調剤薬局の売上を上げるポイントとは!

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調剤薬局の売上を上げるポイントとは!

調剤薬局の売上を上げるポイントには、処方箋枚数を増やすことや、他薬局との差別化を図ることなどが挙げられます。競争を生き抜くためには、薬局としての強みを作ることも大切です。

この記事では、調剤薬局の売上を上げる5つのポイントと、薬局の強みを作る戦略を解説します。調剤薬局の売上アップに欠かせない「かかりつけ薬局」にも触れるので、薬局経営者の方はぜひご覧ください。

1. 調剤薬局の売上を上げるポイント

調剤薬局経営を安定させるためには、売上アップへの取り組みが欠かせません。ここでは、調剤薬局の売上を上げる5つのポイントを紹介します。

1-1. 処方箋枚数を増やす

調剤薬局の売上を伸ばすために、まず重要となるのが処方箋枚数を増やすことです。調剤薬局の売上の大半は処方箋調剤に依存しており、処方箋枚数が多いほど売上も高くなります。

処方箋枚数を増やすための施策には、さまざまな方法があります。門前薬局なら、近隣に人気のクリニックがあると処方箋枚数も増えるでしょう。ただし、門前薬局は過剰に増えすぎており、今後の集約・淘汰の対象ともなっています。これからは立地に依存せず、サービスの質などを武器にして処方箋枚数を増やすことが大切です。

1-2. リピーターを増やす

リピーターが多い薬局は、継続的に一定の売上が見込めます。リピーターが増えれば口コミで薬局の評判が伝わり、新規患者獲得にもつながります。患者さんをファン化させ、顧客ロイヤリティを向上するための施策を練り、競合に打ち勝ちましょう。

患者さんに薬を渡して服薬指導をするだけでは、医療機関との距離に依存する門前薬局のビジネスモデルから脱却することはできません。近隣の医療機関がなくなると同時に、薬局が廃業する危険性もあります。「安全かつスピーディーな対応」という基本を押さえた上で、患者さんと信頼関係を築きつつ、薬局にしかない魅力をアピールすることが大切です。

患者さんが一度でも「もうこの薬局に行きたくない」と感じたら、再び来局してもらうことは難しくなります。患者さんが来局したチャンスを逃さずに、満足度の高いサービスを提供しましょう。

1-3. 物販を強化する

調剤薬局の中には、物販で売上を伸ばす事例もあります。薬局で物販を行っていると、患者さんから悩みや相談を受けた際に、的確なアドバイスを行いつつ自然な流れで商品紹介へつなげることができます。患者さんの薬剤師に対する信頼が厚いほど、購入してもらえる可能性も高くなるでしょう。

薬局の物販で扱う商品には、OTC医薬品のほか、健康食品やサプリメント、介護用品などがあります。ただ商品を並べるのではなく、ターゲットを明確にして、薬剤師・薬局目線から厳選することが大切です。POP作りや商品配列も工夫して、患者さんとコミュニケーションを取れるような物販をめざしましょう。

1-4. 在宅医療へ参入する

まだ在宅医療に参入していない薬局は、在宅訪問をスタートすることで新たな収益源が得られます。これから超高齢社会を迎える日本では、在宅医療の需要も高まる見込みです。地域包括ケアシステムの構築においても、薬局・薬剤師の関与が強く求められています。

在宅医療に対応していれば、これまで窓口に来ていた患者さんの症状が悪化して外来に来れなくなった場合も、在宅訪問に移行してサポートを継続することができます。在宅訪問は一人ひとりの患者さんと時間をかけて接することができるので、薬剤師としてもやりがいのある仕事です。

中小薬局や個人薬局では、薬剤師の数が不足していることを理由に、在宅訪問を諦めているケースもあるでしょう。しかし在宅訪問は、薬剤師の数が多ければできるという単純なものではありません。薬局・薬剤師が在宅訪問の意義を理解し、業務効率化や体制の整備に取り組めば、小規模薬局でも在宅医療に参入することは可能です。

1-5. 加算算定に向けた対策を取る

処方箋枚数を増やすとともに、処方箋単価を上げる工夫も必要です。技術料が高いほど、処方箋一枚あたりの単価が高くなります。

加算のほとんどは処方内容に基づくものの、中には薬局・薬剤師の努力や工夫によって算定可能となる加算もあります。調剤基本料や地域支援体制加算は、薬局の体制に準じてすべての処方箋で加算されるため、なるべく点数の高い加算の算定をめざしたいところです。かかりつけ薬剤師を配置し、患者さんからの同意を得れば、かかりつけ薬剤師指導料が算定できます。

重複投薬・相互作用等防止加算は、薬剤師の介入によって算定できる貴重な加算です。特に在宅訪問では残薬が見つかることも多いので、積極的に医師に疑義照会を行い、加算取得を試みましょう。

2. 調剤薬局の強みを作る戦略

薬局の売上を上げるためには、薬局そのものの強みを作り、基盤を固めることも大切です。調剤薬局の強みは、店舗型のビジネスであることです。薬局への入りやすさや駐車場の広さといった外観や店内インテリアにも注目し、他の薬局にはない強みを考えましょう。

ここでは、”地域”と”競合”をキーワードに、調剤薬局の強みを作る戦略を見ていきます。

2-1. 地域に特化したマーケティング

これからの薬局で重要となるのが、地域のニーズに応じたサービスを展開する地域密着型経営です。地域住民にとって満足度・充実感の高いサービスを提供するためのマーケティング戦略を考えましょう。

薬局のマーケティングを考える際には、まず薬剤師や薬局経営者が自分の足で街を歩き、地域の需要を探ることが大切です。外来の患者さんとも積極的にコミュニケーションを取り、困っていることや悩み事がないか聞いてみるのもよいでしょう。

地域とのつながりを持つために、地域のフリーペーパーに薬局情報を掲載したり、地域の行事やイベントに参加したりするのもおすすめです。ときには、市町村から健康教室の講師として、薬局薬剤師が招待されることがあります。調剤薬局は率先して地域住民と関係を持ち、地域に特化したマーケティングに取り組みましょう。

マーケティングでは、営業力も重要となります。老人介護施設や医療機関への提案営業なども有効な手段となるので、薬局の営業スキルも高めましょう。

2-2. 他の薬局・ドラッグストアとの差別化

日本全国の調剤薬局は約6万軒、ドラッグストアは約2万軒となっており、調剤薬局・ドラッグストア業界は競争が激しくなっています。ドラッグストアはOTC医薬品や健康食品、日用品など品揃えが豊富で利便性が高く、調剤薬局にとっては大きな脅威です。

調剤薬局が患者さんに選ばれるためには、ドラッグストアや他薬局にはない強みを備えることが重要です。

  • 子ども向け・女性向けなど、地域ニーズに応じたイベントを開催する

  • ドラッグストアにはない「薬剤師目線」で選んだ商品を揃える

  • 地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の認定を取得し、専門性を高める

  • 地域住民が交流できるカフェなどのスペースを設ける

  • キッズスペースを充実させる

他の薬局・ドラッグストアの状況を確認し、よい部分は取り入れつつ、独自性のある展開を考えましょう。窓口に来られる患者さんに対して、どのようなサービスがあれば嬉しいかを聞くという手段もあります。

3. 「かかりつけ薬局」になり薬局のファンを増やそう

かかりつけ薬局とは、患者さんがいつでも気軽にお薬や健康のことを相談できる薬局のことです。厚生労働省は「患者のための薬局ビジョン」の中で、2025年までにすべての薬局がかかりつけ機能を持つことを目指し、以下3つの方向性を挙げています。

  • 立地から機能へ(病院の門前から地域へ)

  • 対物業務から対人業務へ(薬中心から患者中心へ)

  • バラバラから一つへ(医薬関係者間の情報の共有化へ)

調剤報酬改定では、かかりつけ薬局に対する評価を引き上げており、この流れは今後も続くと予想されています。薬局が生き残るためには、かかりつけ機能が必須なのです。

3-1. かかりつけ薬局になるメリット

かかりつけ薬局になることは、すべての調剤薬局にとってメリットがあります。

  • 調剤報酬の加算算定で有利になる

  • 地域包括ケアシステムの構築に参加できる

  • 患者さんの一元的・継続的なサポートができる

かかりつけ薬局になると、患者さんやそのご家族がリピーターとして気軽に薬局を利用してくれるようになります。ただ、多くの薬局がかかりつけ薬局へ移行しているので、かかりつけ機能以上の強みや特徴を追求する必要もあるでしょう。

かかりつけ薬局として質の高いサービスを提供するには、薬剤師個人のスキルアップも重要です。かかりつけ薬剤師には、薬学の専門的知識はもちろん、コミュニケーションスキルが求められます。薬局側も積極的に、薬剤師の研修参加や資格取得を支援しましょう。

かかりつけ機能は、健康サポート薬局や地域連携薬局となるために必須の条件です。特に、地域連携薬局はかかりつけ薬局に対応する認定制度であるため、ぜひ取得をめざしてください。

3-2. かかりつけ薬局になるデメリット

基本的に、薬局経営者がかかりつけ薬局をつくることに関して、デメリットはありません。しかし、体制を整えていなければ、かかりつけ薬局としての機能を十分に発揮できない可能性があります。

かかりつけ薬局となるには、在宅対応・24時間対応が必須です。ただ在宅業務が増えるだけでは薬剤師の負担は増し、離職者が出る可能性もあります。薬剤師には、かかりつけ薬局や在宅医療の意義をしっかりと理解してもらい、主体的に参加してもらうのが望ましいでしょう。

4. かかりつけ薬局・在宅訪問における薬局DXの重要性

ここまで、調剤薬局の売上を伸ばすためには、かかりつけ機能や在宅訪問といった対人業務の拡充が重要であると述べました。しかし、薬剤師の業務が多忙で、なかなか新しいサービスを展開する余裕のない薬局も多いでしょう。

かかりつけ薬局・在宅訪問をスムーズに進めるためには、オンライン化やICT活用が欠かせません。さまざまなIT・ICTツールやシステムを導入し、薬剤師の働き方改革や薬局の組織体制の変革、新サービスの拡充を図ることを、薬局DXといいます。

薬局DXの例

オンライン服薬指導

  • 患者さんの在宅ニーズに対応
  • 薬剤師の在宅業務の実現
  • 薬剤師の在宅訪問の業務負担軽減

電子処方箋

  • 薬剤情報の一元管理
  • 処方箋受付の業務効率化

報告書作成システム

  • 記載ミス・送付漏れの防止
  • 薬剤師・薬局間連携の円滑化
  • リアルタイムでの情報共有

処方箋ネット受付

  • 患者さんの待ち時間の短縮・利便性向上
  • 二次感染の予防


地域の特性や薬局によって導入すべきツールやシステムは異なりますが、オンライン服薬指導・電子処方箋は国の政策として進めているものなので、優先的に取り入れることをおすすめします。

報告書作成システムや処方箋ネット受付、電子薬歴などは、さまざまな企業による開発・提供が進んでいます。使い勝手がよいか、薬局に必要な機能があるかといった点に注意し、継続して使いやすいシステムを選びましょう。

まとめ

調剤薬局の売上を上げるポイントとして、処方箋枚数を増やす、リピーターを増やす、物販を強化するなどがあります。他薬局やドラッグストアなどの競合分析を行い、エリアマーケティングを実施して地域密着型経営を実現させましょう。かかりつけ機能を中心とした対人業務の質を高め、地域住民との交流を持つことも大切です。

これまでの調剤薬局は、処方箋の受け渡しなど薬局内で完結するサービスが主でしたが、今後は薬局外にも目を向けてさまざまな活動に取り組む必要があります。かかりつけ薬局としての役割をすすんで担うことで、地域から必要とされる薬局となれるでしょう。

「KIRARI PRIME サービス」では、在宅薬局経営にまつわるさまざまなお悩みを受け付けています。在宅業務の効率化や在宅薬剤師の育成から、薬局の強みやエリアに特化した営業活動まで、幅広くサポートしています。薬局の売上や在宅業務についてお困りの薬局経営者の方は、ぜひ「KIRARI PRIME サービス」にお問い合わせください。

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監修薬剤師:原 敦子
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
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