります。在宅医療に積極的に取り組む薬局であれば、ぜひ取得をめざしたい加算です。

1-2. 共通の施設基準はかかりつけ機能が強化

地域支援体制加算の4区分には、共通の施設基準があります。以下に、2024年度調剤報酬改定において、変更・新設される共通施設基準の要件をまとめます。

2024年度調剤報酬改定で変更・新設される共通の施設基準の要件

  • 薬局間連携による医薬品の融通等
  • 麻薬小売業者免許
  • 集中率85%超の薬局は、後発品の調剤割合70%*以上*現行:50%)
  • 夜間・休日の調剤、在宅対応体制(地域の輪番体制含む)の周知
  • 在宅薬剤管理の実績24回以上(同一建物患者2人以上含む)
  • かかりつけ薬剤師の届出
  • 要指導薬品(48薬効群)および一般用医薬品の販売
  • 緊急避妊薬の取扱いを含む女性の健康に係る対応
  • 当該保険薬局の敷地内における禁煙の取扱い
  • たばこの販売禁止

現行で地域支援体制加算1の実績要件である「麻薬小売業者免許」「かかりつけ薬剤師指導料」「在宅実績24回以上」の3つは、共通の施設基準へと変更されます。これにより、地域支援体制加算を算定するには、在宅医療への参入及び実績が必須となります。

2. 地域支援体制加算の実績要件

ここからは、地域支援体制加算4区分それぞれの実績要件を見ていきます。地域支援体制加算1及び2については、クリアしなければならない項目が増えたため、達成に向けて計画的に動くことが大切です。

2-1. 地域支援体制加算1・2の実績要件(基本料1の薬局)

地域支援体制加算1・2の実績要件は、以下の通りです。



要件

地域支援体制1

地域支援体制2

現行

改定後

現行

改定後

39点

①②④+⑧or⑩

32点

④含む

3項目以上

47点

3項目以上

40点

8項目以上

①夜間・休日等の対応加算

 

40回

400回

40回

②麻薬の調剤加算

免許取得

1回

10回

1回

③重複投薬・相互作用等防止加算

 

20回

40回

20回

④かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料

届出・実施

20回

40回

20回

⑤外来服薬支援料1

 

1回

12回

1回

⑥服用薬剤調整支援料1及び2

 

1回

1回

1回

⑦単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績

24回

24回

24回

24回

⑧服薬情報等提供料

12回

30回

60回

30回

⑨小児特定加算

1回

1回

⑩多職種連携会議への参加(年間回数)

1回

1回

5回

1回

※①~⑨は直近1年間の処方箋受付回数1万回当たりの実績
(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)

地域支援体制加算1及び2では、求められる項目数は多くなりましたが、実績回数は現行より少なくなっています。

地域支援体制加算1については、「かかりつけ薬剤師指導料20回以上」が必須となる点に注意してください。また、服薬情報等提供料も12回から30回に増加しています。

地域支援体制加算2では、10項目中8項目と、ほぼすべての要件をカバーする必要があります。実績回数の多いかかりつけ薬剤師指導料や服薬情報等提供料については、継続的に算定できる仕組みを整えておくことが大切です。

2-2. 地域支援体制加算3・4の実績要件(基本料1以外の薬局)

地域支援体制加算3・4の実績要件は、「⑨小児特定加算の算定実績(1回以上)」が追加されたのみで、大きな変更はありません。

地域支援体制加算3及び4の実績要件は、以下の通りです。



要件

地域支援体制3

地域支援体制4

現行

改定後

現行

改定後

17点

麻薬小売業者免許取得+④⑦含む3項目以上

10点

④⑦含む

3項目以上

39点

8項目以上

32点

8項目以上

①夜間・休日等の対応加算

400回

②麻薬の調剤加算

10回

③重複投薬・相互作用等防止加算

40回

④かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料

40回

⑤外来服薬支援料1

12回

⑥服用薬剤調整支援料1及び2

1回

⑦単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績

24回

⑧服薬情報等提供料

60回

⑨小児特定加算

1回

⑩多職種連携会議への参加(年間回数)

5回

※①~⑨は直近1年間の処方箋受付回数1万回当たりの実績
(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)

地域支援体制加算3及び4を算定する薬局は、実績要件よりも、共通の施設基準に注意が必要です。麻薬小売業者免許取得やかかりつけ薬剤師の届出が加わっているため、施設基準の漏れがないようにしてください。
(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」)

まとめ

2024年度調剤報酬改定において、地域支援体制加算は厳格化され、より地域医療への貢献が求められる内容となります。共通の施設基準では、「かかりつけ薬剤師指導料の届出」「麻薬小売業者」「在宅実績24回以上」が必須となりました。

地域支援体制1及び2の実績要件については、実績回数は少なくなったものの、満たすべき項目数が増加します。地域支援体制加算2は、10項目中8つ満たすことが条件です。一つひとつの項目を確実にクリアできる仕組みを整えましょう。なお、地域支援体制加算3及び4については、「小児特定加算(1回以上)」が追加されたのみで、大きな変更はありません。

地域支援体制加算の点数は、4区分すべてで7点引き下げとなっています。基本料の加算をしっかり取り、マイナス分を補いましょう。

きらりプライムサービスでは、在宅薬局経営をサポートするため、加算獲得のご相談も受け付けています。在宅薬局の効率化や体制整備にお困りの薬局経営者の方は、ぜひきらりプライムサービスにお問い合わせください。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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