薬剤師に向けた2022年危機の概要

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
薬剤師に向けた2022年危機の概要

高齢者の割合が増えるにつれて、医療費はどんどん膨れ上がっていきます。
医療費が爆発的に増える危険性があるタイミングとして危惧されているのが2022年です。
「2022年危機」とも呼ばれており、医療費が増えるだけでなく訪問診療の需要が高まるなどの影響が考えられています。

では、2022年危機を迎えるにあたり、薬剤師は何を意識して行動すればよいのでしょうか。今回は2022年危機の概要や影響、薬剤師の新しい働き方について解説します。

目次

2022年危機とは?

2022年危機とは、団塊世代の方が後期高齢者になることで起こるさまざまな財政危機のことです。第一次ベビーブームにより出生数が急増した世代のことを団塊世代と呼んでいます。
令和2年の出生数は84万835人であったのに対して、第一次ベビーブームのピーク時には270万人もの赤ちゃんが生まれているのです。

2022年は、この世代に生まれた方が75歳以上の後期高齢者に到達し始めます。
なぜ後期高齢者になることが問題なのかというと、2022年を迎える前の時点ですでに医療費全体のうち約3割を後期高齢者の医療費が占めているためです。

2022年危機を迎えると、さらに医療費を占める割合が増えると考えられます。医療費が増えることで国の財政を圧迫してしまうため、保険料率の増加といった影響が出てしまうと考えられているのです。

始まっている医療保険制度改革

後期高齢者が増えることで問題になるのが、医療費の逼迫です。
これまでは、現役並みの所得がある方を除き、75歳以上の方の医療費の負担割合は1割でした。
しかし、後期高齢者の割合が増える2022年以降も1割負担のままでは、現役世代の保険料で後期高齢者の分までまかなうのが難しくなります。

そこで、2022年10月から、医療費の負担が1割から2割に増やされることになりました。
しかし、すべての方が一律で負担割合が2割に増えるわけではありません。
現役並みの所得者に該当せず、年金収入とそのほかの所得金額を合わせて200万円以上ある方が2割負担になります。

高齢者の訪問診療の増加

高齢者が増加すれば、在宅訪問診療の需要も間違いなく高まるでしょう。2018年の時点で、訪問診療に関わる点数のうち50%は75歳以上の後期高齢者が占めているのです。
後期高齢者の割合が増える2022年には、さらに訪問診療を受ける方が増えると考えられます。
訪問診療とは、定期的に医師や薬剤師、看護師などが患者さんの自宅を訪問するサービスのことです。高齢者になると自力で医療機関に足を運ぶことが難しくなるケースが多いため、高齢になるにつれて訪問診療の患者さんは増えていきます。

地域連携強化の動き

高齢者の増加に伴い、高齢者が暮らしやすい町作りも行っていかなければなりません。
現状でも地域連携薬局や専門医療機関連携薬局などの制度がありますが、より一層、連携を深めていく必要があるでしょう。

外来と在宅の連携

訪問診療を必要としている方に、まずは存在を知ってもらう必要があります。
そのためには、薬局に訪問診療についての掲示をしたり、薬剤師から患者さんへ訪問診療を受けてみてはどうかと提案することが大切です。

外来の患者さんのうち、必要としている方に訪問診療の存在を認識してもらいましょう。
訪問診療を周知できれば、高齢で通院や来局が難しい患者さんに身体的な負担を与えることがありません。

医療従事者の働き方改革

薬剤師をはじめ、医療従事者の働き方も後期高齢者の増加に伴って変えていく必要があります。
高齢者がむりなく医療を受けられる体制を整えるためには、今の働き方を続けているとうまく対応できないケースが出てきてしまうのです。

では、どのような改革が必要とされるのでしょうか。

オンライン資格確認

オンライン資格確認とは、保険証とマイナンバーカードを連携させることにより、専用の受付にカードをかざすだけで保険証の確認ができる制度のことです。

マイナンバーカードを保険証と連携させる手続きが必要にはなりますが、お薬手帳がなくても薬の情報が薬剤師や医師に共有されるというメリットがあります。

また、手続き不要で限度額以上の支払をしなくて済むようになるのも特徴です。

オンライン服薬指導

オンライン服薬指導とは、パソコンやスマートフォンなどを利用して遠隔で服薬指導を行うものです。
薬局まで足を運ばなくても自宅で服薬指導を受けられるため、患者さんに来局の手間をかけません。
オンライン診療と合わせて利用すれば、受診からお薬の受け取りまでオンラインで完結させることが可能です。

訪問調剤を行う手もありますが、薬剤師の人員不足により業務に負担がかかる可能性もゼロではありません。
オンラインなら薬局にいながら服薬指導できるため、人員に余裕がない薬局でも導入しやすいでしょう。

まとめ

団塊世代の方が後期高齢者になり始めることで医療を圧迫する問題を2022年危機と呼んでいます。
医療費が増大するため財政を圧迫することが大きな問題です。
現役世代の負担を軽くするために、すでに後期高齢者の医療費負担が1割から2割に増やされることが決まっています。

訪問診療を強化したり、オンライン資格確認やオンライン服薬指導などを活用したりして、うまく2022年危機に対応していきましょう。

===================
監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
===================

【当コラムの掲載内容に関するご注意点】
1.当コラムに掲載されている情報につきましては、事実や根拠に基づく執筆を心がけており、不適切な表現がないか、細心の注意を払っておりますが、その内容の正確性、有効性につき何らかの保証をあたえるものではなく、執筆者個人の見解である場合もございます。あくまで、読者様ご自身のご判断にてお読みいただき、ご参考に頂ければと存じます。
2.当コラムの情報は執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容に変更が生じる場合がございます。その場合、予告なく当社の判断で変更、更新する場合がございます。
3.前各項の事項により読者様に生じた何らかの損害、損失について、当社は一切の責任も負うものではございませんので、あらかじめ、ご了承ください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

CONTACT

各種お問い合わせ

薬局経営、在宅対応でお困りの方はお気軽にご連絡ください。

DOWNLOAD

在宅薬局に関する
役立つ情報が満載

資料ダウンロード一覧

CONTACT

ご質問や
お問い合わせはこちら

お問い合わせフォームへ

TELEPHONE

お電話からの
お問い合わせはこちら

092-558-2120

受付時間 9:30~17:45
(土日・祝日除く)

お電話からのお問い合わせはこちら
%{DLFIXBANNER}%