服薬のフォローアップが義務化、薬局や薬剤師に求められる内容とは

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服薬のフォローアップが義務化、薬局や薬剤師に求められる内容とは

2020年に改正された薬機法によって、服薬のフォローアップが義務化されました。
これまでは努力義務だった服薬のフォローアップが義務化されたことで、「何をすればいいの?」とお悩みの方が多いでしょう。

そこで今回は、服薬のフォローアップがそもそもどういうものなのか、何をするべきなのかを詳しく紹介します。

目次

服薬のフォローアップとは?

服薬のフォローアップとは、服薬指導をして患者さんにお薬を渡した後も継続して使用状況を把握したり情報を提供したりすることです。2020年に薬機法改正が行われるまでは、服薬のフォローアップを行うことは努力義務でした。そのため、服薬のフォローアップを行ったことがなかった薬剤師は少なくありません。

患者さんに対して必要な情報提供を行う必要があることは薬剤師法でも明記されています。ここでいう情報提供とは、主に服薬指導のことです。これが薬機法の改正により継続的な情報提供が必要とされるようになりました。同時にオンライン服薬指導も解禁されています。

ここで言う継続的な情報提供は、なにも対面で行う必要はなく電話やメールを含めオンラインでも可能ということです。

なぜ服薬のフォローアップは義務化されたの?

服薬のフォローアップが義務化されたのは、かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局を増やしていくためだと考えられるでしょう。厚生労働省が公表している「患者のための薬局ビジョン」では、2025年までにすべての薬局をかかりつけ薬局にすることが記されています。

しかし現状は、門前薬局がとても多い状態です。受診する医療機関に合わせて近隣の薬局に足を運ぶ方がほとんどである状態が長く続いています。門前薬局が多い状態では、服薬情報を一元化して患者さんをサポートすることはなかなかできません。

そこで服薬のフォローアップを義務化することで、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師を増やそうとしているのです。患者さんが自宅に戻った後も状況を把握するためには、門前薬局よりもかかりつけ薬剤師のほうが都合よいことは想像しやすいでしょう。

服薬のフォローアップの内容

服薬のフォローアップは、決して難しいものではありません。フォローアップが義務化されたとはいえ、すべての患者さんに行うものではないため、まだ行ったことがない方もいるでしょう。
いきなり服薬のフォローアップを始めようと思っても患者さんが驚いてしまうこともあります。実践する前に大まかな流れを把握しておくことが大切です。

流れ①服薬指導で情報収集を行い、フォローアップの必要性を検討する

患者さんの服薬指導を行う際に、まず服薬のフォローアップが必要なのかどうかを検討します。高齢者や腎機能・肝機能が低下している方、身体機能が低下している方や生活習慣に問題がある方などは服薬のフォローアップを検討してみましょう。

ほかに服用している医薬品やサプリメント、喫煙や飲酒歴なども総合的に考慮したうえで検討を進めていきます。また、メトトレキサートやビスホスホネート製剤のように飲み方に注意が必要なお薬を服用している方もフォローアップの対象です。

服薬のフォローアップの必要性があると判断された場合は、患者さんにフォローアップについての説明を行いましょう。何も説明しないままフォローアップを行うと驚かれてしまうことがあるので注意してください。

また、新しい薬が処方された場合は、副作用のヒアリングも含めフォローアップが必要になります。服薬コンプライアンスの状況と併せてしっかりと確認するようにしましょう。

流れ②フォローアップを実践する

服薬のフォローアップを行う手段としてもっともよく使われているのは電話です。薬局によってはLINEや専用のアプリを使用することもあります。高齢者だとLINEやアプリの使用に慣れていないことが多いため、電話を使うのが無難でしょう。薬を問題なく服用できているか、不安に思っていることはないか、薬の服用を始めたことで生活に影響が出ていないかなどを確認します。

流れ③フォローアップの結果を評価する

服薬のフォローアップで得た情報は調剤録、もしくは薬歴に残しておきましょう。患者さんから得た情報をもとに、このまま服用して問題ないかを分析していきます。副作用の可能性があったり用法用量の変更が推奨されると判断されたりした場合は、担当医にも情報提供を行ってください。

薬品ごとのフォローアップについて

服薬のフォローアップが必要なのは、なにも処方箋医薬品だけではありません。零売薬局で販売している医療用医薬品や、ドラッグストアや薬局で扱っている一般用医薬品なども対象です。

処方箋医薬品以外の医療用医薬品

処方箋医薬品以外の医療用医薬品とは、医療用医薬品の中で医師の処方箋がなくても薬剤師が相談の上販売が出来る医薬品を指します。

処方箋がいらないことから安易に購入を希望される患者さんがゼロだとは言い切れません。状況によっては医療機関の受診が望ましいケースもあるので、必要だと判断される場合は服薬のフォローアップを行い、状況によっては受診勧奨をします。

薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品

市販薬を漫然と使用している方は薬剤師が思っているより多いものです。市販薬を使うことで大きな病気の兆候を隠してしまっていないか、購入者が間違った使い方をしていないかなど状況に応じて服薬のフォローアップを行いましょう。

要指導医薬品や第一類医薬品の販売に関しては薬剤師が必ず介入しますが、それ以外の薬はなかなか目が届きません。とくに濫用のおそれのある市販薬は、誤った使い方をしている方が多いものです。服薬のフォローアップを行うために電話番号を聞くだけでも誤った使用目的での購入を減らすことができます。

患者さんの状況を確認するためにも、市販薬の健全な使用を確保するためにも服薬のフォローアップが有効です。

薬剤師に今後求められることとは?

かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局を増やす目的で義務化されたことからも、薬剤師には患者さんの服薬状況を一元的に管理していくことが求められています。医療機関ごとに違う薬局を使う患者さんがかかりつけ薬局をもてるように、薬剤師から積極的に介入していくことが大切です。

「ここの薬局に全部の処方箋をお願いしたい」「ここの薬剤師に薬の管理をお願いしたい」と思ってもらえるような薬局や薬剤師にならなければ、生き残れる薬局にはなれません。患者さんが安心して治療を任せられる環境を作ることが今後の薬剤師には求められています。

まとめ

服薬のフォローアップとは、患者さんにお薬を渡した後も継続的に服薬状況の把握や情報提供を行うことです。薬機法の改正により義務化されたため、必要性があると判断された場合は服薬のフォローアップを行わなければなりません。

厚生労働省が2025年までにすべての薬局をかかりつけ薬局にすることを目標としていることから、患者さんの服薬状況を一元的に管理していくことが求められています。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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【当コラムの掲載内容に関するご注意点】
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2.当コラムの情報は執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容に変更が生じる場合がございます。その場合、予告なく当社の判断で変更、更新する場合がございます。
3.前各項の事項により読者様に生じた何らかの損害、損失について、当社は一切の責任も負うものではございませんので、あらかじめ、ご了承ください。

参考 患者のための薬局ビジョンP7

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/gaiyou_1.pdf

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